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    特攻ぽんこつ透明人間

    @kakitabetaiiiii

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    Caricature Patty!!!
    2024.02.23 fri - 24 sat |2day
    アイドル世界線のふみ天
    アニメオリジナル「SK∞」とクロスオーバーSS
    5月グロリアス頒布予定「あんまり覚えてないや」の続きっぽいけど、別軸なのでSSだけでも読めます。
    -----
    「いっぱい食べる正邪様」企画にて寄稿
    ネップリ登録済(A3 8P折本 1枚100円)
    セブン推奨 67947846

    #カリパ
    #ふみ天
    #カリ腐マ
    crsm bl
    #せーじゃのおかわり

    意外になくはないと気がついた雪が解けたら春が来ると応えた最初の人物は誰なのか。
    肌を刺すような寒さから肌を擦り、体温を逃がさないように身を丸めていた季節から、昼間は半袖1枚でも過ごせるほど過ごしやすい気温に地元沖縄の人達も心做しか浮き足立っているように感じる。

    「ふみやさん、こちらで間違いないかと。」
    「へ〜……美味しそうな店構えだね」

    大通りから1本細い道へ曲がった先に見えた白壁の建物の1階には、木製の扉を挟むように、左右にひし丸型の花ブロックが塀のように構えていた。左側の塀には緑白赤の縦三色旗が描かれていることから、目的地であるイタリア料理屋に間違いなさそうだ。

    ゆったりとしたクラシックの音楽と、厨房からは包丁がまな板を小気味よく叩く音、温められた油が水分を含んだパスタを蒸発させる音で店内は包まれていた。

    「イタリア料理初めてだから、マナーとか分かんないんだけど。」
    「気さくなお店と友人から紹介されているので安心していいですよ。」

    貸切にされている店内にも関わらず、ふみやと天彦は厨房が覗けるカウンター席に並んで座らせられた。正面で向かい合って食事をするよりも、目線が合わないぶん、ふみやとしては気が楽だが、暑さで露出が増えた腕や脚がカウンターの下で時折ぶつかり、邪な感情が湧き上がってしまう。
     
    親しい関係ではない他人からすると、感情の起伏が表情に出にくいふみやの評価は「何を考えてるのか分からない」というものだった。
    しかし、同じ屋根の下に暮らし、共に衣食住を過ごすシェアハウスの住人たちからすると、「分かりやすかった。」
    隠すつもりもないが、公表するほどでもないからと、聞かれない限りは黙っていたが、
    やっと2人の関係に「恋人」と言う繋がりが出来てから、ふみやの変化は明白だった。
    食事の時は自身の隣の席へ呼び、美味しいと思ったものを分け与える行動に、天彦を含めた住人たちが目を丸くさせる驚きの変化だった。

    「あの食いしん坊のふみやくんがね〜テラくんビックリだよ」
    「俺が一口寄越せって言ったら、あいつ一口で全部食っちまったんだぜ?」

    ウケんだろ、と笑う慧とテラの声がリビングへの扉を開けようとしたふみやの手を止めた。一緒に過ごす住人がふみやの変化について話す声を聞き、一番に動揺したのはふみや自身であった。体の関係から始まってしまったことで、正式に恋人となるまでに時間が掛かったのを差し引いても、特別扱いした気はなかった。故に、今までどのような態度で接していたのか分からなくなり、今日までまともに天彦と会話ができないでいた。
     
    そんな折に、沖縄でミュージックビデオの撮影予定が入り、恋人になってから初めての宿泊に天彦も気もそぞろになっていた。ふみやの態度が突然よそよそしくなり、会話をしない訳では無いが目が合わないことに天彦は胸が冷める思いでいた。やはり年の離れた人間とは付き合えないと思われたのか、はたまた、何か失礼な態度をしてしまったのかとふみやに聞いたが、「別に。天彦は悪くないよ。俺の問題」と距離を取られてしまった。
    シェアハウス生活で互いに遠慮してたのもあり、住人たちから「たまには開放的になってもいいんじゃない?」と天彦とふみやは同室の部屋を割り当てられた。この機会に少しでも距離を縮めたいと思い、沖縄に詳しい友人ならば、何処か良い場所を教えて貰えないかとの連絡を取った。

    「メール読んだよ。WSAに恋人が出来たんだって」
    「あまりからかわないでください、愛之介さん。」
     
    幼き頃から親同士の懇親会等でよく見かける歳の近い同性の相手だったのと、生まれた家庭環境が似ていたのもあり、天彦と愛之介が親しくなるのに時間はかからなかった。
    何もなくても時折連絡を取り合っていたが、東京と沖縄を往復する政治家、神道愛之介の仕事の邪魔になると思い、気を利かせたはずのメールは無視され、携帯の液晶には愛之介からの着信を知らせる画面が表示されていた。画面をタップすると、実に愉快そうな声色が電子越しに伝わってくる。

    「レストランは僕が手配しておくよ。ちなみに、僕の犬がおすすめするラブホも教えようか?誰にも会わずにドアトゥドアでベッドインできるぞ」
    「それはそれで気になるので、別件でメール送ってください」
     
    天彦は素直で良いな、と喉をクツクツと震わせた愛之介の後方から、何か物がぶつかり落ちる音と、「愛之介様」と慌てた声が聞こえたのが数日前の話だ。

    「愛抱夢から「可愛い友人が初めてできた恋人を連れていくから貸切にしておけ」って電話がかかってきた時には驚いたが、天堂家の人間って言うなら話は別だ。俺たちスケーターがバカやった時にあんたんとこの病院では散々世話になったよ」

    オーナーである南城虎次郎の豪快に笑う姿に、緊張が解れたのかふみやは遠慮を忘れ、「パンケーキください」と注文を入れていた。

    「天彦、これ美味い」
    「あ、」
    口にまだパンケーキが残った状態で隣に座る天彦に感想を伝えただけのはずだった。だが、その流れが当然のように天彦は口を開き、「くれないんですか?」と訴える目と、傾げる首に喉が詰まる。

    「同じの頼めば良いだろ」
    「そんなに食べられませんよ」

    困ったように眉尻を下げた天彦の表情にドクリと心臓が重く跳ねる。そんな顔をさせたいわけじゃない、違う。でも、この感情が分からない苛立ちにフォークに指した欠片を天彦の口に無理やり押し込む。

    「嗚呼!大胆なふみやさんもセクシー!」
    「うっさ。」
    「ふふっ、一緒に食べるパンケーキは美味しいですね。」

    いちごソースとアイスが乗せられたケーキがより一層甘さが増した気がした。

    「意外になくはないかも。」
    「わ〜……ふみやさん、それ若者言葉ですよ。」
    「だって、オレ、若者だもん。」
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    アニメオリジナル「SK∞」とクロスオーバーSS
    5月グロリアス頒布予定「あんまり覚えてないや」の続きっぽいけど、別軸なのでSSだけでも読めます。
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    「いっぱい食べる正邪様」企画にて寄稿
    ネップリ登録済(A3 8P折本 1枚100円)
    セブン推奨 67947846
    意外になくはないと気がついた雪が解けたら春が来ると応えた最初の人物は誰なのか。
    肌を刺すような寒さから肌を擦り、体温を逃がさないように身を丸めていた季節から、昼間は半袖1枚でも過ごせるほど過ごしやすい気温に地元沖縄の人達も心做しか浮き足立っているように感じる。

    「ふみやさん、こちらで間違いないかと。」
    「へ〜……美味しそうな店構えだね」

    大通りから1本細い道へ曲がった先に見えた白壁の建物の1階には、木製の扉を挟むように、左右にひし丸型の花ブロックが塀のように構えていた。左側の塀には緑白赤の縦三色旗が描かれていることから、目的地であるイタリア料理屋に間違いなさそうだ。

    ゆったりとしたクラシックの音楽と、厨房からは包丁がまな板を小気味よく叩く音、温められた油が水分を含んだパスタを蒸発させる音で店内は包まれていた。
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