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    k_ikemori

    遙か7メインで過去作ポイポーイ。

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    遙か7_大七で父親に会いに行った帰り

    ##遙か7

    すっきりした顔の大和は、本当に憑き物が落ちたような顔で上機嫌で隣を歩いている。
    「ねえ、大和。本当に持ってくるものなくてよかったの?」
    育った家に戻らないと宣言した上で出てきたのに、大和の手には何もない。
    「別に、なんもいらねぇし」
    「でも…」
    なおも言い募る七緒に大和は呆れるようにため息をついて手を伸ばす。
    その手がするりと七緒の手のひらを包み、指を絡ませる。
    「いーの。俺には、お前と剣さえあればいい」
    その顔は本当に未練の欠片すらなくて、握られた手と相まって七緒の頬に朱が散る。
    「…大和が、そういうなら」
    「ん」
    それきり会話は途切れ、二人して神社までの道をてくてくと無言で歩く。
    手は繋がれたままで。
    「早く、帰りてえな…」
    空を見上げてポツリと大和が呟く。
    七緒も同じように空を見上げれば、暮れ始めた空の色が向こうの空と似通っているけれど空を横切る電線や、遙か天上を横切る飛行機雲がまざまざと違う時空なのだと突き付けられる。
    もう、あちらの空の方が恋しい。




    その後友達に見つかって、繋がれた手に視線を向けられる。
    そんな関係だったの?
    そうそう、もう俺のもんだから
    なんか佐々木君キャラ違くない?
    まあ、いろいろありましたんで。じゃ
    あ、大和。じゃあ、みんな、バイバイ。今までありがとう。
    いつもの別れのあいさつとは違う七緒の言い方に首を傾げるものの深く考えないまま友は岐路を急ぐ。


    っていう流れの話を書きたかった…
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    k_ikemori

    DONE天文台で毎夜星を眺めてる長政さん超エモいなと思って荒ぶったけど自分で書くとそうでもないなと冷静になった…この冬の時期に七緒が出勤して初めに行うことは、分厚い上着を掴み取る事から始まる。
    裏口から入るのでそこからは望遠鏡が置いている部屋と、望遠鏡の前に陣取る人影がきっといるのだろうが、生憎とここからは見えない。
    小部屋にはそれほど大きくはない机と仮眠が出来るようベッドが置いてあり、部屋の隅にミニキッチンが付いている。凍えそうな夜はそこでコーヒーかホットココアを入れて寒空の下、それを飲みながら観測する事が至福のひと時である。
    小部屋に入って、壁に掛けてある上着が自分の物とは別にもう一つ残っていることに気付いて七緒はキュッと柳眉を寄せた。
    「…もう」
    手早く自分の上着を着込み、もう一つの上着を腕に抱くと七緒は小部屋を後にした。
    ある程度厚着をしているだろうが、分厚い防寒着があると無しでは雲泥の差だと七緒は思っている。
    小部屋のドアを閉めるとシンと静まりかえったこの場所によく響く。
    七緒が出勤した際にドアを開け閉めした音に気付かぬ人ではないのだが、放っておくと明るくなるまで望遠鏡の下から動かないような人だということを思い出す。
    ゆっくりと望遠鏡の下まで辿り着き、七緒が傍まで来たのに微動だにしない 3117

    k_ikemori

    MOURNING2015年に書き始めて放置してた景望ログを見つけました。タイトルは「まつり」ってあるのでたぶんこれから一緒にお祭りに行きましょうという話にしたかったハズ…。お祭りすら始まっていなかった…。供養供養。書簡を届けに行く道すがら、景時は馬の背から空を仰ぎ見る。
    澄んだ青空に幾つか雲が浮かび、夏らしい強い日差しが地上を照らし付ける。
    「いい天気だなぁ…」
    そう呟き、景時は暫くぶりにある休みを早々に奪取する為、馬の腹を軽く蹴って駆け出した。

    「朔ー? 朔ぅ?」
    彼女たちに宛がわれている部屋へ赴き、ひょいと覗き込む。
    連日動き回っている神子はいないだろうとあたりを付けてはきたが、妹である朔の姿がそこに無く、景時ははてと首を傾げた。
    「どこ行っちゃったのかなぁ…」
    けれど、館の外には出て行ってないようで先程まで裁縫でもしていたのか、しっかり者の妹にしては珍しく片付けもせずそのまま放置されていた。
    その時パタパタと軽やかな足音と共に咎める声が掛かる。
    「兄上! 女人の部屋を勝手に覗くなど、恥ずかしい事なさらないで下さいまし」
    「ああっ、ごめんごめん。朔いるかなぁって思ったし、戸も開いていたし…」
    妹の厳しい物言いに景時は肩を落とす。
    「もし着替えている途中だったらどうするのです」
    「いや、もう陽も高いしそれもないかなぁ…って」
    「例え話です」
    「ア、…ハイ。すみません」
    朔は大きく溜息を零すと 6990