ふたりぼっち ダンデがチャンピオンになって3年目。
チャンピオン防衛戦を見事勝ち抜き笑顔を浮かべトロフィーを掲げていたあいつが控え室で一人うずくまって泣いているのを見つけた。
先ほどまで笑顔を浮かべていた顔を歪ませ、爪が手のひらに食い込み突き刺さるほど強く強く握りしめて死にたいと、ひとりぼっちはいやだと、皆で強くなりたいのに自分は他人の夢を折ることしか出来ないと血を吐くように悲しみを吐き出すあいつに
「それならオレがお前に負けないくらい強くなる。オレがお前と一緒にいてやる。今日からふたりぼっちなら、寂しくないだろ?」
そういって涙をぬぐってやった。
ライバルになって、ふたりぼっちの片割れになって……恋をしたのが5年目
ひまわりのような笑顔が愛おしいと思った。
一生ダンデと共にありたい。ふたりぼっちの片割れではなく恋人になれたらそう思うようになった。
花を散らす嵐のように激しく、それでも枯れぬ恋がいつしか愛に変わっていったのは8年目。
ダンデに勝って思いを告げる。そう立てた誓いは果たすこと無く10年目のあの日ダンデの頭から王冠が落ちた。
そしてあの日。
ダンデがチャンピオンではなくなった後からダンデはオレさまの前から姿を消した。
ふたりぼっちの片割れが消えてしまえばひとりぼっちになってしまうのに。
あいつ自身がいやだといったひとりぼっちに……
なのにあいつはオレのまえから消えてしまった。
「やっぱりオレさまが弱かったのがいけないのかな?」
あの日ダンデと戦ったのがオレだったら?
そもそもあの日ダンデを引き留められていたら?
「いや、タラレバを言っても仕方ないだろ?しっかりしろよオレさま」
そういって自分で自分の頬を叩く。
うじうじしている暇はない。
とにもかくにもダンデをまずは探しだそう。
「ぜってぇ見つけ出すからなダンデ」
そういってキバナは腰のホルダーに手を掛けたのだった。
それからしばらくしてようやくみつけたあいつはオレの片割れではなくただの人みたいになっていた。
バトルとはほぼ無縁の、オレの大事なダンデではないただの人に。
そんなはずはない、あのダンデが。
強さゆえに孤独になり、それでも強くなることを諦めきれないバトルジャンキーな、二人ボッチの片割れが。
バトルがなくても生きていけるただの人のような姿で笑って生きていた。
ショックだった。
王と共に片割れまで俺は失ったのか
オレだけバトルの世界に置き去りにするのか
様々な思いが溢れてそれはいつしか怒りへ変わる。
そんな事は許さない。許せないだから俺はあるかけに出ることにした。
ネクスト→ゲームしようぜ