Ich freue mich, Sie nach langer Zeit wiederzuseh.一軍のメンバーが日本に合流した。
ドリームチャンスレースの代表に選抜された。
それを機に、新しいマシンが与えられた。
ここから先は、負けることは許されない。
早速マシンを把握する目的も含めて、寮の自室でベルクカイザーに触れる。
他のメンバーはまだ日本に到着したばかりで、生活リズムが馴染んでいなかったり、荷解きが済んでいない。
現に、ミハエルは「時差ボケが治ってないから」という理由でドリームチャンスレースの出場を辞退した。
他のメンバーよりも先に日本に滞在していたからこそ、完璧に仕上げて、チームの勝利に貢献する。
去っていった二軍のメンバーのためにも、
そしてこれから共に戦う一軍メンバーのためにも。
そうしている間に、あっという間に夜になっていた。
元々機械を弄るのが趣味だったので、セッティングやメンテナンスの時間は苦にならない。
構造も性能も今まで使用していたマシンと全く異なるが、現状出来うるベストは尽くせたはずだ。
これで明日のドリームチャンスレースに、全力で立ち向かえる。
デスクに向かって一息吐き、集中が解けたその時。
背後でドアが開く音がした。
他のメンバーは、ミハエルを含め大概断ってから入ってくる。
ノックをしない、と言うことは…
「シュミッ…えっ」
振り向きざまに抱きしめられた。
よく見ると、少し髪が乱れて跳ねている。寝起きのようだ。
「…どうしたのですか」
「栄養補給だ」
「どこか具合が優れないのですか」
「今、良くなった」
「しかし、まだ無理をなさらない方が…」
「おまえは昔から機械のこととなると寝食を忘れるのは変わらんな。変わってなくて安心した。夜も遅いのだから、おまえもほどほどにしておけ」
腕を解き、足早に部屋を去るシュミット。
目で動きを追っているうちに、ドアが閉められる。
…おそらく、シュミットもヨーロッパから遠く離れた地に来てまだ体調が万全ではないのだろう。
いつも自信に満ち溢れていて、貴族としての振る舞いを忘れない高潔な彼が寝癖のまま歩くくらいには。
それなのに、より体調が優れないミハエルに代わりチームで陣頭指揮を執って、気丈に振る舞っている。
きっとこの後、彼の部屋を訪れようが、明日の朝改めて体調を問おうが、いつも通り身なりを整えて『問題ないぞ』と言うに違いない。
ならば。
「…明日は、全力であなたを支えますよ」
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題名はドイツ語で「久々に会えて嬉しい」です。
たぶん好きなひとの前で弱みを見せるカプが癖なんだと思います、はい