たいよう『なぁ、朔間先輩かっこよかったな!』
『あぁ!弟もうちの学年にいるけどさぁ、あいつ朔間先輩に比べて…』
うるさい…
どいつもこいつも兄者と比べてきてうんざりする。
せっかくいい日陰を見つけて寝ようとしたのに最悪だ。
そう思っていても、少し動けば日差しに晒されて動こうにも動けない。
こんな時まーくんがいてくれたら運んでくれるのになぁ。
「まーくん…」
「うぉっ!…なんだ、気づいていたのか。」
「…えっ!ま、まーくん!?なんでここにいるの…。」
急に後ろから声をかけられてびっくりした。
考え事をしてたからか足音にも気づかないなんて。
それにしてもこんなにいいタイミングでまーくんが来てくれるなんて、今週分の運を使い切ってしまったかもしれない。
そういうことなら思いっきり甘えようとしたけど、今日まーくんはユニットの練習があって一緒に帰れない日だということを思い出した。
多分今俺に少し用事があったから探していただけなのかもしれない。
気分もそんなに上がらないしたまには我慢しようかなと思っていると、まーくんが心配そうにこちらを見てきた。
「凛月、体調悪いのか?保健室までおぶってやろうか?」
「…ううん、大丈夫。それよりまーくんどうしたの?俺に愛の告白でもしにきたの?」
「なんでそうなるんだよ。今日ユニット練無くなったから一緒に帰ろうって言いにきたんだ。お前、メールしても返事くれないし。」
そう言えばスマホ、教室に置いたままだった。
まあこうして探して伝えてくれた方が嬉しいかもしれない。
一緒に帰れないと思っていたのに帰れるんだ。
だったら甘えてもいいよね…。
まーくんのことを抱きしめようとしたら、それより先にまーくんが俺の頭を撫でてきた。
「っ…急にどうしたの?まーくんからそんなことしてくれるなんて珍しい。」
「ん?あー…なんか、悲しそうな顔してるように見えたから。」
暖かくて優しい手。
いつも俺が言うことに鈍感なまーくんが、ちょっとした俺の変化に気づいて慰めてくれる。
あぁ、好きだな。一緒にいればいるほど、どんどん好きになっていく。
その気持ちが抑えられなくて思わず抱きしめてしまった。
最初は少し驚きながらも、相変わらず甘えん坊だなと俺の頭を撫で続ける。
身体中があったかくてドキドキして、灰になってしまいそうだけど、もう少しこのままでいたい。
ちらっとまーくんの顔を覗き込むと、目を細めてなにも言わずに笑顔でこちらを見てきた。
そんな顔で見られたら、話したくなくなるじゃん。
顔が赤くなっているのをバレないように、まーくんの肩に顔を埋める。
今はまだ俺の大切なかわいい幼馴染だけど、
いつかはー
「ねぇまーくん。」
好きだよ。