「見つけた。ロナルド君。」
その声の持ち主は突然現れた。
開いたドアの向こうから、当然のように敷居をまたいで。
「……?」
ズカズカと部屋へ入ってきた痩身の男は、ロナルド君へ歩み寄り、その細い腕でロナルド君を抱きしめた。
「……え、ちょ…えっ?」
動揺し、動けずにいるロナルド君。
その肩越しから見つめてくる見知った赤。
「……その手を離せ。」
やっとそれだけを絞り出した私に向かって、細まる赤。
「嫌だと言ったら?」
挑発的に上がる口角に、苛立ちが、つのる。
「離せ。」
細い腕を掴む。
非力な私だが、相手もまた非力だ。
何故そんな事が分かるかって?
分かるとも。
細い体。
赤い瞳。
尖った耳。
鋭い牙。
…特徴的な角のような髪。
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