こんな日が、続けばいいのにグラナートで迎える何度めかの朝、目が覚めるとまだまだ眠りの世界を散歩したままな立香の姿が隣にあって…あどけない寝顔を僕に見せる彼女と昨晩も互いの温もりを分かち合う時間を過ごしており、その時見た艶めかしい様子が脳裏を何度もチラつくと思わず口角も上がってしまった。
「ハハッ…堕ちたものだよな、僕も」
「う…にゅ、おかわり…もう一杯、だけ…すぅ、すぅ…」
「コイツだって…まったく、暢気な奴め」
心の奥に抱える漠然とした焦りや不穏さが鳴りを潜めるほど夢中になり、それでも運命だとは言い切れない僕をありのまま受け入れてくれる存在…そんな彼女に自分から一体何を残してあげられるだろうなどと、まるでここからいなくなることを前提とした思考が脳内に巡った瞬間ハッとする。
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