「何にするか?」
「ん~、ホットの……ココアかカフェオレ」
「分かった」
彰人はベンチに腰掛けて、自販機の方へ向かう冬弥を見送った。
チームの誰かが誕生日を迎える度に謙さんとこで祝って、セカイでも集まって歌ってパーティー開いてもらって、という流れが当たり前の物になって久しい。そしていつの間にか、杏とこはねと別れたあとに二人でここに立ち寄り、少し話をしてから帰るのも当たり前になっていた。
「二人でここに寄るのも何度目になるだろうか」
「お、ちょうど同じこと考えてた」
「ふふ、そうか」背中を向けた冬弥の声が少し弾む。「彰人の誕生日は、少し肌寒い。小豆沢の誕生日も」
「杏の誕生日は蒸し暑いし、そう考えるとお前の誕生日が一番快適だな」
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