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    k_ikemori

    遙か7メインで過去作ポイポーイ。

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    きょうはまだ12/21です( ˘ω˘ )

    ##遙か7

    2021長政誕「なにか欲しいものはありませんか」
     七緒の酌で酒を受けながら向けられたその問いに、見上げてくる七緒の視線から真意を探るようにジッと見つめ、長政は酒を煽った。
     薫る酒精を味わいながら、長政は空いた杯を掲げれば、七緒は心得たように酌をして杯を満たす。
    「なんだ、今年はさぷらいずで貰えぬのか」
     茶化すように肩を竦めて笑ってみれば、七緒は僅かに頬を膨らませた。
    「サプライズで、と言ってもどうしても長政さんの耳には入るでしょうし…。私が隠し事上手じゃないことは自覚してます」
     徳川の養女として長政へと輿入れしてきた七緒が自由にできる事はあまりにも少ない。一人で城下へ買い物に行くことすら許されていない。
     龍神の神子として、八葉として旅していた頃であれば不自由ながらも自由はあった。爛漫な七緒にとってここでの生活は些か堅苦しいものであろうが、離す気は毛頭ありはしない。
     七緒が退屈しないようにと、家臣や女中には七緒の望むことを出来る限り叶えるようにと言いつけてはいるが、肝心の七緒が己の立場を分かっている為、わがままを言う事はない。
     長政は満たされた手元の杯に視線を落とし、ゆらりと揺らしてみる。
    「…ふむ」
     ひとつ思い当たった願いに長政は、隣に座る七緒へと視線を向けた。
    「何か思い当たりましたか?」
     こてりと首を傾げた七緒のその言葉に長政は頷く。
    「そうだな。欲しい物はいくつかあるが、それにはお前の協力が不可欠だな…と、思ってな」
    「いくつもあるんですか? 私が用意できるものであれば協力は惜しみませんよ」
     ムン、と力こぶを作るような仕草をする七緒に長政は頬を緩めて笑う。
     杯を一息に煽り酒に濡れた薄く形のいい唇から「ほう」と感嘆の声が漏れ、七緒がはたりと長政の目元へと視線をやれば、男性の割に濃い睫毛に彩られる切れ長の瞳の奥にある怜悧な視線とぶつかった。
     先ほどの威勢は見る間に萎んでいき、七緒はヒクリと頬を引き攣らせる。
    「──あ、の。でも、私、長政さんが思っているより」
     協力できないかも、と続けようとした言葉は長政の唇によって阻まれた。
     唇を合わせた瞬間に薫ってきた酒精に七緒はくらりと眩暈を覚える。
    元の世では未成年で、酒は厳禁であったが、今の世は戦国。郷に入っては郷に従え、と少しずつではあるが酒も嗜むようにはなったけれど、このきつい酒精にはとうてい慣れることができない。
     長政から移された酒精を逃がそうと唇を開けば長政はその機を逃さず、薄く開いた唇の間から舌を差し入れてきて、七緒の舌を絡め取った。
     唇を合わせた時よりも濃くなった酒精の香りと、長政の熱い舌に翻弄されるままに七緒の耳は唇と舌を吸われる粘着質な音を否応なく拾った。
     常であればこのまま情事に雪崩れ込むように執拗に続くはずの口付けは終わり、長政はあっさりと七緒の唇を開放する。
    「ン、ぁ…」
     若干の物足りなさから七緒の口から疑問とも非難ともとれる吐息が漏れた。
     いつの間にか長政の両手は七緒の耳の下へと這わされていて、七緒の薄く敏感な肌は長政の掌にある剣ダコの感触を拾い、いつも七緒を翻弄する形のいい指先が、すり、と七緒の耳朶を撫でると全身が粟立ち下腹部に熱が籠り始める。
     そんな七緒の様子を堪能するように長政は七緒の唇へと指を伸ばし、先ほどの口付けで濡れた唇を拭うと、正面から七緒と視線を合わせた。
    「万徳丸も手がかからなくなってきておるだろう」
     この雰囲気の中で突然告げられた息子の名に、七緒はぱちりと目を瞬かせたが、素直に頷けば長政は満足そうに笑みを作った。
    「いつの世も子は宝だ。──大名である我らが体現していかねばならぬ」
     一族を率いる者らしく力強く惹き付けられるような言葉に、同意の言葉を発そうと口を開いたところで七緒ははたりと気付く。
     不器用な笑顔のまま固まった七緒の顔を覗き込み、長政は満足そうに目元を細めて笑う。
    「子が多い事に越したことはないな」
     不敵な笑みを浮かべて長政は七緒の腰を引き寄せる。
     表立っては嫌と言わない七緒だが内心は酷く慌てふためいていることが読み取れて長政は声を上げて笑うと、いつか天野家で見た書物の一文をふと思い出した。
    「子は、俺たちの愛の結晶なのだろう」
     言葉の意味を理解して耳まで赤くなった七緒の表情に破顔し、長政は愛しさを込めて七緒の唇を覆った。
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    k_ikemori

    DONE天文台で毎夜星を眺めてる長政さん超エモいなと思って荒ぶったけど自分で書くとそうでもないなと冷静になった…この冬の時期に七緒が出勤して初めに行うことは、分厚い上着を掴み取る事から始まる。
    裏口から入るのでそこからは望遠鏡が置いている部屋と、望遠鏡の前に陣取る人影がきっといるのだろうが、生憎とここからは見えない。
    小部屋にはそれほど大きくはない机と仮眠が出来るようベッドが置いてあり、部屋の隅にミニキッチンが付いている。凍えそうな夜はそこでコーヒーかホットココアを入れて寒空の下、それを飲みながら観測する事が至福のひと時である。
    小部屋に入って、壁に掛けてある上着が自分の物とは別にもう一つ残っていることに気付いて七緒はキュッと柳眉を寄せた。
    「…もう」
    手早く自分の上着を着込み、もう一つの上着を腕に抱くと七緒は小部屋を後にした。
    ある程度厚着をしているだろうが、分厚い防寒着があると無しでは雲泥の差だと七緒は思っている。
    小部屋のドアを閉めるとシンと静まりかえったこの場所によく響く。
    七緒が出勤した際にドアを開け閉めした音に気付かぬ人ではないのだが、放っておくと明るくなるまで望遠鏡の下から動かないような人だということを思い出す。
    ゆっくりと望遠鏡の下まで辿り着き、七緒が傍まで来たのに微動だにしない 3117

    k_ikemori

    MOURNING2015年に書き始めて放置してた景望ログを見つけました。タイトルは「まつり」ってあるのでたぶんこれから一緒にお祭りに行きましょうという話にしたかったハズ…。お祭りすら始まっていなかった…。供養供養。書簡を届けに行く道すがら、景時は馬の背から空を仰ぎ見る。
    澄んだ青空に幾つか雲が浮かび、夏らしい強い日差しが地上を照らし付ける。
    「いい天気だなぁ…」
    そう呟き、景時は暫くぶりにある休みを早々に奪取する為、馬の腹を軽く蹴って駆け出した。

    「朔ー? 朔ぅ?」
    彼女たちに宛がわれている部屋へ赴き、ひょいと覗き込む。
    連日動き回っている神子はいないだろうとあたりを付けてはきたが、妹である朔の姿がそこに無く、景時ははてと首を傾げた。
    「どこ行っちゃったのかなぁ…」
    けれど、館の外には出て行ってないようで先程まで裁縫でもしていたのか、しっかり者の妹にしては珍しく片付けもせずそのまま放置されていた。
    その時パタパタと軽やかな足音と共に咎める声が掛かる。
    「兄上! 女人の部屋を勝手に覗くなど、恥ずかしい事なさらないで下さいまし」
    「ああっ、ごめんごめん。朔いるかなぁって思ったし、戸も開いていたし…」
    妹の厳しい物言いに景時は肩を落とす。
    「もし着替えている途中だったらどうするのです」
    「いや、もう陽も高いしそれもないかなぁ…って」
    「例え話です」
    「ア、…ハイ。すみません」
    朔は大きく溜息を零すと 6990