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    noshiume7369

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    noshiume7369

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    ナイフで料理する兄貴を見たかった…
    兄貴が料理するならじゃがいもと愛用のナイフ使いそうと言う勝手なイメージ。

    だいぶいちゃついてます

    #ジンウォカ

    Breakfast in bed兄貴曰く、元々ショートスリーパーだったが俺とベッドで寝るようになって益々睡眠時間が必要なくなったらしい。「それは良かったんですかい?」と聞くと、「睡眠の質が良くなったからだろう、お前のお陰だ」とお褒め頂いた。よくわからないが「お役に立てて光栄です」と笑いながらも、参った事にそんな兄貴に反して俺の睡眠時間は長くなった。今までも休日は普段の睡眠不足を取り戻すかのようにダラダラと寝ていたが、更に体力を削られる案件が増えたのだ。

    兄貴はそういう事に淡白な方だと思っていたから、俺の体力がついて行かない程抱き潰されるなんて思っていなかった。
    だが考えてみれば兄貴は激情的で苛烈な性格だ。しかしお誘いがかかるベルモットの様な極上の女にそんな無体は強いられない…兄貴は意外と優しいから。そんな時は多少乱暴にしても構わない俺の様な頑丈な男で済ますのが丁度良いのだろう。



    今日も朝の身支度を調えた兄貴が長い髪を一つに束ね、全く高さの合ってない台所の流し台で身を屈めながらじゃがいもを洗っている。

    初めて台所に立つ兄貴を見た朝は驚きに思わず飛び起きて駆け寄ろうとしたが、身体が言う事を聞かずにベッドから転がり落ちる醜態を晒し、兄貴の手を煩わせてしまった。
    まさかこんな事態になるとは思ってもみなかったとはいえ、何かしらすぐに食べれる物を用意しておけば良かった。「何か食いてぇなら買ってきます」と慌てて言うと、兄貴は産まれたての子鹿の様に床に這いつくばる俺を軽々と抱きかかえ、「良いから黙って横になってろ」とベッドへと戻した。
    その後また共にむかえた朝、手伝おうと這々の体で近づくも、持ってるナイフを頬にあてられ、「バラされたくなければ、俺が行くまで良い子でベッドで大人しくしていろ」と脅されてしまった。
    そこからは兄貴がこちらに来るまでぼんやりと、昨夜の疲れなんて欠片も見せずワンルームのキッチンに立っている、何時もより大分穏やかな横顔を鑑賞させてもらうことにしている。

    いろいろな場所に点在するヤサには大体、少しの調味料と缶詰、日持ちのする野菜を常備している。その中からいつも通り選ばれたじゃがいもが、これまたいつも通り兄貴の数ある愛用の一つ(多分これで人を殺ってはいないはず…)の見事なナイフ捌きで細かくスライスされていく。更に細切りにしたらバターのひいたフライパンにパラパラと薄くしき、強火で焼きながらフライ返しでぎゅうっと押していく。仕上げに瓶に入った塩をひとつまみしてかけたら、つなぎのないシンプルなじゃがいものガレットの完成だ。

    程々に大きいがデカい男二人で寝るには狭いベッドに占領されたワンルームで、兄貴の長い足は数歩でキッチンから俺の下にたどり着く。

    「おはようございます」
    「おぉ」

    片手に皿の乗ったトレーを持った兄貴は、ベッドから半身を起こした俺に水を渡し、空いたベッドのスペースに腰掛けた。
    昨夜失った水分を充分に補給した俺は、焼いている時から漂っていたバターの香りに食欲をそそられ、兄貴から手渡された朝飯をゆっくりと噛みしめる。外はカリッと中はホクホクで焼き具合が完璧だ。バターと塩がじゃがいもの甘さを引き立てて、これでもかと言うほど美味い。
    俺が一口一口味わっている様子を、兄貴は煙草をふかしなからまじまじと見ている。
    そう言えばあの兄貴が料理をする事への衝撃と、疲れた身体に染み渡るガレットの味に気を取られ、料理に対する感想を今まで伝えた事がなかったと気づき、俺は手を止めた。


    「兄貴ってなんでもできるんですね、まさか料理も上手いなんて!!もうじゃがいもの料理は一生こればっかり食っていたいくらいでさぁ」
    「お前は本当に口が回るな、大量にオイルを使った覚えはねぇぞ」
    「いや本当ですって!だってシンプルなのにこんなに美味しい!焼き具合も最高ですし、店にだせますぜ!!ベルモットにも褒められたんじゃあないですかい?」

    酒と煙草があれば十日は持つと言う兄貴だから、食への関心も薄いのだと思っていた。しかし実際はあり合わせの物でこんなに美味い料理を作ってしまうのだから、そんな事は無かったのだろう。今までもベルモットに作ってやった事があったのかもしれない。
    なんて画になる光景だ。麗らかな日差しの中、高級マンションの広いベッドの上にはお手製の朝食と熱いコーヒー片手に、お洒落な会話に花を咲かせる美男美女。まるで映画かドラマのワンシーンのようだ。俺が兄貴とベルモットというこの上なくお似合いな二人の甘い朝の一時を妄想していると、知らぬ間に兄貴が身を乗り出し俺の顎をぐいと掴んだ。
    いつ見ても息を飲むような凄みがある整った美しい顔には、今まで見たことのないどこか拗ねた様な不機嫌な表情。初めて見たそれに驚きポカンと間抜けに開いた口の隙間から、兄貴の舌が滑り込んできた。夜の食われる様なキスとは違う、ほんの味見程度のそれは、俺の舌を一瞬なぞり、ちゅっと小さな音と共に離れて行った。

    「お前にしか作った事がねぇからわからねぇな」
    「え………そ、そうですか」
    「ふっ、悪くない出来だな」

    今度は軽く触れるだけのキスをして、呆然とする俺を後目に、野暮用ができたすぐ戻ると、一転ご機嫌になった兄貴は出かける準備あっという間に整えて行く。

    「おい、ウォッカ!」
    「へい兄貴!!」

    思考がまとまらず食べかけのガレットを見つめたままボンヤリしている俺に、何時も通りの黒を身に纏った兄貴が声をかける。意識が浮上させられ、扉の前にいる兄貴にさっと目を向けると、ニヤリと俺の好きなとびっきり悪い顔。

    「そんなに気に入ったんなら、一生作ってやっても良い」

    パタンと扉が閉まる。一人になった俺は部屋の静寂に反し、やけに五月蝿く響く胸の鼓動が治まるまで頭を抱えていた。

    「そんな…勘違いしちまいますよ、」

    俺が特別だって。

    少し冷めてしまったガレットは、それでも泣きたくなるくらい美味くて甘かった。




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    noshiume7369

    MOURNING新年早々すごい夢を見たのでメモ程度に書いときました。

    死ネタ苦手なのにも関わらず、お正月から推しを私が撃つ夢って………ジョン・ウィックの見過ぎだと思いました。
    お正月に見たウォカに狙われるターゲットになる夢「貴方はここで隠れていなさい」
    そう言って出ていった刑事の右京さんを見送り、私は扉の鍵をしっかり閉め薄暗いアパートの一室にいた。
    少し経った頃だろうか、ピンポンとインターホンの音が部屋に鳴り響き、私はおそるおそる扉に近づいた。扉ののぞき穴をそっと見るとそこには真っ黒な帽子、サングラス、スーツを着た大男・ウォッカがアパートの廊下にいて、左右を確認している。
    「すみませ〜ん」と扉が叩かれ、インターホンを連打される。私は逃げなければと焦り部屋を見渡した。「開けろゴラァ!!」と怒声と共にドアノブをガチャガチャと壊れそうな勢いでまわされ、慌てて窓から外に出る。
    雨の降りそうな灰色の空の下どこに逃げればと途方に暮れたが、2つ隣の部屋の光に誘われ窓に近づくと小学五年生位の子供がゲームをしている。窓を叩き匿って欲しいと頼むと、少年は何かを察し私に自分のパーカーとゲームを貸してくれて兄弟の振りをすることになった。
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