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    pesenka_pero

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    pesenka_pero

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    クラさんをドラちゃんがかいがいしくお世話するお話その7。多分今度こそノスクラです。

    窓の外は星の海「……どうして。」
     
     口周りを血で染めて、私はただ呟くしかなかった。私は生まれつきの吸血鬼ではない。元人間ではあったが、だからこそ、私を吸血鬼に転化させたドラウスや、その実父であり竜の一族の御真祖様から、吸血鬼としてのしきたりについていろいろ教わってきた。人間を吸血鬼化させる方法も。

     教えられたとおりに、私は彼の首筋に牙を突き立てた。なのに何故彼は目を覚まさないのだ。野犬に四肢を食いちぎられた彼の傷口から血があふれ、土を赤黒く染めていく。竜の一族の直属ではない私には、彼を吸血鬼に転化させる力がなかったのか。私の目の前で、血とともに命が失われていく。

     ここは山中だ。これ以上野犬に体を荒らされないように深い穴を掘り、このまま彼を葬るべきなのかもしれなかった。だが、地面に手を置いて一度は土を掴んだものの、どうしてもためらいが生じた。
     
     彼は悪魔祓いだったにもかかわらず、ドラルクと私を、更にはあの黄色を、三人もの悪魔を庇わんとした。神から授けられた使命を三度も裏切ってしまった。その彼の魂を、天とやらは迎え入れてくれるのか? おそらく彼は地獄行きだ。ふざけるな。彼がどんな罪を犯したというのだ? 底抜けに善人で、私達悪魔こと吸血鬼を手にかけることができなくて、見逃してしまっただけだ。それなのにどうして、彼のよりどころであった教会を追放され、安息の地を失い、世界中をさまよい歩くことになった? 山中で野犬の餌となり、墓もなくそこいらの土に埋められ、地獄に堕ちねばならないのだ? そんなこと、絶対に許せない。この氷笑卿ノースディンが、決して許さない。

     季節外れの吹雪が巻き起こる。自分の能力が暴走していくのがわかった。私の目の前で、息を引き取る間際の男の体が厚い氷に覆われていく。

     眠れ。このまま眠れ。もう誰もお前を苦しめない。冷たすぎて他の者では直接触れることもできないだろう氷漬けの体に顔を伏せて、私はしばらく動けなかった。これが正しい行いだったのか、私にはわからなかった。
     
     彼の体を棺に納めて廃教会に安置したのは、神、そして教会に対する意趣返しのつもりだった。もう誰も信者が訪れずに廃墟と化した教会に、教会を追われた男が運び込まれ、吸血鬼の棺に収められて眠っている。さぞや冒涜行為だろう? 見ろ、神よ。これは敬虔でお前に誠心誠意仕えていた男だ。吹雪の悪魔との異名を持つ吸血鬼の氷に囲まれ、永遠の眠りに捕らわれて、今となっては天国に導くことも地獄に堕とすこともできなかろう。誰がさせてやるものか。

     その後はもちろん廃教会を何度も訪れてはいたが、私の能力のせいで氷の封をされ、蓋を開けることもできず顔も見れない棺を見るのはつらかった。そして時が経つのは早かった。百年もすると徐々に足が遠のいていったが、彼のことは氷の棘のようにずっと心に残っていた。


     ドラルクから連絡を受けて、新横浜の前にまずは数十年ぶりの廃教会に駆けつけたが、そこは更地と化していた。私はひとりその場に膝をついた。

     私は何をしてしまったのか。二百年もの時を経て、海を越えてまで、彼はまたさまようことになったのか。我々と関わってしまったばかりにもはや天国には行けないだろう彼を、地獄堕ちから救いたかった。無慈悲な神から守りたかった。誰も来ない静かな場所でゆっくりと眠らせてあげたかった。ただそれだけだったのに。


     いや、というかなんでよりにもよって新横浜なんだ!? 他に行く場所くらい世界各地のこにでも無数にあるだろうが! 出会い頭にひん向かれてボンテージ着せられたり他にもビキニとか股間が狂い咲きだとか、あの黄色にピカッとされて否応もなくY談を口からぶちまけさせられたりとか、人前でたいへんな目に遭うこと間違いないゴッサムシティだぞ!? 待ってくれ、十分すぎるほど地獄堕ちだ! 私のせいか? 私のせいだな! ああ! ほんと悪いことをした! せめて直接謝らせてくれ! はっと我に返った私は、慌てて廃教会の跡地を飛び立って、新横浜を目指して夜空を駆けた。 
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    pesenka_pero

    SPUR MEこちらの「密室( https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19509352 )」その後のノスクラ進捗です。私はとにかくこいつらをイチャイチャさせたい。
    密室その後 目が覚めると、私はそろそろ見慣れてしまったヴリンスホテルの一室のベッドに仰向けで横たわっていた。他の地のグループホテルのことは知らないが、ここ新横浜は吸血鬼が多いため、吸血鬼用に完全遮光仕様の部屋も数室用意されている。灯りの消えた室内は暗いが、今が夜なのか昼なのかよくわからない。

     私の上腕近くにはいつものように重みがあった。今更確認するまでもない。ノースディンが私の腕を枕にして眠っている。ああ、またやってしまった。申し訳ない気持ちでいっぱいになって、私は彼に向き直るとその体を抱きしめた。普段よりもひんやりしていた。私のせいだ。


     私はクラージィ。人間だった頃は悪魔祓いとして教会に仕え、黒い杭のクラージィと呼ばれていたが、二百年の時を経てこの新横浜に吸血鬼として目覚め、私を吸血鬼化した氷笑卿ノースディンと再会し、「昏き夢」という新たな二つ名を与えられた。ある日突然発動した私の能力に由来するのだが、その時の私は意識がもうろうとしていたため、何をしでかしたのか正確には思い出せない。
    1820

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