Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    mao_skyland

    @mao_skyland

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💜 💚 💘 🍪
    POIPOI 16

    mao_skyland

    ☆quiet follow

    随分昔にリクでいただいた『ケンカしたうずさね』用に書いてボツにしたやつ発掘したので供養。
    書き直す気力は無いのでそのまま。拙すぎるのでご注意ください。
    タイトルは『ネコネコネットワーク』の略です。

    NNN 不死川とケンカした。
    俺に対する態度が急におかしくなって、どうかしたのか聞いても「何でもねェ」としか言わず目を逸らされるからついイラッとする。

    「何?言いたいことあるなら言ってよ」
    「だからァ…何でもねェってェ」
    「明らかに何でもなくねぇじゃん。何でもねぇって言いながらそんな態度とるのやめてくんねぇ?腹立つんだけど」
    「……そーかよ。そりゃ悪かったなァこの変態クソ野郎ォ」

    不死川が俺目掛けてDVDのケースを投げつけてくる。難なく受け止めたが、その隙にスマホを掴んだ不死川がドアを開けて出ていく背中が見えた。


    これが5分前の出来事。なんですぐに追いかけねぇかっていうと、追いかけようとしてドアの角に足の小指思いっきりぶつけて絶賛悶絶中だから。地味なくせに痛ぇんだよ腹立つ…。よく見ると爪が剥がれて血が出ていた。あー最悪。なんとか立ち上がって絆創膏だけ貼り、サンダルを引っ掛けて足を引き摺りながら家を出る。

    やっちまった…完全に八つ当たりだ。言い訳にしかならねぇけど、実家に行ったら親父がいて「まだ落描きを続けているのか」とか言われてイライラしてたんだ。
    俯く不死川の顔は見えなかったが、フローリングにはポツポツと水滴が落ちていた。それを見た瞬間、血が上っていた頭が水をぶっかけられたように急激に冷えた。そもそもなんでこんなことになったんだと、時を遡って思いを巡らせる。


    土曜の夕方。今日は部活も休みでお互い学校に行く用事もなく、昼前から不死川がうちに来ていた。一緒に昼飯を食ってDVDを観たり、雑誌を見ながら今度ここ行こうとそんな話をする。そこにスマホの通知音が鳴り、目をやると一件のメッセージが入っていた。

    「悪ぃ不死川。なんか妹からLIME来てさ。電車止まっちまったから迎えに来てくれって。30分か1時間くらいで戻って来るから、テキトーに時間潰してて。好きなDVD観てていいから」
    「そりゃ妹さん困ってんだろォ。早く行ってやれェ」
    「ゴメンな。ちょっと行ってくる」
    「気ィつけてなァ」

    この時はいつも通りだった。なのに妹を車で実家に送り届けてから戻ると不死川の態度が明らかにおかしくなっていた。一体この短時間に何があったんだ。不死川は家族想いだから妹を優先してほったらかしにしたことを怒るようなヤツじゃねぇし。いくら考えてもわからなくて、不死川を探しながら首を捻った。

    不死川の家は電車で5駅先だ。あの状態で電車に乗ったとは考えにくい。かと言って歩いて帰るには些か距離がある。であれば、どこかそう遠くない所に留まっている可能性が高い。そう推理し辺りを探し回る。時々立ち止まって電話を掛けるが不死川が出ることはなかった。

    もう暦の上では秋だ。すっかり日が暮れるのが早くなって、周囲が暗闇に包まれる。急に風も冷たくなってきてTシャツ一枚の身体がふるりと震えた。不死川もどっかで震えてるかもしれねぇ。
    そう考えていると突然暗闇の中で金と青の目玉がぎらりと光る。同僚の化学教師を彷彿とさせる左右で色の違う瞳の猫が、目の前を通り過ぎていくところだった。

    ふと先日ネット記事で『猫にはネットワークがあり、脱走した飼い猫のことを野良猫に聞いたら居場所を教えてくれて無事連れ帰ることができた』というウソみたいな話を読んだことを思い出した。藁をも掴む気持ちでそっと猫に近寄る。

    「なぁ。顔に傷がある白くてふわふわなデカい猫探してんだけど、見なかったか?知ってたら教えてくれねぇ?」

    …何してんだ俺は。馬鹿馬鹿しいにも程がある。万が一ネット記事が本当だったとして、不死川は猫じゃない。人間だ。まぁ属性は完全に猫だけど。
    オッドアイの猫がゆっくりと瞬きをして離れていく。溜息を吐き、不死川探しを再開しようとすると猫が振り返って「にゃー」と鳴いた。何かを訴えるような眼差しに思わず近づくと、また少し離れてこちらを振り返る。まるで『ついて来い』とでも言うかのように。

    離れては振り返りを繰り返す猫について行くと、ある場所で猫が地面に座り長い尻尾を体に巻き付けながらまた「にゃー」と鳴く。辺りを見渡すと見覚えのある所だった。少し前に不死川と一緒に花火をした寂れた公園。真ん中に汽車の形をした土管のようなデカいオブジェがあり、その中に膝を抱えた白い猫の姿があった。

    「いる…マジかよホントにいた…。ありが…あれ?いねぇ」

    猫に礼を言おうと振り返るともうその姿はなかった。まさか神の使いだったのかと非現実的なことを考えるが、今度から猫には優しくしようと心に決めて不死川にそっと近づく。

    「不死川」

    極力驚かさないように優しく声を掛けるが、不死川は膝に顔を埋めたままびくりと肩を揺らした。

    「悪い…八つ当たりしちまった。ちょっとイライラしてて。風も冷たくなってきたし、もう帰ろ?」
    不死川からの返事はない。それでも根気強く待っていると、消え入りそうな声が聞こえてきた。

    「ほっとけよオレのことなんか。オレじゃ…ダメなんだろォ?終わりにしようぜェ」

    不死川から放たれた信じられない言葉に驚愕する。不死川を見つけて謝れば仲直りできると思ってた脳天気な自分をぶん殴りたい気分だ。

    「ダメなわけねぇだろ!なんでそんなこと言うの?別れたくねぇ。浮気とか疑ってる?俺こう見えて一途なんだぜ」
    「………聞きたくねェ」
    顔を上げない不死川をそっと抱き寄せて腕の中に閉じ込める。

    「ゴメン。俺どんなに考えてもなんでお前が急にそんなこと言うのかわかんなくて…情けねぇ話だけど、教えてくれねぇ?」

    首元に擦り寄って囁くと、不死川が観念したように口を開く。

    「お前が妹さん迎えに行って…DVD観ようと思ってどれにしようか見てたんだけどォ、なんか後ろの方に隠し扉みてェなの見つけて。そん中にもDVDあって、前から見たかったやつあったから再生したら…」
    「えあそこに入ってるやつ…見たの?」
    サァッと顔から血の気が引く。

    「…お、男同士のAVで。びっくりしてすぐ止めたけどォ。他のはどうなのか気になって見てみたら…他のもそうで。数多いし系統もみんなバラバラだし…だから…お前は男が好きなだけで、別にオレじゃなくたっていいんだろうなって」

    あー…そーいうことね。謎は全て解けた。隠し扉が見つかるのは想定外だったな。一応あそこに入ってるヤツは全部カモフラージュのために中身入れ替えてたんだけど、見られちまったんなら仕方ねぇか。

    「オレにはキスしかしてこねェし、オレじゃ…勃たねェんだろォ?」
    「…違ぇよ。そりゃ俺様はド派手にモテるから男から告られたことも一度や二度じゃねぇけどさ、実際に男と付き合うのはお前が初めてだから…イロイロ勉強しようかと」
    「………へ?」
    驚いた不死川がやっと顔を上げた。赤くなった目元を親指で撫でながら続ける。

    「お前も初めてだろ?だからちゃんとリードしたいと思ってさ。…でももしお前が嫌ならシねぇし。カラダの関係なんか無くたって、俺はお前を愛してる。だから別れるとか言わないで。お願い」
    「……付き合って3ヶ月経つのに手ェ出してこねェから、オレはそういう対象じゃ…ねェのかと」
    「いやメチャクチャ対象だわ。しっかり勉強しねぇともたついたらかっこ悪ぃだろ。俺にだってプライドっつーもんがさ…」
    「……く…ハハッ。ハハハハ!」

    ごにょごにょと本心を語れば、不死川が肩を震わせて笑い出した。よっぽどおかしいのか目には涙を浮かべている。

    「あーァ。色々悩んでたのがバッカみてェ。帰ろうぜェ」
    「…許してくれんの?」
    「ケーキとプリンとおはぎなァ」
    「喜んで!…ぁいてて」
    立ち上がった拍子に足の小指がズキリと痛んだ。

    「?どうしたんだその足ィ」
    「あー…ちょっとぶつけちまって。だから追いかけるの遅れたわ」
    「ふゥん…」
    興味無さそうに返事した不死川が、ん。と言ってぶっきらぼうに肩を貸してくれる。そうやってなんだかんだ優しいよな。

    「にしてもよくここにいるってわかったなァ」
    「あぁそれ?猫に教えてもらった」
    「猫ォ?…お前足だけじゃなくて頭もぶつけたんじゃねェの」
    「マジなんだって。伊黒みてぇな左右で目の色違う派手な猫」
    マジかよオレも見たかったァ。と動物好きの不死川が悔しがる。そんな所もかわいいけど、俺今猫より大事な話あるんだわ。

    「…なぁ。ところでさっきの」
    「あ?」
    「手、出してもいいってこと?」

    そう聞くと途端に不死川の顔が赤く染まる。しばらく目をキョロキョロ泳がせたと思ったら、黙ってこくりと頷いた。

    「へへ。大好き♡」
    「…さっさと歩けェ」
    「はーい♡」

    暗い景色の中をくっついて歩く。火照った身体に冷たく吹き抜ける風が心地好かった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺☺💞💞💞😭❤❤❤👏👏👏🙏🙏🙏💞🙏😭😭😭😭😭💯💯💖💖💖☺❤💞💒💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    mao_skyland

    MOURNING随分昔にリクでいただいた『ケンカしたうずさね』用に書いてボツにしたやつ発掘したので供養。
    書き直す気力は無いのでそのまま。拙すぎるのでご注意ください。
    タイトルは『ネコネコネットワーク』の略です。
    NNN 不死川とケンカした。
    俺に対する態度が急におかしくなって、どうかしたのか聞いても「何でもねェ」としか言わず目を逸らされるからついイラッとする。

    「何?言いたいことあるなら言ってよ」
    「だからァ…何でもねェってェ」
    「明らかに何でもなくねぇじゃん。何でもねぇって言いながらそんな態度とるのやめてくんねぇ?腹立つんだけど」
    「……そーかよ。そりゃ悪かったなァこの変態クソ野郎ォ」

    不死川が俺目掛けてDVDのケースを投げつけてくる。難なく受け止めたが、その隙にスマホを掴んだ不死川がドアを開けて出ていく背中が見えた。


    これが5分前の出来事。なんですぐに追いかけねぇかっていうと、追いかけようとしてドアの角に足の小指思いっきりぶつけて絶賛悶絶中だから。地味なくせに痛ぇんだよ腹立つ…。よく見ると爪が剥がれて血が出ていた。あー最悪。なんとか立ち上がって絆創膏だけ貼り、サンダルを引っ掛けて足を引き摺りながら家を出る。
    3627

    mao_skyland

    MOURNING無惨戦後の余生うずさねです。
    なんかみんな余生上げてたから…。
    刀嵐3で掲載した『愛してるの代わりに』の前身となったもの。随分前に書いたやつだから視点がコロコロ切り替わって読みにくいし色々と荒い。
    べったー最近使ってないから非公開にしてしまったのでこっちで供養しておきます。一度これが原因で心が死んだことがあるので恥ずかしくなったら下げます。
    痣の寿命による死ネタ有り。
    共に見た景色は光り輝くあの日、鬼の始祖を倒して手に入れた平和な世界と引き換えに、オレは全てを失った。





    自分の命より大切な弟が、目の前で塵になって消えていった。骨の一本すら残らず、残されたのは中身の無い只の布。あいつにはオレのことなんざ忘れて、何処かで穏やかに暮らしてほしかっただけなのに。弟を連れて行かないでくれというオレの願いは、無情にも天に届くことは無かった。
    悲しみに暮れる間も与えられず、ただ我武者羅に刃を振るった。



    目を開けると消毒液のにおいのする寝台の上で、全身の痛みと発熱で回らない頭で自分があの世から戻されたことをぼんやりと思い出す。
    指先を動かすことすらできず、ただ天井を眺め続けているとガシャンという何かを落とす音が聞こえた。
    8487