あくあし 葦人と阿久津のふたりは、目が覚めると見慣れぬ部屋に閉じ込められていた。時計も無ければ装飾品も何もない、無機質な部屋。そう、ここはご都合主義が通用する、いわゆる◯◯しないと出られない部屋である。さっきまで、寮の部屋で眠っていたはずなのに、と思いながら阿久津は試しにひとつしかない出入り口のドアノブを掴んでみるが、まったく動きそうにない。
「ッチ。何なんだ、この部屋はよぉ」
葦人にとって、機嫌の悪い阿久津と同じ空間に閉じ込められている状況など居心地が悪くて仕方がない。なんとか脱出する方法を見つけなければ、と焦っていると、部屋の中央に電子モニターが降りてくる。画面には、『相手を◯◯◯◯させないと出られない部屋』と書かれていた。
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