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    namonakisaihate

    @namonakisaihate

    適当に欲と癖を爆破させた書き物とか落書きの吐き捨て場

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    namonakisaihate

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    前に書いた「呼び捨ての話」でゼルダをめちゃめちゃ赤面させたから、次はリンクの番だ! ……と意気込んで書いたはずなのにやはりリンクは筆者より一枚上手でした

    #リンゼル
    zelink

    膝の上の話 唐突だが、リンクを照れさせたい。それも長時間。
     ゼルダはじっと、リンクが日課にしている鍛練を地面に座って見ながらそう思った。
     前の呼び捨て騒動で自分だけ赤面祭りだったのだ。その後リンクは弱点について話してくれたのだが、少ししか赤面していないし、正面から見ていない。
     むぅ、とゼルダは頬を膨らませた。だけど、肝心の方法がわからない。
     ゼルダはリンクを照れさせる方法をあれこれ考えた。だから、防御体制がとれなかった。
    「ゼルダ」
     不意打ちで呼び捨てで呼ばれてゼルダの肩は大きく跳ねた。頬が熱くなる。いつもは身構えているのであまり熱くはならなくなったのに。
    「あ、顔が赤くなった。最近呼び捨てで呼んでもなかなか赤くならなかったから、寂しかったんだよね。まだ耐性ついてなくて嬉しい」
     リンクは汗を拭き取りながら、ゼルダの横に座った。ゼルダは恥ずかしくて顔を伏せた。
    「ねえ、ゼルダ、顔を見せてよ」
    「む、無理です!」
    「なんで?」
    「は、恥ずかしいからです!」
    「俺、ゼルダのその顔が好きなんだけど」
    「そ、それでも無理です!」
     ふーん、とリンクはしばらく無言で隣にいた。ゼルダは顔を伏せたまま息を吐いた。少しずつ頬が冷めていく。
     顔がいつも通りの温度になり、ゼルダはそろそろ顔を上げようかとした時だった。リンクが耳に口を近づけてきた。
    「ゼルダ」
     息が耳に当たるぐらいの至近距離でそう囁かれた。ゼルダの顔が一気に発火する。
    「リ、リンク」
    「やっぱり不意打ちは駄目なんだ。ゼルダの弱点もう一個見つけちゃった」
     リンクの吐息が耳に当たり続けて、ゼルダは身体を震わすことしかできない。
    「あ、あの」
    「いつもは赤面しなくなったのって、もしかして俺からの呼び捨てに反応しないよう身構えていたの?」
    「ち、ちが……」
    「どうなの、ゼルダ? 答えてくれないとずっとこのままだよ」
     至近距離で呼び捨てで呼ばれるという、ゼルダにとっては拷問みたいなことだ。一刻もこの状況から逃れたくて、ゼルダは声を上げた。
    「そう、です……顔が赤くなっているのを見られたくなくて……」
    「へえ、じゃあ、ゼルダは俺からの呼び捨てを期待していたんだ」
    「……!? ち、違います! なんでそうなって……」
    「なんでって、常に俺からの呼び捨てについて考えていたんでしょ。それって期待しているのと同じじゃん。嬉しい」
     そう言って、ようやくリンクが離れた。ゼルダは無意識に力を入れていた身体を緩めた。だが、まだ顔は伏せたまま。
    「ゼルダ、そろそろ顔を見せてよ」
    「まだ顔は熱いです! できません!」
    「……じゃあ、これはどう?」
     すると、突然ゼルダの身体が持ち上がった。
    「きゃっ! ……リ、リンク!?」
     気づくと、ゼルダはリンクの膝の上に座っていた。リンクはゼルダのお腹に腕を回して逃げられないようにする。
     背中からリンクの体温を感じて、さっきよりゼルダは混乱した。
    「これなら互いに傍にいるって感じられるね。ゼルダも顔を伏せなくていいし」
    「そ、そういう問題じゃなくて……!」
    「それと」
     リンクは再びゼルダの耳元で囁いた。
    「呼び捨ての訓練をしようか」
    「え、あの、待って……」
    「ゼルダ」
     その瞬間、ゼルダは足の先から頭のてっぺんまでゆで上がった。
    「あ、あ、……」
    「ゼルダ可愛い……もっと呼びたくなる……ゼルダ」
    「あ、む、むりだって、こんな、はずかしい……」
    「なんで恥ずかしいの?」
     混乱しきって何も考えられないゼルダは、その質問に対して素直に答えてしまった。
    「だってぇ……みみもとで、よびすてでぇ……ひざにのせられているし……リンクのたいおんを、ずっとかんじられるし……」
    「俺もゼルダの体温を感じられて嬉しいよ。あと、名前呼ぶ時、心の臓の音が早くなるね……ゼルダ」
    「うそぉ……なんで……」
    「ゼルダ……本当に可愛い……ずっとこうしていたい……」
     リンクはゼルダのうなじに頬を当てた。ゼルダはそれだけで身体を大げさに跳ね上げた。
    「もうやめてぇ……しんじゃうって、たすけてぇ……」
    「今日は一回呼んで赤面しないようになるまで頑張ろうか」
    「いっかい……? それなら、すぐにおわりま……」
    「ゼルダ」
    「あっ……」
    「あれ、耳の先が真っ赤なままだ。これは長期戦になるな」
    「え、あ、あ……」
    「ゼルダ」
     結局、ゼルダは日が沈むまでリンクの膝の上に座っていたのであった。
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    四 季

    MAIKING「コログからの贈り物(https://poipiku.com/4663883/6648540.html)」の本題として書いている話。半年くらい書いているのですが終わる気配がないので、とりあえずきりのいいところまで。この後リンクが馬でハイラル中を旅に出ます。
     実際にゲームで「馬でハイラル一周」しているのですが、結構大変。
     でも、色々な景色が見られて、ますますハイラルが好きになりました。
    雲霧披きて青天を観る① リンクは困っていた。
     厄災との戦いを終え、一月ばかりの時が流れたが、ゼルダの体調が思わしくなかったためだ。
     一月前、戦いが終わったその足で、二人は自然にカカリコ村に向かった。カカリコ村はいまだハイラル王家に忠誠を誓うシーカー族の暮らす村であり、何よりゼルダの解放を待ちわびているインパの待つ場所である。まずはそこへ向かうのが自然なように思えた。
     百年前はともに越えられなかったハテノ砦を、厄災討伐を終えた今、ゼルダとともに越えることの感慨を噛みしめながら、リンクはまだ足元がおぼつかず、一人で騎乗することのできないゼルダを抱き抱えて馬に乗った。
     馬を駆るのは人馬一体と評されるほど慣れているリンクだが、このときはいつもと少し様子が違った。ハイラルで最も尊いひとをその身に任されているのだという緊張感とともに、どういうわけか、寄りかかるゼルダの重みと温もり、規則正しい呼吸に、リンクは限りない安堵と、ほのかな胸の高まりまでも覚えていた。
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    四 季

    DOODLE百年前リンゼル(割とリン→ゼル風味)。
     リンクに、「姫様は自分にとって月のようなひと」と言わせたかっただけの読み物。

     (以下、長い蛇足)
     最近某番組で「星は自分を燃やしながら輝く存在」というのを聞いて(「地○の星」に対するコメント)、太陽も同じ恒星で、その輝いている太陽が実は苦悩多い存在だと気づいたからこそ、姫はリンクにとって特別な存在になったんだろうなあと思いながら書きました。
    THE SUN AND THE MOON「姫様は自分にとって、空に浮かぶあの月のようなひとです」

     ──リンクのその言葉に、私は黙って彼の視線のその先にある、夜空に浮かぶ月を見上げた。

    【THE SUN AND THE MOON】

     ──王妃様はさながら太陽、姫様はまるで月のようですね。

     幼い頃、周囲からそんな言葉をかけられるたび、大好きな母が褒められているのだと感じて、嬉しかったのを覚えている。
     自分にとっての母は、優しく、時に厳しい、大好きな母親であると同時に、その存在そのものがハイラルに安寧をもたらしてくれる、尊い存在だった。
     ハイラルから厄災の影が消えて久しいが、それでも民たちは母を、ハイラルを守る姫巫女として敬い、慕ってくれた。そして、母とともにハイラルの各地に赴けば、誰もがその血筋を、そして「ゼルダ」という母のその名を褒め称えた。
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