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    pesenka_pero

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    pesenka_pero

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    手記後のノスクラ第四話。タコパ回です。

    猫カフェナンパに続くはずのノスクラ四話。 初めて食べるたこ焼きはおいしかった。吉田さんと三木さんは慣れているようで、持ち手のついた串を使ってくるくると簡単に丸くしている。私も試させてもらったが、どうもコツがつかめなくてなんだかよくわからないたこ焼きの成れの果てを生成してしまった。責任を取って自分で食べようとしたのだが、中身は同じですよ、と言って彼らは笑って自分達の皿に取り分けた。私の皿には綺麗な球形のたこ焼きがどんどん積み上げられていった。

     料理上手な吉田さんが生地担当だったたこ焼きは、私が手出ししてしまったせいで本当によくわからないことになった謎の物体が紛れ込んでいても、口に入れたらおいしかったし、みんなで食べる食事は楽しかったが、三木さんが私の顔をじっと見ていることに気がついた。

    「何かありました? 暗い顔をしています。」

     吉田さんも言った。

    「三木さん、ぐいぐい行きますねえ。でも私も気になってました。」

     仕事先でいやなことでも? 私達でよければ聞きますよ。

     こたつとたこ焼き器を挟んでふたりは私をじっと見守っている。ノースディンと再会した直後でまだ気持ちの整理がついていなかったので、できれば話したくなかったが、このふたりに隠しごとはしたくない。

    「ジツハ、ワタシヲキュウケツキニシタオトコトアウ、シマシタ。」

     ノースディンと交わした短い会話と、タコパを優先してすぐ立ち去ったことを彼らに打ち明けた。すると吉田さんが叫んだ。

    「いや、ご近所さんなんだからタコパなんていつでもできますって! そっち優先してくださいよ!」
     
     三木さんも声を被せてきた。

    「そうですよ、絶対その吸血鬼、あなたに会いに来たんじゃないですか!」

     いや、シンヨコには彼の大事な方が住んでいまして、私とはただの偶然、と言い返そうとしたものの、ふたりに声を揃えて一蹴された。

    「いくらシンヨコったってそんな偶然ありますか!」

     それが誰なのかはまだ訊きませんけど、その吸血鬼、新横浜在住じゃないんでしょ!? クラさん、二百年ぶりに目覚めたって言ってたでしょ!? あなたの空白の二百年を軽く見るつもりはありませんが、あなたを吸血鬼したその方、二百年待ってたんじゃないんですか!? あなたが甦ったと知って、わざわざ会いに来たんじゃないですか!? 二百年ぶりなら何を話せばいいかわからなくて言葉足らずになってもある程度は仕方ないですよ!

     普段は私でも聞き取りやすいゆっくりとした口調で話してくれる彼らが矢継ぎ早にまくし立ててくる。半分程度しか理解できなくて、私はおろおろしてしまった。

    「その方の対応はとても悪かった。でもクラさんもあまりよくなかったですねえ。私達はご近所さんなんだから、タコパくらいいつでもできたのに。」

     次があったら、もっとちゃんとお話ししてあげてくださいよ。その人、いや吸血鬼の方は、きっとずっと、あなたに会いたかったのです。あなたが目覚めるのを待っていたのです。三木さんは食後の温かい緑茶を口にしながら、子供に言い聞かせるようにそう言った。吉田さんもうんうんと頷いていた。

     しかし次の機会などあるのだろうか。そもそもあの日のノースディンが私に会うためだけに新横浜を訪れたのだとはどうしても思えなかった。なんせここにはドラルクが住んでいるのだ。悪魔祓いだった私がドラルクの住む町で目覚めたと知って、私が彼に危害を加えないか確認しに来ただけだろう。二百年前に死にかけていた私を吸血鬼にしようとしたのもきっとただの気まぐれだ。人間だった頃にノースディンと出会ったのはたった一回きりなのだから。

     私はもう悪魔祓いではない。ドラルクを傷つけるつもりがあるはずもない。人間の友人達はもちろん、私も仲間入りすることになった吸血鬼の面々ともうまくやっていきたい。とんでもない町ではあるが、この新横浜で友に恵まれ職も得て、充実した日々を送っている。あの夜、私を救って新たな世界に導いてくれたノースディンには感謝しているが、彼と会うことは二度とないのだろう。
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    pesenka_pero

    SPUR MEこちらの「密室( https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19509352 )」その後のノスクラ進捗です。私はとにかくこいつらをイチャイチャさせたい。
    密室その後 目が覚めると、私はそろそろ見慣れてしまったヴリンスホテルの一室のベッドに仰向けで横たわっていた。他の地のグループホテルのことは知らないが、ここ新横浜は吸血鬼が多いため、吸血鬼用に完全遮光仕様の部屋も数室用意されている。灯りの消えた室内は暗いが、今が夜なのか昼なのかよくわからない。

     私の上腕近くにはいつものように重みがあった。今更確認するまでもない。ノースディンが私の腕を枕にして眠っている。ああ、またやってしまった。申し訳ない気持ちでいっぱいになって、私は彼に向き直るとその体を抱きしめた。普段よりもひんやりしていた。私のせいだ。


     私はクラージィ。人間だった頃は悪魔祓いとして教会に仕え、黒い杭のクラージィと呼ばれていたが、二百年の時を経てこの新横浜に吸血鬼として目覚め、私を吸血鬼化した氷笑卿ノースディンと再会し、「昏き夢」という新たな二つ名を与えられた。ある日突然発動した私の能力に由来するのだが、その時の私は意識がもうろうとしていたため、何をしでかしたのか正確には思い出せない。
    1820

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