Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    mao_skyland

    @mao_skyland

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💜 💚 💘 🍪
    POIPOI 15

    mao_skyland

    ☆quiet follow

    両片想いうずさね。素敵な呟きに見たい😍と飛び付いたら「ふりぃ素材だから使っていいよ」ってぶうめらん飛んできた=🪃(´□`)笑
    折角なので書いてみたけど、切なくしたかったのにアン〇ャッシュに💦さーせん😂
    キめ学の📿さんて目見えてるよね?🎴が描いた🐱の絵見て何だこれはって言ってたし。見えてる📿さん設定です。

    『遠回り』 ガシャン。
    穏やかな瞳で紡がれるその言葉に止めを刺されたような気がして、自分の中で何かが音を立てて粉々に砕け散っていった。





    「おっはよー。さねみチャン♡」
    「さねみチャン言うなァ」
    「固ぇこと言うなって。あ、なぁ煉獄。アレなんだけどよ」
    「うむ。それならもう済ませてあるぞ!」
    「マジか!サンキュー。さっすが付き合い長いだけあるよな」

    宇髄が煉獄と肩を組み、手でバンバンとその肩を叩く。なんてことない朝のやり取り。目の前で繰り広げられる光景に、ふいと目を逸らした。宇髄と煉獄は学生時代からの付き合いらしく、ひどく仲が良い。本来なら微笑ましい光景なのだろうが、オレはこの二人を見ているのが辛かった。

    いつからだったか。明確にここからということは無いが、気付けば宇髄のことを目で追うようになっていた。オレが困っているといつもさりげなく助けてくれる。一見チャラチャラしていていい加減に見えるが、その実優しくて頼りになるあの男に…惹かれた。しかし宇髄を目で追っていると、いつもその先には煉獄の姿。愉しげに笑い合う二人にきっとそういうことなのだろうと、自分の心に蓋をした。



    「ねーねー輩先生。先生ってカノジョいるの?」
    「んー?彼女はいねぇけど、好きなヤツならいるぜ」
    「マ誰だれ?ねぇどんな人?」

    ある日の放課後、たまたま美術室の前を通りかかった時にそんな会話が聞こえてきた。宇髄の声。相手は美術部の生徒だろうか。思わず足を止め、息を潜める。

    「そうだな…ちょっと何考えてんのかわかりづれぇ所もあるけど、家族想いですげぇ優しいヤツ。あ、あと笑った顔がかわいい」

    脳内に煉獄の屈託ない笑顔が再生される。少しだけ開いたドアから覗き見た、穏やかな瞳で紡がれるその言葉に止めを刺されたような気がして。音を立てぬよう、細心の注意を払って鉛のように重い足を引きずって踵を返した。

    ◇◇

    「…不死川。ここ、間違っているぞ」
    「え?あ…すみません!」

    悲鳴嶼さんに依頼されていた部費の支出管理データ。こういう類のものは数字の得意なオレが任されているのだが、野球部とサッカー部が入れ替わってしまっていた。サッカー部の欄にバットが入力されている。

    「お前らしくないミスだな。最近上の空だし、何か悩み事があるならば相談に乗ろう」
    「いえ…大丈夫です。すみませんでした。すぐに直します」

    幸い他に間違っている所は無かったが、仕事に支障をきたしている。悲鳴嶼さんにも迷惑を掛けてしまった。不甲斐ない自分に何度目かわからない溜息を零す。昼休みになって数学準備室に引っ込み、弁当を机の上に出してみたはいいがまるで食欲が湧いてこなかった。

    「いたいた。さねみチャンみーっけ♡」
    「う」

    ノックもせず急にドアがガラリと開き、目下の悩みの種が顔を出して口から心臓が飛び出るのではないかという程驚いた。椅子から転げ落ちそうになったところを、でかい手で支えられる。

    「おっと。なぁどしたの?最近元気ねぇじゃん」

    そう言われて少し腹が立った。どうしたもこうしたもねェ。原因はテメェだ!…とは言えず、「ちっとなァ」の一言で誤魔化す。すると目の前のやたらと整った顔の男がニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべた。

    「何なに?もしかして恋のお悩みかな〜?」

    ぎくりと肩が揺れる。紅い宝石のよう
    に煌めく瞳が好奇心に見開かれ、口元の笑みが深められた。

    「お!マジで?そりゃ悲鳴嶼さんには言えねぇか。どれどれ、天下のモテ男 この宇髄天元様が聞いてやろうじゃねぇの」
    「ッ…いらねェ!失せろォ」
    「あ、おいちょッ!しな…」

    当の本人相手に恋愛相談なんざできるわけあるか。オレなんかじゃ、お前と釣り合わねェ。そう、お前のような男の隣には、煉獄がお似合いだ。そう考えたところでいよいよ精神的に限界を迎え、グイグイと背中を押して宇髄を部屋から追い出す。鍵をかけ、でかい図体をなんとか閉め出した。

    「……ッ…」

    ドアに背を預けたままずるずるとしゃがみ込み、膝の間に顔を埋めた。ドンドンとドアを叩く衝撃が背中に伝わり何事か叫んでいる声が聞こえるが、今は何も聞きたくなくて耳を塞ぐ。ズキズキと痛む心臓に、帰りに胃薬を買って帰ろうと決意した。

    ◇◇

    「おっはよー♡さねみチャン。……あ…れ?さねみチャン?おーい」

    自分の感情を持て余したオレは、宇髄を心の中から排除することにした。顔を合わせる度におはよーだの調子はどうだのと話し掛けてくるが、全て無視を決め込む。それでも毎日めげずに声を掛けてくる宇髄の声が、日毎小さくなっていくことに気付いた。そして一瞬、ほんの一瞬だけ悲しそうな顔をするのを見てしまって。そのことがまたオレを追い詰める。

    オレは最低な人間だ。宇髄は何も悪くないのに。ただオレが自分の心を守ろうとして、宇髄を傷付けている。我ながらヒデェことしやがると思うものの、他に手立てが見つからなくて結局そのまま1週間が経過した。

    「不死川…顔色が悪いぞ。ちゃんと寝ているのか?」
    「…え?」

    5時間目の授業が終わり、職員室に足を踏み入れた途端。自分より二回りほどでかい手が伸びてきて、頬に触れられる。驚いて上を見上げれば、オレの顔をまじまじと覗き込む悲鳴嶼さんと目が合った。

    「たしか今日はもう授業は無かったはずだな?保健室で少し休みなさい。宇髄。お前も次は空きコマだろう。不死川を保健室に連れて行ってやってくれ」
    「へ、平気です!オレ…」
    「お前に倒れられると困る。これは命令だ。わかったな?」

    確かに食欲も無ければ碌に眠れもしない。ずっとそんな日々が続いている。宇髄という名前を出されて慌てて断ろうとするも、有無を言わさぬ瞳でそう言われあまりの威圧感に思わず頷いてしまった。頼んだぞ宇髄。そう言い残し、悲鳴嶼さんが子どもにでもするようにオレの頭をひと撫でして職員室を後にする。他の教師陣も続々と続き、残されたのはオレと宇髄の二人だけだった。気まずい空気の流れる中、6時間目の開始を告げるチャイムが鳴り響く。

    「…じゃあ行きますかね」

    ポリポリと首を掻き、明後日の方向を見ながらそう言った男に口を噤む。歩き出した男に続き、黙ったままその後ろをついて行った。保健室に辿り着き声を掛けるもそこに珠世先生の姿は無く、手前に置かれたベッドに腰掛ける。続く沈黙に耐えられなくなって、目線は下に向けたまま仕方なく口を開いた。

    「………あー…悪ィな付き添わせちまってェ。もういいから戻れよ」
    「……うわ…やっと口聞いてくれた。何日ぶりよ」

    所在無げに立ち尽くしていた宇髄が床にしゃがみ込み、はあぁと重い息を吐き出す。そろりと上げられた、ここ数日ですっかり覇気の無くなった紅い瞳にぎくりと肩が揺れた。

    「茶化したの怒ってんだろ?無神経だったよな…ゴメン。俺が言うなって話だけどさ、そろそろ許してくれるとうれしい。お前に無視されんの、地味にメチャクチャキツいんだわ」

    ホントゴメン!悪かった。と薄い眉を下げ、真っ直ぐにこちらを見つめてくる瞳にいたたまれなくなってつい目を逸らす。謝んねェといけねェのはオレの方なのに、どうにも言葉が出てこなかった。そんなオレに宇髄は拒絶されたと受け取ったようで、また一つでかい溜息を漏らす。

    「はぁ…ダメか。言い訳だけどさ、さすがに相手が悪ぃなって…ちょっと面白くなかったんだよな」
    「………は?」
    「なぁ…俺にしねぇ?」

    何を言ってるんだこいつは。相手って誰のことだ?俺にしろって…何が?頭の中が疑問符でいっぱいになって混乱を極めていると、立ち上がって近付いてきた宇髄の腕の中に閉じ込められる。途端にふわりと爽やかな香りが広がって、その逞しい身体と温もりに胸が高鳴った。

    「俺感情読むの得意だから人が何考えてるか大体わかんだけどさ、お前のことになるとなんかダメなんだよな。全然わかんねぇ。そんな顔してるお前もう見てらんねぇよ。諦めようとすればするほど…できねぇ。どうしようもなく好きだなって、思っちまう。なぁ頼むから…俺にしろよ。不死川」
    「………す…き?」

    お前が、オレを?そりゃ一体何の冗談だ。そんなはずあるわけねェ。だってお前は──

    「煉獄が好きなんじゃ…ねェの?」
    「え、煉獄…?」

    身体を離し、ころんと転がり落ちてしまうのではないかと思うほど丸められた紅が、不思議そうにオレを見つめてくる。綺麗だなと場にそぐわないことを考えつつ、思わず見つめ返してしまった。

    「なんで急に煉獄出てきたの?そりゃアイツはすげぇ良いヤツだし好きだけど、そういう好きじゃねぇっていうか…」
    「でもお前生徒に好きなやつ聞かれて答えてたじゃねェかァ」

    ──家族想いですげぇ優しいヤツ。あ、あと笑った顔がかわいい。

    あれはどう考えても煉獄のことだろう。その言葉を聞いて、オレはお前のことを諦めようと思ったんだから。

    「あぁアレ?お前のことだよ。目付きも口も悪ぃからよく誤解されるけど、家族想いで生徒想いで…ホントは誰よりも優しいヤツだって俺は知ってる。笑うとマジでかわいいし。だから俺は、そんなお前が大好き。お前が近くにいるのわかってたから、俺の気持ち伝わればいいなって…わざと聞こえるように言ったの」
    「………は?」

    あれが、オレ?じゃあ本当に…オレのことを?

    「なのに逆に避けられるわ、挙句の果てにはお前のこと怒らせて無視されるわで。俺も悲鳴嶼さんみたいにできりゃなぁ。情けねぇ話だけど、お前相手じゃ気軽に肩も組めねぇ。でも絶対大事にするし、お前のこと好きな気持ちは悲鳴嶼さんにも負けねぇぜ」

    …どうやら宇髄がオレのことを好きらしいというのはわかった。それはうれしいのだが、どうにも話がこんがらがってる。なんでこいつはそんなに悲鳴嶼さんに対抗心燃やしてんだ。

    「さっきから悲鳴嶼さん悲鳴嶼さんってェ…何なんだよ。あの人のことは尊敬してるし人として好きだけど、オレが好きなのは悲鳴嶼さんじゃねェ」
    「え、悲鳴嶼先生じゃねぇの?だってお前悲鳴嶼さんにだけ明らかに態度違ぇじゃん。よくしゃべってるし、素直だし。さっきなんか大人しくほっぺとか頭とか触らせちまってさ。…じゃあ誰?お前の好きなヤツ」

    悲鳴嶼さんじゃねぇなら俺余裕で勝つし!と急に息巻き出した男に、溜息を零して人差し指を向ける。それを辿って後ろを振り向き、当然だが誰もいないそこにキョロキョロと辺りを見渡してからようやく自分を指さして首を傾げた。

    「………え、俺?」
    「…お前ェ」
    「……………は?え?」

    オレがそう言ってもどうやら宇髄の脳ミソはまだ答えに辿り着かないようで、いつも頭の回転が速い男の間抜けな姿に苦笑する。なんでわかんねェかな。

    「ちょ、ちょっと整理させて。お前は悲鳴嶼さんじゃなくて俺のことが好きなわけ?んで俺はお前のことが好きだから…え、カップル成立じゃね?」
    「…ブハッ!言い方ァ」

    ようやく導き出された答えにキラキラと光を取り戻した瞳がおかしくて、ついに吹き出す。腹を抱えて笑うオレの身体が、再び宇髄の腕に閉じ込められた。ぎゅうぎゅうと顔を胸に押し付けられる。

    「笑うなよ。早く言えよな!うわ…恥ず。かっこ悪ぃ」

    ドッ。ドッ。と頬に宇髄の心臓の動きを感じる。それがひどく心地好くて、目を閉じた。どれくらい経ったか。しばらくそうしていると腕の檻から解放され、頬に手を添えられる気配に目を開ける。

    「改めて…好きだ不死川。俺と付き合ってくれる?」

    真剣な瞳に射抜かれて息を呑んだ。宇髄の顔は仄かに赤みを帯びており、普段何があっても飄々とどこか捉え処の無い男がオレのせいでこんなになっているのかと思うと気分が良くて口角が上がる。胸ぐらを掴み、目の前の形の良い唇に顔を寄せた。息をするのも忘れるほど夢中になって、口の端から銀糸が垂れる。



    随分と遠回りをしたオレ達の片想いは、今日同時に終わりを告げた。




    ━━━━━━━━━━━━━━
    📿さんは好き好きビームに敏感なので、もうこいつらはよくっつけって思ってる。たまよてんてーは📿さんが根回ししてるのでしばらく帰ってきませんよ。奥の🛏にはゆしろー君がいるので、とっとと出ていけってブチ切れてる。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💘💘💘💘💘💘💘🙌🙌🙌👍💖💖💖☺😍❤❤❤👏👏👏💖💕💘💖💖💖💖💖👍👍👍💖💕💯💞💯💯☺☺😍💘💘😍💖💖🙏🙏🙏💕💕☺☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    mao_skyland

    MOURNING無惨戦後の余生うずさねです。
    なんかみんな余生上げてたから…。
    刀嵐3で掲載した『愛してるの代わりに』の前身となったもの。随分前に書いたやつだから視点がコロコロ切り替わって読みにくいし色々と荒い。
    べったー最近使ってないから非公開にしてしまったのでこっちで供養しておきます。一度これが原因で心が死んだことがあるので恥ずかしくなったら下げます。
    痣の寿命による死ネタ有り。
    共に見た景色は光り輝くあの日、鬼の始祖を倒して手に入れた平和な世界と引き換えに、オレは全てを失った。





    自分の命より大切な弟が、目の前で塵になって消えていった。骨の一本すら残らず、残されたのは中身の無い只の布。あいつにはオレのことなんざ忘れて、何処かで穏やかに暮らしてほしかっただけなのに。弟を連れて行かないでくれというオレの願いは、無情にも天に届くことは無かった。
    悲しみに暮れる間も与えられず、ただ我武者羅に刃を振るった。



    目を開けると消毒液のにおいのする寝台の上で、全身の痛みと発熱で回らない頭で自分があの世から戻されたことをぼんやりと思い出す。
    指先を動かすことすらできず、ただ天井を眺め続けているとガシャンという何かを落とす音が聞こえた。
    8487