Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    noshiume7369

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 4

    noshiume7369

    ☆quiet follow

    最近文章が、かけなくて…なんかよくわからない話なんですが勿体無いのでアップしました。何時も通り甚だしくいろいろ捏造です。

    #ジンウォカ

    お風呂に入りたいニキとお風呂好きなウォッカ「兄貴は風呂に入らないんですかい?」

    その日俺は丁度休みで、セーフハウスで何をするでもなく時間をつぶしていた。夕食も終わってそろそろ風呂でも入るかという時に、いきなり兄貴からこっちに来ると連絡があったのだ。慌てて部屋を片付けて兄貴を出迎える。丁度温まっている風呂を勧めて、兄貴が出てから自分も入ろうとした時に気がついたのだ。

    「今はいってきたが?」
    「あっすいやせん、湯舟に浸からないのかなって事で…」

    思えば兄貴が入った後の風呂場は、何時もバスタブを使った形跡がなかった。今日も海外から長期の仕事を終えた兄貴の為に、俺が以前使った時に良い香りだと褒められた入浴剤をいれたのだが。

    「浸かる習慣はねぇ」
    「どうしてですかい?リラックスして溜まった疲れも吹っ飛びますよ」
    「風呂なんて一番無防備な時に気を抜いてどうするんだ」

    ごもっともだ、素晴らしいプロ意識。やっぱり兄貴は格好いいと思いつつ、風呂好きの俺には真似できないなと思った。

    「確かにそうですけど…俺は風呂に入ってる時が一番生きてる~って実感できますぜ!そう言えばこの前若手の奴が、インフィニティっていうんですかい?なんか眺めのいい風呂に入ったとかではしゃいでて、機会があれば兄貴と行きたいと思ってたんですが、残念だなぁ」

    ゆっくりとソファーで煙草を嗜む兄貴は何時も通り俺の軽口を聞き流し、俺も返事が無いことを特に気にするでもなく、どこか心地よい沈黙の中、時間が過ぎていく。




    兄貴の生い立ちを詳しく聞いた事はないが、多分幼い頃からこの世界に身を投じてきたのだろう。本人が望んだか望まぬかは別として天職だなと俺は思う。生きるか死ぬかの駆け引きの最中、兄貴はゾッとするような上機嫌な顔をしている。兄貴が生きていると実感できるのは死と触れあってる瞬間なのかも知れない。

    そんな兄貴は裏の社会にいる長さ故か、警戒心が恐ろしく強い。一緒に仕事を組んだはじめの頃、兄貴がベッドで寝ている姿を見たことがなかった。兄貴は横にならず、椅子に座り信頼を寄せる恋人を片手に、目深に帽子を被っていた。そんな兄貴が見晴らしの良い風呂に、丸腰で俺と一緒に浸かるなんて、有り得ないことだ。

    洗練され一部の隙もない所がしびれるほどかっこいいし、その在り方を疑うなんて事は許されない。そう思いはするものの、短くはない時間を共に過ごしていき、兄貴への思慕を深めた俺は、恐れ多くもこんな事を考えてしまう。

    「それで兄貴は本当に幸せなのだろうか」

    人の幸せを他人が定義するなんて馬鹿げてるし、俺は今の兄貴の全てを尊敬している。変わる必要がない、変わって欲しくない。完璧なパズルに余分なピースはいらない。

    「俺の気持ちは余分なピースだ」




    尋問をしようと相手を椅子に縛り付けている最中だった。突然の銃声と共に生暖かい血が勢いよく顔にかかった俺は、数分前まであらゆる罵詈雑言を叩きつけてきた口が突然現れた死神によって塞がれた事を知った。おかげで最近新調したばかりのスーツが血で汚れてしまった。流石に兄貴と言えど一言くらい物申そうと思ったが、迫ってきた彼の持つ空気が何時ものそれと違うと気づき口を噤む。

    「この仕事はこれで終わりだ。この地点まで飛べ」

    後から入ってきた組員が後始末している中、突如新たに告げられる指令。

    「出発は何時ですかい?」
    「今すぐだ、必要な物はすでに準備してある」


    普段通りの落ち着いた声で淡々と告げられたが、長く行動を共にする俺には兄貴に微かな焦りのような物が感じられた。これは多分尋常じゃない大きなヤマなのだろう。気を引き締めていかねぇと。



    そこからは中々に長い道のりだった。場所を特定されぬよう撹乱する為に、指示のあった地点まで飛んでは、また控えてあったセスナで指示された地点へ場所を転々と移動した。これが最後だと現れた水上飛行機は兄貴が運転してくれている。仕事が終わってから昼夜通して運転して流石に疲労の色が見えたのか、着くまで寝ていろと言われ目を閉じた。
    飛行機の爆音程度で眠れないなど柔な神経じゃないが、これからの仕事の事が気になり意識が沈みきらない。

    水上飛行機という事はどこかの島で行われると推測される。兄貴と俺の二人きりで移動に他人の手を介さないという事は、秘匿性の高い取り引きなのかも知れない。
    いや待て、若しくは俺が邪魔になり誰からも気づかれぬように始末しようと…。
    しかし合理的な兄貴の事だ。名前付きの幹部と言えどそこまで手間をかける事はないだろう。兄貴に隙だらけな俺なんて、やろうと思えばどこにいたって始末できる筈だ。
    では思った通り、兄貴でも面倒だと思うような大きなヤマなのか?いつだって覚悟はしているつもりだが、今日(正しくは昨日だが)は仕事が終わったら、1ヶ月前に兄貴からもらった海外の土産の酒を開けてゆっくりしようと思っていたのに、こんな事なら早く飲んでおけば良かった。


    くだらない思考が頭の中をぐるぐると占領する中、水面を滑る衝撃で目を開けると、予想通り目の前にはあまり広くないであろう緑溢れる島が、明け方の薄暗い海に浮かんでいた。兄貴の完璧な操縦でピタリと桟橋につけられた機体から、持って来いと命令されたやけに重い鞄を抱え、海の上に建てられた一軒の家に足を進める。鍵はかかっておらず、兄貴が先に入り俺も後を追う。中は誰も居らず暗かった。これから取り引きをする相手が来るのかと思い、重い鞄をゆったりとしたソファーの上に置いた。

    「無いとは思うが…念の為だ。調べろ」

    相手が先手を打って爆弾か何かを仕掛けていないかと言うことなのだろう。わかりやしたと返事をして、兄貴の了承を経て室内の電気をつけると、部屋の全貌が明らかになる。
    部屋は高級ホテルの客室そのままだった。天井が高くゆったりとした間取りのリビングとダイニングは白基調でまとめられて、新築なのか家具にも床にも傷一つ無い。奥の部屋に行くと天蓋付きのどでかいベッドに、その隣の部屋は何故かガラス張りのシャワールームとジャグジー。大きなガラスの窓と、窓すら無くカーテンで仕切られた、見通しと風通しが良過ぎるこの建物は、取り引きの場所としては余りにも心許ない様に思えた。

    何も怪しいものが無いことを調べてからリビングに戻ると、閉じられていたカーテンは開かれていて、コートを脱いだ兄貴がお決まりの煙草を吹かし外で佇んでいた。背景には、何も遮る事の無い夜明けのぼんやり明るくなってきた穏やかな海が広がっていて、まるで映画のワンシーンの様な美しさだ。

    「兄貴、怪しいものは見つかりませんでしたぜ」

    報告の為に近寄り周囲を確認すると、左手には室内にジャグジーがあったはずなのに設置された、ヤケにでかいバスタブと目に痛いほど鮮やかなピンクの花が咲く大きなプランター。そして目の前に広いプールがある事に気づいた。

    「ははっ、プールまで!!まるっきりハネムーンのリゾートホテルですね。これから来る新婚さんが指定した場所なんですかい?」
    「これから?ここには誰もこねぇよ」
    「えっ、なんか大きな取り引きがあるんじゃないんですかい?」
    「何の話だ」
    「と言うことは…………。兄貴、義兄弟のよしみで最期にこんな良い場所を用意してくださって………うっ……。せっかくなので出来ればプールで少し泳がせてもらってからでいいですかい?大丈夫です、覚悟はしてたので逃げたりしやせんから」
    「何言ってやがる…泳ぎてぇなら好きにしろ」
    「うわッ!!!」

    肩を押されプールサイドに立っていた俺は背中から思い切り水面に叩きつけられた。慌てて立ち上がると結構深いプールで、俺の身長で胸の少し上の所まで水位がある。兄貴には丁度良いくらいかも知れない。

    「ここは俺の島だ」

    俺のシマ。俺も何度か使ったことのある言葉だが、兄貴の言う意味はその通りの意味なのだろう。

    「前の仕事で、昔馴染みの男がいてな。そいつとカードで賭けをした」
    「まさかそれでこの島を勝ち取ったとか?」
    「こんなもん持ってたって仕方ねぇと思っていたが」
    「この水上コテージは?」
    「この間、お前がインフィニティとか何とか言ってたからな…。この島は知ってる奴もほとんどいねぇし、安全な場所だ」

    カードで勝って島を貰うスケールのでかさに驚いて尊敬すれば良いのか、兄貴は意外にも俺の話を少しは聞いてくれてた事を喜べばいいのか。いや、それよりも。

    「………なんだ、色々気を揉んで損した!!最初からそう教えてくれればいいじゃないですかい!!!それと俺が話してたのは風呂の事ですぜ!」
    「何怒ってんだ?風呂はちゃんと用意してあるだろ」

    珍しくキレた俺に動じず、悠々と煙草を吹かす兄貴が悔しくて、俺は水を吸って重たくなったスーツを荒々しくプールサイドに脱ぎ捨てた。

    「兄貴、手を貸してください」

    素直に俺の願いを聞き入れて、プールから俺を引き上げようと手が差し伸べられる。俺はその手を思い切り引っ張った。しかし流石兄貴、体幹が強すぎて引っ張るだけじゃびくともしない。俺はプールの側面を足で強く蹴り上げて、やっとの事兄貴を水面に引きずり落とした。
    ざぱんと水飛沫を上げてプールに飛び込み、俺と同じく濡れ鼠になった兄貴に更に水をかけて溜飲を下げた俺は、この野郎どういう了見だと水中に俺を沈めようとする兄貴に笑いながら許しを請う。

    「何笑ってやがる」
    「楽しくて、うれしいんですよ」
    「さっきまで怒ってた癖に…」

    やっと水平線を昇ってきた太陽に、キラキラと揺れる水面が反射して美しく輝いている。しかしそれ以上に、俺の隣にいる、濡れて乱れても艶のある銀髪と、こんな温かい光を浴びても氷の様に冷たい瞳を持つ端正な顔の方が、綺麗だと思った。

    「はぁ〜、生きてて良かった」

    俺と同じように今、兄貴も幸せを感じてくれてるのだろうか。

    「兄貴もそう思いますか?」

    兄貴は答えない。だけど言葉のかわりに、兄貴の手が俺の両頰を強い力で挟み込み、引き寄せられた濡れた唇が、俺のそれを柔らかく塞いだ。




    ---------





    そいつの笑った顔を見た瞬間、左脳が尋常な思考を放棄して、銃をぶっぱなす時のように右脳が激しく優位になり、締まりのねぇ口元に貪りついた。
    張り付くシャツを千切るように剥ぎながら身体を弄り、生ぬるいプールで本能のまま男を犯す。そのままベッドへ引きずり、濡れて重くなった邪魔な衣服を全て脱ぎ捨て、揉みくちゃになりながら身体を合わせる。
    柔らかくもない皮膚を己の皮膚で余すことなく感じる度に、信じられない程の充足を感じ、気が昂ったまま何度もこいつを抱いた。抱き潰されヒューヒューと笛の様な音を出して呼吸する哀れな男の、布一枚にも遮られない、全身で感じる熱に魅了されている。




    気がつけば、日は丁度真上に昇っていた。冷静になってきた思考が、本来の目的を遂行しろと命令し、離れがたい身体を手放し、ドレッサーにかけてあったバスローブを身に着け外に出て準備を始める。少し待ってから、どろどろで力が抜けて重たい身体を抱きあげて、目当てのバスタブへ向かった。このコテージを建てる際に特別に注文をつけた、規格外の男2人入っても壊れないであろう、広々とした頑丈なバスタブ。意識のない身体を静かに湯に浸からせ、縁に腕を凭れかけた。バスローブを脱いで、片足をそっといれる。風呂は少し熱いほうが好みだと言っていたがこの位の温度で良かったのだろうか。男の太腿に乗り上がり、ぐちゃぐちゃになった顔を手で撫でながら湯で洗い清めていると、まだ焦点の合わない瞳が薄っすらと開かれる。俺の顔を凝視し何も言わず緩めた口から、はぁぁぁあと長い溜め息が溢れた。そのままぼんやりと辺りを見渡す。

    「兄貴と風呂にはいってる、夢みてぇだ」
    「夢かもしれねぇな」
    「こんな無防備で……狙われたらどうするんですかい」

    何も遮る物がない澄みきったターコイズブルーは、俺が住む世界と同じ地球じゃないのではと思う程、嘘みたいに穏やかだ。はぁあと真似して吐いた溜め息は暖かい南風に攫われる。


    ここでお前となら死んでも良いかと思ったなんて、そう言ったらお前は腑抜けた俺に幻滅するだろうか。




    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💒💖💖🙏💒💒🛀💘💘💯💯💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    noshiume7369

    MOURNING新年早々すごい夢を見たのでメモ程度に書いときました。

    死ネタ苦手なのにも関わらず、お正月から推しを私が撃つ夢って………ジョン・ウィックの見過ぎだと思いました。
    お正月に見たウォカに狙われるターゲットになる夢「貴方はここで隠れていなさい」
    そう言って出ていった刑事の右京さんを見送り、私は扉の鍵をしっかり閉め薄暗いアパートの一室にいた。
    少し経った頃だろうか、ピンポンとインターホンの音が部屋に鳴り響き、私はおそるおそる扉に近づいた。扉ののぞき穴をそっと見るとそこには真っ黒な帽子、サングラス、スーツを着た大男・ウォッカがアパートの廊下にいて、左右を確認している。
    「すみませ〜ん」と扉が叩かれ、インターホンを連打される。私は逃げなければと焦り部屋を見渡した。「開けろゴラァ!!」と怒声と共にドアノブをガチャガチャと壊れそうな勢いでまわされ、慌てて窓から外に出る。
    雨の降りそうな灰色の空の下どこに逃げればと途方に暮れたが、2つ隣の部屋の光に誘われ窓に近づくと小学五年生位の子供がゲームをしている。窓を叩き匿って欲しいと頼むと、少年は何かを察し私に自分のパーカーとゲームを貸してくれて兄弟の振りをすることになった。
    1146

    related works

    recommended works