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    gobou_fox

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    gobou_fox

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    カペコンでアドソン君とカエデがギャーギャーする話。
    ただのコメディなのですよ。

    アドソン君とカエデでカペコンに殴り込む話ネコイナリ・カエデは、アドソン・ブレイブの恋人を装っている。
    もちろん、ベストカップルコンテスト、通称カペコンに出るための間の偽装カップルだ。

    「俺は女の子と遊びに行くためのチケットが欲しい!」
    アドソンが堂々と言ってのけた事に、俺、ネコイナリ・カエデは目を丸くした。
    カペコンに出るために様々な女の子に声をかけ、撃沈を繰り返したアドソンはとうとう女装が出来る俺に声を掛けてきたのだ。
    最初は面倒だと思ったが、アドソンの熱い説得と、学生生活最後の年だからちょっと遊んでみるのも悪くないと思って了承した。
    それが事の始まりだった。

    「お相手・私たちの赤面クイズ大会!!」
    特設会場に座らされた俺たちは、実況解説の席に座る下級生のコールに合わせて、観客席へ向けてにこやかに手を振る。
    今日の俺は、アドソンの彼女役なのでちゃんとそれらしい格好をして来た。
    これを見ただけで男とわかる奴は居ないだろうという自信はあるが、実況解説席をはじめ、参加者のほとんどはカペラの関係者なので、一瞬で偽装カップルということがバレた。
    クイズ大会は、質問の答えをフリップに書いて、答え合わせをしていくらしい。
    なんだかんだでルームメイトの俺たちなら、対して予習をしなくても余裕だろうと思って参加した。
    まぁそんな時期もあったさ…

    お互いの名前は難なく答えられた。
    けれど、誕生日を聞かれたとき、俺は固まった。
    8月の頭だったのは覚えてる。
    誕生日プレゼントを渡した覚えもある。
    けど、大体アドソンから言ってくるから、8月までに用意しとけばいいやと思ってたのが仇になった。
    全然覚えてない。
    とりあえずフリップに、8月初頭と書いて潔く聞いてみる。
    ちょっとだけ愛嬌を込めて、
    「ねぇ、アドソン、8月のいつだったかしら?」
    「8月2日、いや、覚えとけよ!」
    あぁ、そうだ、2日だったな。
    アドソンの突っ込みに軽く手を合わせて謝罪する。
    ちなみにアドソンは俺の誕生日の7月17日をしっかり覚えていた。
    よく覚えてたな。

    続いての質問は趣味だった。
    これには自信がある。
    アドソンはナンパが好きだからな。
    迷わずフリップに書き、自分の趣味に園芸と書いてアドソンを待つ。
    フリップを出す直前に、
    自分の彼氏の趣味をナンパって書く娘はいないのでは?
    と思ったが、まぁ、面白そうだから良しとする。
    「ナンパってなんだよ!!」
    案の定アドソンから非難の声が聞こえたけど、アドソンだって俺の趣味を手芸って書いて間違ってたからお相子だろう。
    たしかに服を直したり、細工するときもあるから的外れってわけじゃないけどさ。
    ちなみにアドソンの解答はダンスだった。
    言われてみれば、ダンスやってたっけな。

    次の質問は好きな食べ物だった。
    そう言えばアドソンって何が好きなんだ?
    最近はバレンタインが近いから、チョコが欲しいと騒いでいたのを覚えているけど、普段の食事で何を好んで食べてたか、あまり記憶がない。
    まぁ、とりあえず女の子の手作りチョコとでも書いておこう、間違いなく好物だろう。
    女の子のところを、私のって書けば良かったのでは、とも思ったが書いてしまった物は仕方ない。
    アドソンの回答によると、好物は魚介類だそうだ。
    俺の書いた手作りチョコという回答については、ある意味正解だと言ってたから、良し。
    ちなみにアドソンは、俺が甘いものが好きなことを覚えていたようでしっかりと答えていた。
    ガチで景品取りに行ってるなぁ…

    その後の質問は、どっちから告白したかとか、初デートはどこみたいな、惚気を見せつけるようなところだったけど、テキトーに告白はアドソンから、初デートはとりあえずレストランと書いてお茶を濁したが、アドソンもぴったりと合わせてきた。
    さすがじゃないか、アドソン。
    と感心する。
    ただ、こうも連続で合わせられるとなんか面白くない気もする。
    そうだろ?
    実況解説席も、つまんねー奴らだなぁって顔してるし、そろそろ一肌脱いでやっても良い頃合いだろう。
    異性装の偽装カップルってのは、普段見慣れない光景だからこそ盛り上がるってものだ。
    一方で俺の女装は、みんな見慣れてるだろうからな。
    せめて参加賞の分くらいは働いて、景品泥棒と言われないようにしないとな。

    というわけで、一番の思い出の質問はちょっと遊んでみることにした。
    別に大げさなことをするつもりはない、日常で少し嬉しかったことを書いて、ちょっとあざとい表情を作って、健気で可愛い彼女っていうのをアピールをしてやるのさ。
    きっとアドソンなら、茶化すなり突っ込みをいれるなりして、面白い方向に持って行ってくれるはずだ。
    このまま淡々と進んで中だるみみたいな空気になるよりは、仕込みでもちょっとしたスパイスを効かせて見るのも悪くないだろう。
    それに、もしかしたら、アドソンも面白い反応してくれるかもしれないしな。
    少しでもドキッとしたものなら、からかい倒してやろう。
    そう思った俺は、たおやかな女性を装って、ちょっと照れたような伏し目がちの表情を作って、ポツリと言ってみる。
    「淹れたコーヒーを美味しいって言ってくれたこと…」
    あとはアドソンがロクでもないことを書いて茶化してくるだろうから、それに対して、せっかく可愛い彼女を演じてやろうと思ってたのにヒドイと大声をあげて、痴話喧嘩を演じて冷めた会場を温めようかなと思ったら…

    ・カエデが雨乞いをしてるのを見た時

    アドソン、わりと真面目に書いてきやがった…
    イヤさ、普通にうれしいけどさ?
    今ここでソレを書く?
    確かに惚気るコーナーだよ?
    でもさ、俺たちの役柄は違うだろ?
    俺もやったから強く言えないけどさ、惚気っぽいのを入れてくるなよ。
    会場が思ってたのと違う、微妙な空気になっちゃっただろ。
    しかもお前、なんで「上手くいったな!」みたいな勝ち誇った顔してるんだよ。
    そのガッツポーズはなんだよ!
    調子狂うから止めようぜ…

    会場が微妙な空気になったところで、次の身長の質問は丁度よかった。
    アドソンが173センチで、俺は175センチと似たようなもんだけど、俺の方が少し高い。
    そう、俺の方が高いのだ!
    だから、フリップにでかでかと、わたし!!と書いて、勝ち誇った顔でアドソンにフリップを見せつける。
    一方、アドソンは涼しげな表情で俺の名前を書いて出しただけだった。
    折角、煽ってるんだからノって来いよ!
    さては、本当に悔しいのか?
    悔しいんだろう、そうだろう?

    この後の質問はもう、カップル向けの質問ばかりで苦労した。
    相手の好きなところ3つ答えろとか、どうすりゃいいんだ?
    ノリがいいところぐらいしか思い浮かばないぞ。
    そういえば、たまに相談に乗ってくれるから、そこは助かってるか…
    あと、あの女好きな所はある意味尊敬してるよ。
    というわけで、アドソンの良いところは、
    ・ノリがいい
    ・意外と話を聞いてくれる
    ・清々しいほどの女好き
    と書いて出してやった。
    アドソンが俺の好きな所と言ったら、この女顔だろう。
    わりと自信あるんだぜ?
    あとはしらん。
    ・女顔一択
    ちなみにアドソンは、自分の理想の女子を書いていた。
    驚きの白々しさ!
    胸がデカいとか書いてるけど、ついてないからな俺!
    それと、相手が自分のここが好きってところで、イケメンなところってなんだよ!
    しかも、すっごいドヤ顔してるし、
    なんか腹立つな、フリップ投げつけてもいいか?

    次は、お互いに直してほしいところか、
    多分、雑然としてるクローゼットの中身だよな、何入ってるか自分ではちゃんと分かってるし、見えるところは綺麗だからいいだろう?
    だから、見えないところくらいちょっと目をつむってくれ!
    そんな想いを込めて俺は、クローゼットの中は許せ!と書いて出す。
    対するアドソンのフリップには、無情にもクローゼットの中身が汚い。と書いてあった。
    やっぱ怒ってるのか?
    いつだったか香水の匂い移りが原因で、ナンパに失敗したのをいまだに根に持ってるのか?
    ちゃんと謝ったし、そのあとは香水の管理しっかりしてるから許してくれよ。
    もう、クローゼットの中で香水をだばーッてやらないって!
    心なしか、アドソンの顔が真顔な気もするけど気のせいだよな。
    そんなことを思いながら、俺は精一杯の媚びた笑顔を浮かべてみる。
    「ねぇ、アドソン許して?」
    「直せ」
    「そんなこと言わないで?」
    「な・お・せ」
    いや無理だって、香水も服も結構良い値段するんだって、捨てるのイヤなんだよ。
    ダメだ、この場では聞く耳持ってなさそう。
    これは後で要相談だな…
    そうそう、俺がアドソンに直してほしいところはこれと言ってないけど、
    強いて言うなら、見境なく女の子に声かけるの止めて、一途な所見せればモテるのに、ということで、もう少し一途になりましょう。とだけ書いておいた。
    一方、アドソンは直すところなどないと言わんばかりの強気で、
    フリップには、なしと書いてあった。
    ほんと良い性格してるよなぁ

    残り二問、いつから好きという設問が出てきたので、
    さっきから、そして今だけ
    と書いておいた。
    クローゼットの件を許してくれたら、好きになってやっても良いぞ。
    対するアドソンは、今さら偽装カップルらしく、
    ずっと前から♡
    と、ご丁寧にハートまで書いて出してきた。
    とりあえず俺は、今だけって書いた自分のフリップを強調して、軽くあかんべーしてやった。

    ようやく来た最後の一問は、相手の事は好きですか?というシンプルな設問だった。
    さすがにちょっと疲れてきたようで、アドソンは手短に書いて伏せてる様子だ。
    おおかた好きとだけ書いたのだろう。
    俺も、好きとだけ書こうかと思ったけど、なんか面白くないので、ちょっと長くなったけど、とりあえずフリップに思った言葉を綴ることにした。
    ・すいかの食べられないところ、雨が降ってる日曜日、でも、パンの耳よりは好き。
    と、書いておく。
    意味が分からない?
    だって、好きって書くのなんかイヤじゃん。
    言霊ってあるだろ?
    俺はそういうの気にするの。
    好きって言葉は、本当に好きな人のために取っておきたいんだよ。
    ロマンチスト?
    いいじゃん、ちょっとくらい夢見たってさ!
    俺の解答を見たアドソンは、
    「カエデ、お前それ、遠回しに俺の事嫌いってことか!?」
    『そんなことねぇよ、パンの耳よりは好きって言ってるだろ』
    「いいや、絶対嫌いだろ!」
    『パンの耳だって悪くないだろ』
    言葉遣いも忘れて、そんなことでギャーギャー言い合いをしてると、司会進行が呆れた様子で先に進めてくれる。
    一応誤解がないように言っとくけど、俺はアドソンの事が気に入ってる。
    こうして対等にそして、気兼ねなくギャーギャー騒げる友人っていうのは貴重だからな。


    あとがき
    アドソン君、カエデと仲良くしてくれてありがとね。
    今回のカエデは、完全に化けの皮が剥がれた状態となっております。また、一人称視点にすることで、素のカエデの中身はこんなものという事をお伝えできればなと思って書いておりました。
    女装時の化けの皮を被ったカエデの思考は、だいぶ違っているのでそのあたりの表現はまた後日出来れば良いなと思っております。
    ここまで読んでいただき誠にありがとうございました!
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