するり。かさついた指が首に触れる。その手に巻かれた包帯が擽ったくて身をよじる。襟足の髪をそっとよける仕草が焦ったい。
「紅。」
「紺炉...。早く...しろっ......。」
腰に手が回され、右手で頭を軽く固定されている。紺炉は力を殆ど入れていない。退こうと思えばいつでも出来る。なのに、体が動かないのは紺炉が体の重心を捉えているからか。それとも、紅丸が目の前の男に骨の髄まで惚れているからか。
紺炉の舌が項を這う。首筋にぬるっとした感触が触れて紅丸がぴくりと体を強張らせる。無防備なそこを戯れる様にがぶがぶと甘噛みされた。
「いいか......?」
「あぁ。」
それを聞いた瞬間、紺炉の目の色が変わった。まるで、能力者が発火能力を使うときのような。まるで、獲物を捉えた獣のような。
晒された首筋にひたりと八重歯が当てられて。
「......っ」
ぶつ、と。歯が皮膚を突き破る音が頭に響く。じわりと滲んだ真紅のそれは、紺炉の唾液の跡を染めるように伝い、落ちていった。