誕生日の双子の話 今年の七月は気候が安定していて陸も比較的体調を崩すことなく過ごすことが出来ていた。明日は天と陸の誕生日。天気予報を見ても天気が崩れる様子はない。二人の誕生日は梅雨の時期で、陸にとって苦手な時期。このまま二人楽しく誕生日を迎えることが出来ますようにと祈る。
「てんにぃ明日りくたちのお誕生日だよ!」
楽しそうに天に話しかける。身体の調子も良く機嫌が良い。それに対し普段から天は陸よりは大人しいけど、そのことを考えてもいつもより少し口数が少ないような気がした。
「てんにぃ、明日楽しみだね!」
「うん、楽しみ」
少し気になりはしたけれど、二人で遊びながら、楽しそうに明日の誕生日について話し合っている。このちょっとした違和感は気のせいでありますように。
「おかあさんおはよう!!」
満遍の笑みで陸が起きてくる。今日は二人の誕生日。学校もお休みでみんなで出掛ける予定だ。
「おはよう。陸、天は?」
いつも一緒に起きてくる天が見当たらない。
「てんにぃまだ眠いんだって!お布団に潜って出てこなかった!」
陸の言葉で昨日の違和感が何だったのか分かった。陸にリビングへ行くように伝えて二人の部屋へ天の様子を見に行く。
「天、入るよ」
「おかあさん」
布団からもぞりと出てきた天の顔は真っ赤で熱発していることはすぐに分かった。
「天、お熱出ちゃった?お熱測ってみようか」
「おかあさん、ぼく、元気だよ」
体温計を手に取り天のそばに移動する。
「おいで」
手を広げると少し戸惑いながらも腕の中に収まりにくる。普段、陸を抱えることが多いから、こうやって腕の中に天が入って来てくれたことが少し嬉しかった。天の脇に体温計を挟み、抜けないようにぎゅっと抱きしめる。普段よりも高い体温が伝わってくる。
「おかあさん、今日おでかけできる?」
「うーん、そうねぇまた今度にしようか」
「今日はりく、元気なのに?お誕生日なのに?」
「天も元気じゃないと」
天の大きな目には涙が溢れそうになっている。天も陸と一緒に過ごすことができる誕生日を楽しみにしていたのに、このタイミングで体調を崩してしまったことが悔しいのだろう。それでも嫌だと言わないのはきっと身体がしんどくて、お出掛けが出来ないことが自分で分かるのだろう。
「お部屋行こうか」
天がぎゅっと私の服を握る。
「おかあさん、ますく、りくいる」
自分が具合悪い時もこうして陸のことばかり考える。いつも我慢させてごめんね、心配させてしまってごめんね。
「そうね、はい」
天にこども用の小さいマスクをつけると安心したようにくたりと身体から力が抜ける。そっと抱き上げてリビングに向かい、ソファに座らせる。リビングで遊んでいた陸が天のいつもと違う様子を心配して近づく。
「てんにぃ、おねつ?」
「りく、ごめんね」
先程まで泣かないように耐えていた天の目から涙が溢れる。真っ赤な顔でぽろぽろ涙をこぼしながら何度も謝る姿に心が痛くなる。
「てんにぃ、いたい?」
涙を流す天を心配そうに覗き込む。
「・・・てんにぃ、ちょっと待って」
陸がソファに登り天の方を向いて座る。
「てんにぃここきて」
いつも陸が発作を起こした時、天が陸にする姿勢を陸がとろうとする。天は陸の動きに戸惑いながらも促されるまま陸のおなか枕に収まる。
「りく、いつもてんにぃにおなか枕してもらってるけど、りくもてんにぃにやってみたかったんだぁ」
とても嬉しそうな、幸せそうな表情で天に話しかける。さっきまで溢れていた天の涙は止まり、天も幸せそうな表情に変わる。
「りく、てんにぃとお家で一緒に過ごせて嬉しい!」
「ぼくもりくと一緒、嬉しい」
「てんにぃ大好き」
「ぼくもりく大好き」
※陸に風邪うつるじゃん!!!って思うと思うんですけど見なかったことにして下さい。風邪じゃないお熱ってことでお願いします・・・!