※途中 発作起こした陸にあう悠の話 収録が終わり楽屋に戻る。今日は午前中だけ仕事で午後から学校に行く予定だ。連絡を確認すると四葉からハートの催促が届いていた。ハートを返しながら歩いているとふらりと誰かが人通りの少ない場所へ入っていく姿が見えた。普段は特に気にしないが、なんとなく少し気になった。そっと後ろを追うと咳き込んでいるようだった。飲み物を飲んでむせたときとは違う感じ。呼吸の中にひゅーひゅーと高い音が混じりおかしいことはすぐに分かった。
「だ、大丈夫ですか」
死角となる場所に座り込んでいる人に声を掛ける。見たことのある髪色、見たことのある衣装を着ていて緊張した。その人は咳き込みの合間にゆるりと顔を上げる。IDOLiSH7のセンター、七瀬陸と目があった。咳が酷い、呼吸音がおかしい、顔色も悪い。すぐに何かしら対処しないといけないことは分かる。了さんがこの人の病気について話していた。四葉も前に何か言ってた気がする。思い出したいのにこのような急を要するような状況は初めてで、怖くて、頭が働かない。
「あの、動けますか?」
声を掛けるけど七瀬さんは呼吸することが精一杯な様子だ。この状況で動けるわけがない。どうしよう、誰か助けを呼ばないと。震える手で巳波、虎於と順に連絡先をタップするが繋がらない。今日仕事って言っていた気がする。最後にトウマ。出てくれますようにと祈りながら何度かコール音を聞く。
「ハル、どうした?」
トウマの声が聞こえて安心する。
「トウマ、あの、目の前で咳してて、動けなくて、オレどうしたらいいかわからなくて」
声が震える。言いたいことも纏まらない。
「ハル、落ち着け。誰が動けない?」
「あの、七瀬さん」
「・・・ハル、急いでそっちにいくからもうちょっと頑張れ。あと、IDOLiSH7の誰かに連絡取れるやついないか?」
「四葉か和泉・・・学校だから出れるわからないけど・・・掛けてみる」
トウマとの通話を一旦切る。ラビチャで四葉か和泉の連絡先を探し、上の方にある四葉環の名前をタップした。
♢
授業中、うとうとしているところにスマホが揺れた。先生にバレないようにそっと誰からか確認するといすみんからだった。いすみん、意外とちゃんとしているから、授業中の時間帯に電話かけてくるの珍しーって思ったけど、なんとなく嫌な感じもした。
「せんせー、俺トイレ行ってくる」
先生の返事を待たずに教室を出て走ってトイレに向かう。
「いすみんどーした?」
トイレに到着してすぐ電話に出る。
『あ!四葉!・・・あの、』
いすみんが焦っている感じが伝わってきた。後ろに誰かの咳き込みも聞こえてヒヤリとする。
『あの、お前らのとこのセンターの、』
「りっくんがどうした?!」
『咳、してて。苦しそうで』
りっくん、多分発作を起こしている。朝のりっくんは珍しく寝坊していた。慌てて起きてきて寝癖が少し残ったまま寮を出ていった。少し顔色も悪かったかもしれない。いおりんにも知らせないとと思い、走って再度教室に向かう。
「いおりん!!」
授業中だから俺の声に全員がこちらを向く。いおりんはぽかんとした顔をしていた。先生が俺を注意しようとしているのが分かったけど、そんなのは後でいい。
「いおりん、きて!!」
授業中にも関わらず引っ張って教室を出て、人気のないところへ移動する。
「何ですか!授業中ですよ!」
「いおりん、多分今、りっくん発作起こしてる」
そう言うとすぐにいおりんの表情が変わった。
「どこでですか。その電話は七瀬さんですか?」
「違う、いすみんがりっくん見つけて、一緒にいるみたい」
いおりんにスマホを渡すと慌てて状況を確認し始めた。
「亥清さん、七瀬さんのポケットとかに吸入器ありませんか」
『きゅうにゅうき・・・』
「あと、顔色はどうですか?唇の色は?呼吸できてますか?意識は?」