俺ん所のキャラの過去編3「浜風さん、スーシィさん、こんにちは。」
「あ…、あぁ…。」
「ははははっ!何照れてるんだよ、浜風!お前ら付き合って1年経つって言うのに、何でまだ照れてるんだよ!ウブかよwww」
「うるせえ、スーシィ!」
「もぉ、浜風さん!スーシィさんをいじめないの!」
「う…、真波が言うなら。」
「やだやだぁ〜、浜風そんな顔真っ赤にしちゃってぇ〜♡見てるこっちがドキドキしちゃうよね〜、真波ちゃーん。」
「ねー!」
「お、お前ら!」
…、浜風にもこんな時があったんだよなって思うと、面白いものだな…。
今日は浜風と久しぶりに公式のパートナーとして、巡回をする日である。あれから10年程経ったが、本当にあいつは変わってしまったな。毎日、何か死に場所を求めるように呪詛魚と闘っている。俺はあいつの今後に関しては文句をつけないようにはしてるが、やはり心配してしまうせいか、勝手に仕事場に言っては無理言って同行するけどな。多分だけど、あいつは相当迷惑行為だとは思ってるけどな。ははは…。
…、タバコを吸ってる時が1番気持ちが安らぐ。いや、家族といる時の方が安らぐけど、俺としてはこれが無いと生きてはいけないかなら。本当、体には悪いとわかっていても止められないな。
「タバコを吸う余裕があるってことは、準備が出来たってことか?スーシィ。」
「ん?浜風か。そうだなぁ、準備は出来てるぜ。いつでも、巡回に行ける。」
「そうか、じゃあ行くぞ。」
「うぃ〜。」
男2人、横に並んで街の巡回をする。呪詛魚たちは何時どこで出現するのか分からない。こうして、定期的に魚抗の奴らで回ることによって街の平和は守られている。
「なあ、スーシィ。お前、タバコ臭いぞ。」
「んな事言っても、俺には大事な物なんですー。」
「へっ、いつか体壊しても知らねぇぞ。」
「その言葉、そのまま返してやるよ。」
「…、そうか。」
呪詛魚が現れては、心海に潜る浜風。外から補助を担当する俺。本当は吊りだけをしていれば良いのだが、浜風が無理するのを見ておられず、俺とルーシィで海人を習得した。何かあった時は、浜風の横にいる事もできる。
ま、正直いって俺たちが居なくてもズバズバと呪詛魚を倒してくれるので、こっちは本業である吊りをやるのみだが。
本当は、俺たちが海人なんて習得しなくてもよかったはずだが。あいつの恋人が死んでから、全てが変わってしまった。あいつはどうして、死にたいのか俺には正直分からない。いや、大切な人を失えば誰だって自暴自棄になるのは分かっている。俺は、それを以前にも経験している。分かってはいるはずなのに、人の気持ちを考えることが出来ない俺にとって、浜風の行動には正直評価を与えたくはない。だが、あいつが決めた道をあれこれ言うことも、俺には出来ない。本当に、情けないひとだ…俺は……
「スーシィ!前!!」
「え?」
…………。
……、スーシィさん、ルーシィ。
どうか、私に何かあった時は浜風さんをお願いしてもいい?
………。
何言ってるのよ真波ぃ〜。私に何かあるって、そんな事ないない!だって、私たちと浜風は強いからもんだないわよ!
そうだよね!最近ちょっと考えてしまって、ごめんね、ルーシィ。
………。
でも、もしも何かあった時は私たちに任せてちょうだい!そんな事ないと思うけど。私たち、約束はちゃんと守るタイプだから!
………。
ありがとう、ルーシィ、スーシィさん!
そんな事考えなくてもいいから、今日も夜4人でどう?飲みに行く?
いいねぇ!行こ!
………。
これは、過去の記憶。
しっかり覚えている。
この話をした次の日に、真波は謎の死を迎えて…。
その日から浜風は変わってしまった…。
俺たちは、どう声をかければ良いのか分からなかった…。
………。
ちくしょう…、ちくしょう!!
もうやめて!浜風!!そんな事しても真波は戻って来ないんだよ!!
分かってるよ!!分かって…。
………。
ねぇ、浜風…。その呪詛魚の事なんだけど…。
ああ、俺の感情がおかしくなったおかげかこいつが現れてな。意外とこいつは使えるからな。
でも、その呪詛魚が現れてから浜風、なんか痩せたような気がするの。
………。
まあな、俺の精神力を食わせてるからな。
そんな事したら!浜風死んじゃうじゃない!!
いいんだよ、あいつを殺した呪詛魚を見つけるためならなんだってしてやるよ!
………。
やめてよ!そんなことしないでよ!!真波が悲しむ…
やめろ!!それ以上、真波の名前をだすな!
浜風…、ねぇ!浜風!!
………。
そうだな、浜風はこの日から無理するようになって。
それで、俺たちが少しでも負担を減らしてやろうと…、真波との約束を守るために海人も勉強して。
それでも、浜風には追いつけなくて。
結局、いつもあいつだけがあっちに行ってしまって。
俺は…、あいつをただ…。
……おい…。………ってば!…起き………ルーシィ!!
「へっ!?」
気付くと、さっきの場所とは違い、俺は公園に居た。頭がものすごく痛み出す。吐き気もする。
「無理するな。お前、ぼーっとしてたからか大型の呪詛魚の攻撃をモロに食らってな。マジで目が覚めないから、焦ったんだぞ!」
「う…、浜風……?」
「ああ、俺だよ。ここまで連れて来るの大変だったんだぞ。お前、太り過ぎだ。」
「呪詛…魚……は?」
「あの後俺が倒した。気分が悪いなら、アクアに連絡入れるぞ。」
「大丈夫…、少し休んだら…再開しよう…。」
体を起こすが、それと同時に吐き気が一気に込み上げる。俺は浜風が見てる横で思いっきり吐いてしまった。
「おい、大丈夫なのかよ!?お前、脳震盪起こしてるんじゃ!」
「大丈夫だよ、慣れるまで時間かかりそうだけど…、大丈夫だか…」
「大丈夫じゃねぇよ!死にてぇのか!!お前!!」
その一言に俺は抑えていた何かが、奥底から溢れてくる感覚に陥った。その感覚とともに、涙が溢れ出てくる。
「な!お前、何で泣いてるんだよ。やっぱ当たりどころが!」
「死にてぇとかじゃねぇよ!!お前に言われたくねぇよ!!」
「なっ、どうしたんだよ急に。」
「俺今頭痛いし、気持ち悪いし、視界がさいあくだし。俺のミスでお前を危険にさせてしまったのが悔しくてさ。」
「…。」
「でもさ、俺だって。お前があの日から変わってしまってから、俺たちから距離置きやがってさ。死に場所探すように、無理するし。そんなお前に、言われたくないわ!!」
「……。」
「わかってる。本当は、真波が死んだ原因を見つける為に無理してるってわかってる。だけど、俺には…、俺たちにはそれが見てられないんだよ!」
吐き気と目眩で感情がぐちゃぐちゃになり、涙は止まらない。
ただ俺は…。
「お前には、浜風には無茶して欲しくないんだ。それが…、真波との約束なんだよ…。」
「真波の…。」
目眩が限界を迎え、浜風の太ももを枕にするように横になる。向こうは何も言ってこない。
「俺さ、昔結構色々あってさ。まだ、人に言える根性が無くて言えないんだけどさ。その中で、ある人と出会って、約束は絶対に守れって教えてもらったんだよな。」
「そうか…。」
「家事とか色々教えてもらったのにさ、俺たちその日を生きていくのがやっとで、結局闘うこと以外の事を覚えることが出来なかったんだよ。」
「…。」
「それでもさ、その人が 約束だけはしっかり守れってめちゃくちゃ教えてくれてさ。その人のおかげで今の俺たちが居るんだよな。」
「…、その人は。」
「死んだよ、無理して病気なって死んだよ。でも、後悔した顔はしてなかった。」
「…。」
「だから、俺は別に死ぬのはいいんだ。だけど、後悔だけはして欲しくないんだ。お前が。」
「……、後悔か…。」
「あ、でも今のこと言ったらルーシィにブチ切れられるから内緒な。死んでもいいって言ったことは。あいつは、人の死に対して特に敏感だから。」
「そうだな、あいつはいつもそんな事言ってるからな。」
「だから、本当に…。無理だけは……しないでほしい…。本当に…。」
眠気が突然と襲い始める。違和感を察したのか、浜風が声をかけてくるが、全く何を言ってるのか分からない。
でも、言えることは言った。今は、この眠気に体を預けてみよう。この痛みから解放できるのなら…………
……………!!!…………シィ…!!!スーシィ!!
「スーシィ!!!ずーーーーーじぃぃぃいあぁちぢぢぢいいぃぃぁぁぁ!!!」
クソでかい声が耳に響く。目が覚めると、魚抗の医務室の天井。そして、鼻水と涙をダバダバに流したルーシィが居た。
「よばっだよぉぉぉおぉん!!スーシィが3日間起きなかったからじんばいでじんばいでぇ!!!びぇぇぇぇぇっ!!!」
「な!?泣くなよルーシィ!!顔きったねぇぞ!!てか、3日間!?」
「そうだよぉおおおおおお!!!だっでぇぇぇぇ!!冷や汗かいた浜風がおんぶしてここまで連れてきて、んでぇぇ!!スーシィがおんぶされてて、ずっと起きなかったんだぼぉぉぉおぉん!!」
ルーシィの鼻水と涙が、俺の頬に何滴が滴り落ちてくる。
「すまん!本当に!!心配かけた!仕事でちょっとミスして…」
「ミスレベルじゃないよぉぉぉぉおおおおぼぼぼぼぼほ!!!!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿あほでぶスーシィ!!」
「ごめんって!!」
奥から、誰かか走ってくる音が聞こえた。ハァハァと息を切らし、俺の顔を見るなり、膝から崩れ落ちるアクアが居た。
「スーシィ…、スーシィスーシィスーシィスーシィ!!!!!」
アクアは俺に飛び付いてきた。アクアの全体重が体にのしかかる。
「馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿あほ馬鹿スーシィ!!」
アクアも同じく、涙を流し始める。2人の顔を見た俺もつられて、涙を流す。
「ごめん、本当にごめん。もう、絶対無理しないから!」
アクアは首を縦にふる。ルーシィはびぇぇぇぇぇとまだ泣いている。
「私は、医者じゃにゃいけどぉぉ!!絶対に家族を守るからぁぁぁぁ、スーシィも私たちのために無理しないでよぉぉぉぉ!!」
アクアと俺を包み込むように、ルーシィも抱きついてきた。
「よぉ、体調が良くなって安心したよ。」
「は…浜風…。」
「何だよ、分が悪そうな顔して。」
「いや、だって…。俺…。」
ドア近くの壁に体重を乗せ、腕を組んでる浜風。その顔は、どこか少し笑顔であったような気がする。
「俺も、お前たちには苦労をかけた。」
その一言にルーシィが「えっ!?」と驚いた声を出す。
浜風も恥ずかしそうな顔をする。
「その…、俺も少し反省すべき点がある。だけど、俺の生き方はこれからも変わらない。」
「浜風…。」
「だけどな、これからは遠慮とか要らないから。俺たちは…、一応同期で、な…仲間ってやつだから…。」
照れくさかったのか、顔を横に向ける。その一言は俺たち兄妹の、重くのしかかってた何かが少し軽くなった瞬間であった。
「浜風じぇぇぇぇぇぇぇぇぁぇ!!びぇぇぇぇぇ!!!」
ルーシィが浜風向かい、全力のハグをする。浜風の服は、鼻水と波でびちゃびちゃになる。
「きったねぇ!!!」
「はまかじぇがぁぁぁぁぁぁぁあ!!やっとぉぉぉ、ちゃんと言ってくれたよぉぉ!!真波ぃぃぃぃぃぁぃぃぃ!びぇぇぇぇぇ!!!」
俺も猛烈に今飛びかかりたい気持ちでいっぱいになる。
「目眩がないなら、大丈夫だよ。スーシィ。」
アクアの一言に吹っ切れ、俺も全力で浜風にハグを決める。
「苦しいわ!!!いい大人2人が俺に抱きつくな!!」
「うるせぇ!浜風が何を言おうと離さねぇ!!!」
「びぇぇぇぇぇ!!!」
最近、浜風がむかし真波が作ってくれたおにぎりを握ってくれた。正直いって味はよく分からないが、懐かしさが口いっぱいに広がる。
「お前ら、食生活が乱れてるから味わかんねぇんだよ。」
「仕方ないだろ、これは昔っからなんだよ。」
「そうよそうよ!文句言うなら、昔の私たちに言いなさいよ!!」
「んな事言われてもなぁ…。」
ビービービービー!!!
(魚抗内に居るメンバーに継ぐ!○○地区にて呪詛魚が大量発生!直ちに向かうように!)
サイレンと共に仕事の合図が出る。
「じゃあ、おにぎりは仕事の後に食おう。」
「ああ、そうだ!誰が1番多く呪詛魚を狩れるか勝負しないか!」
「負けた人は、おにぎり作ったあとの皿洗いね!」
「な!お前たちに皿洗いさせると全部割れるからやめろ!!」
今日も俺たちは仕事に向かう。いずれ、浜風と決別する日が来るかもしれない。けど、今を大切にすることは良いだろ?なぁ…。
「どけ、ルーシィ…。」
「私はどかない!!浜風が、間違った道に行かせないのが約束なんだから!」
「どいてくれ、俺は…。真波の仇を撃ちたいんだよ。お前を倒してまで、傷付けてまで決めた道なんだ…。」
「浜風…、お前…。」
「スーシィ…、頼む…。ルーシィを連れて行ってくれ…。」
「浜風…!」
「だめっ!スーシィ!言う事聞かないで!また浜風を間違った道に行かせたくないの!」
「…、後悔は無いんだよな、浜風…。前言ったよな。」
「…、ああ。俺はやっと…、やっと楽になれるんだ…。頼む…。」
「だめ!!堕ちてしまってもまだ助かるから!こっちに来てよ!!浜風っ!!」
「…っ!」
「スーシィ?!ねぇ!そっちじゃないよ!浜風はあっちに居るんだよ!!スーシィ!!!」
「浜風…、なぁ、また会えるよな…。」
「…、スーシィ、ルーシィ…。お前たちは本当に優しい奴だったよ…。ありがとうな。」
「そうか…。でも、もし朝また会えた時は…、またおにぎり握ってくれよ…。」
「ああ…、約束だ…。」
「浜風っ!行かないで!スーシィ!!離してぇ!!!」
この物語はまた今度。