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    r_elsl

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    全て謎時空

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    狸のスレッタと狐の4号が女学校に通う話。
    ※獣が人間に化けている、女装、4スレ

    きつねのおまじない① とある山奥の狐たちの棲家、通称ペイル村の次期長老が決まり、影武者である雄狐の2匹もお役御免になりました。
     既にある年数──人間でいう大人の年齢に達していた為、村のしきたりとしてすぐに結婚相手を見つけて独り立ちしなくてはなりません。明るく振る舞う片方は早々に山を降りてつがいとなる人間の女の子を探しに行きましたが、もう片方の物静かな狐は一向に動こうとしませんでした。
     独り立ちにもつがいにも人間にも、ひいては村の未来にも何の興味もなく、人間がゴミとして捨てた本を拾って日がな読んでいるだけ。誰とも会話せず、一人で過ごすことが殆どです。次期長老の狐がどんなに言葉を重ねても、顔すら見ようとしませんでした。
     次期長老の狐はとうとう業を煮やしました。つがいを見つけるまで戻ってはならないという言葉と共に、物静かな狐を村から追い出してしまったのです。
     一夜にして寝どころを失ったその狐は、流石に困りました。山にも居られなくなると人間の住処で過ごす必要がありますが、人目のない場所はなく、落ち着いて本を読むこともままなりません。仕方なく長老の言いつけに従って、伝手を辿り人間の学校の入学手続きを取ります。
     しかしやはり何の興味もなかったので、適当に手続きを進めて入学したのは女学校でした。物静かな狐は雄なので、人間に変化しても男になります。とはいえきれいな顔立ちだったので、かつらを被り女性用の制服を纏ってしまえば女性として見えなくもありませんでした。
     おかしな状況に心配したペイル村の狐たちが流した、その生徒は病弱である噂も幸いしました。体育に出席することなく座学を程々にこなし、休み時間は読書に勤しみ、授業が終われば誰も来ない裏山の頂上という憩いの場所で静かに過ごし、日々を満喫していました。好成績をおさめる寡黙な狐を、いつからか学生たちは『氷の姫』と呼ぶようになります。
     狐の人間の名前はエラン・ケレス。狐であり男でもある彼が女学校で過ごす中で、とある女子生徒に出会い人生が変わる。そんなどこにでもあるお話です。


     ペイル村の山とは遠く離れた別の山に存在する通称サマヤ村は、狸の棲家でした。
     父、母、娘二人、お手伝いの五匹しかいない小さな村は、一切人間に関わらないよう山奥の更に奥の方にあります。人間のことなんて全く気に止めていませんでした──一匹を除いて。
     次女にあたるスレッタは、人間の生活に憧れていました。廃村となった家で見つけた少女漫画という本は、内気な狸に魔法をかけて夢のような人間の世界を見せてくれました。
     学校に通って友達を作り、図書館で勉強をし、好きな人とデートする。考えたこともない日常は、たぬきを虜にするには十分な魅力を持っていました。
     何年か経ち、ようやく母親に言い出す勇気を得ます。人間の学校に通いたいという願いはあっさり受け入れられました。母親の知り合いの博士という人物が通う手筈を整えてくれるというのです。
     家族に背中を押されたスレッタは、緊張と憧れを胸いっぱいに詰め込んで旅立ちます。
     その学校は、件の物静かな狐の通う女学校でもあります。人間の学校に、奇しくも人間に化けた動物が二匹集うことになりました。
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