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    sena_inui0603

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    sena_inui0603

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    『高専時代の灰と七も🐯みたいに呪力操作の人形のやってたんじゃないかな。でも五が来ると情緒が乱れがちの七とか萌えね?』という妄想から

    十数年ぶりに書いてみた小説なので設定とか
    細かいところはご容赦を……
    加筆修正してそのうち支部にもあげたい

    #五七
    Gonana

    五七&灰+七小説(仮)ここは呪術高専の地下深く。
    扉を開けて薄暗い階段を数段下りた先にある
    一室で、金髪の少年と黒髪の少年がソファーに
    並んで腰を下ろしつつ、なんとも言えない
    フォルムのぬいぐるみをそれぞれ胸に
    抱えながら目の前の液晶画面をじっと
    見つめていた。

    熊のような形をしたそれは2匹揃って
    鼻ちょうちんを作りながらぐーぐー眠っていた。

    静かなその光景とは反対に流れる画面には
    何やら海外風のアニメキャラが画面中を走り回り
    時には目玉が大きくなったり身体が縮んだりと
    コミカルな動きで派手に暴れている。

    同じ映画を見ているのに関わらず黒髪の少年は
    時折こらえきれず吹き出しては、
    目を覚ましたぬいぐるみに顔面を殴られいたたたた…と頬を抑えてるが、
    金髪の少年の反応は対照的で、切れ長の目を細めてはつまんなそうに、はぁぁぁと長いため息をついていた。

    「これ、おもしろいですか…?先日払った呪霊に
    似ててなんか腹が立つんですが」
    「えー?それはそれこれはこれ!
    なんか普段海外のってみないから新鮮だよ?」
    「まあ……ある意味ここに来て以来普段見ない
    作品ばかりで新鮮……いやそれ通り越して
    ちょっと飽きてきたような」

    と、机の上にある山積みになっているありとあらゆる種類のDVDのパッケージを見つめ、はぁとまたため息を着く。

    「そんなつまらそうにしなくたってさぁ。
    ほらこれとかよかったじゃん?」

    にやりと笑いながら、山が崩れるのも気にせず
    下の方から引っ張り出してきたのはこれもまた海外作品だが今流れてるものとは違い動物と子供たちが戯れてるハートフルなパッケージだった。

    「ゔ……それは…」

    癒し系のはずの作品にもかかわらず、ますます眉間のシワを深くして、無意識だろうか右頬を
    そっと抑えながら反対の手でそのDVDを
    机の奥に押し返した。

    「七海って案外涙脆いよね……感情移入しすぎて
    呪力忘れて殴られるとか悲惨すぎる」
    「……別に涙脆くなんてありません。
    殴られたのは…。そう修行が足りないだけです」
    「その修行がこれな気もするけど。
    まあそれはともかく、これって
    後どのくらいやらないといけないんだろ??
    言われてなかったよね終わり」
    「先輩たちは三日で終わったって聞きましたが」
    「あ、聞いた聞いた。夏油さんが1番早くて、
    さすが冷静沈着だけあるなぁと!」

    黒髪の少年が憧れの先輩を見るようなキラキラした眼差しで話すと

    「反対にまあ一応1年ってことで試したどっかの
    御三家の誰かさんは呪力過多で壊しかけて
    即中止になったとか。繊細さって持ち合わせて
    ないんですかねあの人」
    「泣くのはさ我慢できても笑うって中々制御
    出来ないし元の呪力がすごかったら逆に
    難しいのかも?」
    「まあ無表情なあのひとは想像できませんが」

    先日見た寮の一室で酒(1人はジュース)を飲みながら巷で人気のお笑い番組をみて、
    これ俺たちでもでれそじゃない??とか
    馬鹿笑いしていた1つ上の先輩たちの姿を
    脳裏に描く。

    「でも僕らもさ!!
    この一週間でだいぶコントロールできるように
    なってきたし、今日は2回しかなぐられなかったよ!」
    「たしかに初日はお互い酷い有様でしたからね…」
    「こんなことに呪力使えるかと家入先輩には
    見捨てられるし、腫れた顔みて五条先輩
    爆笑するし」
    「夏油先輩だって心配してる素振り見せてるようで
    そういえばこんなアニメあの時見たよなと
    結局笑い出すしましたしね」

    その両目の周りにクマ作った灰原の顔だの、先日の呪霊だの散々なことをいわれていることを
    画面の中のキャラは知る由もなく
    自由に飛び跳ねている。

    そんな映像をぼーっとみながらたわいの無い会話を
    していたが、時間が経つにつれ
    段々自室で過ごしてるかのように姿勢も崩れ
    各々の隣にある肘掛けに凭れかけながら、
    食べ盛りの少年たちは本日の晩御飯の
    おばちゃん特製カレーを楽しみに時間が
    過ぎ去るのを待っていた。


    はずだったが


    ドドドドン!!!

    突然、テレビの音がかき消される勢いのノック音が
    狭い地下室に反響してさらに大きな音を立てて
    鳴り響いた。

    「う、うるさ…」

    思わず耳を塞ぎつつ、目を覚まして腕を回し出した人形に慌てて呪力を入れ直し、
    薄暗くてまだ姿が見えぬ来訪者がいるはずの
    階段を見つめていると

    バン!!

    と音を立てて長身の銀髪の男がいきなり
    滑り込んできて

    「よ!!」

    と、挨拶にもなっていない声をあげながら
    なんの遠慮もなく2人の少年のいるソファーに
    どんっと腰をかけた。

    比較的華奢な二人だったがために一応座れたといえば座れたが快適なはずもなくぎゅうぎゅうである。

    「ちょ!!なんですかいきなり!!」
    「七…いやお前らが全然出てこないからよ
    生きてるかなって様子みにきてやった!」
    「見ての通り生きてます!!
    狭いからどいてください!」
    「むしろもっとそっちいけ」
    「無理に決まってるでしょ!!」
    「せ、せまいぃぃ」

    黒髪の少年があまりの狭さに早々に諦めて席を立つ。
    手にはしっかりぬいぐるみを抱えていた。

    「っ…はぁ。そんなに座りたかったら一人でどうぞ」

    金髪の少年も立ち上がりかけるが、腕をグイッと
    ひっぱられ、なすすべも無くドスンと再度ソファに
    座り込む。

    「いたっ!!なにす…!」
    「お前までどいたら後輩全部押し退けて座る
    すげぇ感じの悪い先輩になるじゃん」
    「その通りじゃないですか!!」

    あまりの言い分と横暴さに片手に呪力をため
    『私の術式は…』と開示し殴りかけるが、
    もう片手の人形にも入れ続けないといけないため
    まだ入学してまもない少年には上手くコントロール
    できず、結局、キッ!と睨みつけて手を払うだけに
    留まる。

    「っ…!!
    ……はぁ。ホントのところはなんなんですか」
    「いやー、傑との体術も飽きたしそろそろ
    お前たちで……お前たちと遊んでやろかなと」
    「ほんとあんたクソですね!うわっ!」

    時折ピクピク動く素振りを見せつつも
    かろうじて止まっていたぬいぐるみの腕が
    突如金髪の少年の頬を打ち付けるが、
    とっさに避けられなかったため透き通るような
    日本人離れした白い肌に赤い擦り傷が残る。

    「っくそ」
    「うわー、いたそ」
    「…誰のせいで」
    「俺のせいにしたい?」
    「……いえ」

    あなたのせいです!自分はさっきまでは
    本日の殴打数ゼロだった!!

    と言いかけたが、この男のせいで心乱れたかと
    思うと何がという訳ではないが負けた気がするので
    咄嗟に言葉を飲み込んだ。

    「……で、生存確認はできたでしょう。
    体術は今日は無理です、夜蛾先生の許可がでるまで
    夜はここでの生活なの知ってるでしょう?」
    「まあな。……じゃあ俺も見ててやる」
    「は??なんの意味が」
    「あ、僕、追加の飲み物とってくるねー☆」
    「ちょ!灰原!!」
    「さんきゅー!」
    「………あ!」

    バタン!!

    扉が大きな音をまた立てて閉まるのを
    腰を上げてジト目で見守るもののしぶしぶ
    座り直して横の先輩に目を向ける。

    「狭いんですけどもっとちっさくならないんですか」
    「おれ、成長期だから無理無理。
    むしろお前、身長に対してひょろすぎね?」
    「余計なお世話です!!」

    話してても余計にストレスが溜まるだけだと
    悟り、もうとっくに話の内容など分からない
    海外アニメに目を向けるがいいのか悪いのか
    丁度終わりを迎えたようで画面がホームに戻る。

    「次、なにみんの?」
    「………………」
    「見せろって」

    これを見ろリストを手に取り無言になってるのを見て
    ひょいとメモをのぞき込む。

    「……恋愛ものか」
    「………………」

    (よりによって……!!)

    どうして会えば口喧嘩ばかりしてしまう先輩と
    こんなもの見なきゃ行けないんた!とは
    強く強く思うけれど、本日のノルマ的に
    見終わらないと帰れないので
    無言でDVDをプレイヤーに差し込む。

    暫く黒い画面が続いていたがすぐに
    どこにでもありそうな高校に金髪のハーフの転校生
    の美少女がやってきて皆がざわめき出す
    といういかにも王道な光景が目の前に映し出された。

    特に目新しさなどない展開ながらも止める訳にも
    寝る訳にもいかず……

    …といっても腕の中の1匹だけが、
    くぅくぅ寝息を立てていたが…

    …ともかく特に何も感想を言うわけでなく
    しばらく無言で見ていた二人だったが…
    やはり飽きてきたようで隣の後輩にちょっかいを駆け出した。

    「なぁ、この金髪じょしこーこーせ。
    お前に似ててない?」
    「はぁ?目が腐ったんですか?どこが」
    「ツンツンしてるとこ」
    「喧嘩売ってるんですか?」
    「ほらそういうさ」
    「誰のせいで!!」

    時折、たわいもない(本人たちは至って真面目だが)
    口喧嘩を挟みつつも物語は不良に金髪転校生が
    さらわれ主人公が助けに行くという
    王道に輪をかけた展開で進んでいく。

    「なぁーなぁー」
    「……なんですか」

    聞き流そうとしたがそれはそれでしつこくなる
    のが今までの経験でわかっているので
    しぶしぶ返事をする。

    「なんですか」
    「お前がさ、こうやって呪霊とか呪詛師に
    さらわれたら俺に助けに来て欲しい?」
    「……別に。自分でなんとかします。
    それが無理なら私の運命はそういうもの
    だったんでしょう」
    「いや生きるの諦めるのはええよ!
    そこは格好よくて頼りになって
    強くて無敵の先輩たすけてぇーー!だろ!?」
    「……………………つっこむのも馬鹿らしいですが、
    自分で言いますかそれ」
    「だっておれGLGだから」
    「……なんですかそれ」
    「ぐっとるっきんぐがい!昨日思いついた!」
    「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

    本日一、ながーーいため息をついたあとやはり
    全てを無視することにした少年は無言で
    モニターを改めて眺めだす。

    「(……ぅ……!)」
    「おお……」

    画面の中では助け出された金髪のヒロインが
    主人公と抱き合ってキスしだすという
    男二人で見るにはなんとも気まずいシーンに
    突入しだした。

    しかもB級ものだったのだろうか
    王道の学園物には不必要なほど長い。

    「(……早く終われ……!!)」

    画面から目を逸らすのも
    なんか負けた気がすると無駄にガン見しながら
    ガタガタ震えだした人形に呪力をこめなおす。

    「なーなーなーなー」
    「………………」
    「お前さぁ…………」
    「………………」
    「そんなに興味あるの???キスシーン!!」
    「っっっ!!なっ!」

    改めて直球な言葉を言われ頬に朱を走らせつつ

    「ありませんよ!!」

    と睨みつけながらすぐに否定する。

    「だって見つめすぎじゃね?」
    「っ……!ちがっ……」
    「お前したことあるの??ここで」
    「!!」

    元々近かった身体が更に押しよって来た上に、
    突然その指で唇を触られ、声に鳴らない悲鳴をあげながら咄嗟に力いっぱい押し返そうと
    するものの、びくともせず、唇に触れる指だけでも
    離そうと爪を立ててながら握りしめる。

    「クソが……!」
    「ふふん、動揺しすぎじゃね?
    やっぱりしたことないのか」

    金髪の少年はパニックでまともに相手の顔を
    見れておらず全く気づいていないが
    余裕ぶったセリフにも関わらず銀髪の少年の
    目もとも朱に染まっていた。

    もはやどちらも映像のことなど頭の片隅にもなかった。

    「……もっ!ちか……い!!」
    「なんか…こう。そういわれると、もっとしてやろ
    って気になるよな」
    「!」

    ソファに完全に押し倒される形になり、
    更に抵抗を試みるものの根が真面目なのが災いして
    片手は人形をちゃんと抱き抱えたままのために
    全くもって相手の体はビクともしない。




    普段はツンツンした言葉しか話さない後輩が
    涙目で抵抗してくるのを見て

    (あれ、こいつこんなエロかったっけ……
    唇…ピンクだな…うまそ)

    と青春真っ盛りな銀髪の少年の心に突如
    湧いてきた食欲とも性欲とも言える本能が
    赴くまま指を離したと思うと代わりに
    己のそっと唇を近づける。

    「!!!!!!」

    そのとたん

    【ビーーー!!ビーーーー!!緊急モード
    緊急モード!!被験者の呪力オーバーオーバー。
    対抗するべくレベル解放!!】

    突然、腕の中に収まっていた人形が空中に
    飛び出て光りながら大きな警告音を立てだした。
    さらに腕は倍の大きさになり目も赤く血走りだす。

    「な!!」

    腕を大回転させて金髪の少年の顔を目掛けて
    殴りかかる人形に慌てて身構えるものの
    ソファに倒れ込んでいる身では
    かばい切れずいくつか擦り傷ができる。

    人形はそれにも飽き足らず
    頭の上に乗っ掛かりこれでもかとばかり
    腕を振り回しだした。

    「……ぃっ……!!」
    「!!」

    突然の展開に身体を半分起こしながら呆然
    としていたが後輩のあげる悲鳴に我に返り……

    「七海になにしやがる!!」

    立ち上がるなり人形を掴み勢いのまま
    岩壁に叩きつけると、人形はガターーーンと大きな音を立てて煙を吐きながら動かなくなった。

    「あ、やべ!」
    「ちょ、ちょっとあんた何して……!!」

    慌てて2人して立ち上がりそばにいくものの
    先程までとは打って変わって静かに横たわる
    熊をみて無言になる。

    しかし静寂は長く続かず遠くからドドドドと
    地響きとともに足音がきこえだし

    バタンーー!!!

    本日何度目かの大きな音を立てて開けられた
    扉はついに蝶番がはずれ扉として役に
    立たなくなって倒れたが、それを気にもとめず
    大柄でサングラスを
    かけた強面の男が中に入り込んでくる。

    「さーーーーとーーーーるーーー!!!!
    やっぱりおまえかァァァ」
    「げ、やがせん、どうしてここに」
    「パンダが大泣きしだして何事かと思って
    気配を探るとあるはずのないお前の無駄に濃い呪力が地下からしてきてみれば!」

    よく見ると叫んでいる強面の男の後ろにおむつを
    履いた子供のパンダが背負われていた。
    なんともシュールな光景である。

    「こいつはな、仲間の呪力を覚えだしたところで
    仲間が近くにいると安心するということを
    インプットしてる時期なんだ。
    それがいきなり一人消えたからびっくりして
    泣き出したが…。
    いま、貸し出してる人形はここのだけ
    だからな!!」

    鬼のような表情で見つめられ、怒涛の展開に
    脳内がついていけず固まっていた金髪の少年も
    ようやく正気に戻り、壊したのは自分でないに
    しても咄嗟に

    「申し訳ありませんでした…!!」

    とあやまりのことばを吐き出しつつ
    頭を下げる。

    「……っ、わるかったよ!今度はもっと頑丈に
    作っとけよな、あたっ!!」

    銀髪の少年だけに拳固が落とされ、金髪の少年には
    何故か背負っていたパンダが渡される。

    パンダは泣き声こそあげていないが涙目である。

    「ちょ、ちょっとせんせ……!」
    「罰として明日の夜まで二人でパンダの世話をしとけ。俺はその間に直す」
    「えええええ、明日休みじゃん!!」
    「俺もだ!!休み返上で修理するんだから
    文句でもあるのか……?」
    「ありません……」

    そんなやりとりを涙目でじっと見ていたが
    ついに限界を超えたらしくその体に
    見合わないぐらい大きな声でパンダの赤子が
    泣き出した。

    『びええええええん!!』

    「ちょ、これどうすれば!!」

    赤子はおろかパンダなど世話をしたことがない
    金髪の少年は慌てて抱え直すものの
    泣き声は収まる気配を見せない。

    「人見知りだな、まあこいつも人に慣れないといけない時期だ。食堂に行ってごはんでもくわせてやれ」
    「「ええええええ」」



    ​───────​───────



    時は流れ…


    「……そんなこともあったよねぇ」
    「あの後大変でしたからね。誰かさんのせいで」
    「いや、あれはお前が感情も呪力も
    爆発させたせいだろ」
    「その原因は誰ですか!」
    「俺のせいにしたい?」
    「っ……!!」

    あの頃よりも随分体格の良くなった金髪の…………
    青年と、布で目が覆われてるものの、
    殆ど変わりのない佇まいの銀髪の青年が、
    どこぞで聞いたようなやりとりをしながら、
    当時と同じソファに寝転がるピンク色の髪の少年を
    見下ろしている。

    少年はそんな視線にも気づかずグーグー
    爆睡中である。
    しかし片手では人形を抱え無意識にでも
    呪力を流してるらしく人形も鼻ちょうちんを
    作りながら同じように寝息を立てている。

    「食堂で寝こけてた灰原を起こしてパンダが食べるのはごはんだ、いやパンだ、いや甘いものだなど
    聞きに行けばいいのに延々と食べさせようとして
    全部投げられて……」
    「初めての子育てって感じだよね!!」
    「……馬鹿なことを」
    「んで、ゆうじが第2子?」
    「脳ミソ湧いてるんですか??」

    呆れたように呟きつつも、少年を見る目は
    優しかった。



    終われ








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