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    naga_hachi

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    naga_hachi

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    執事かおゆ×お嬢様ロリちあです( ˊᵕˋ )♡
    本日5月23日はキスの日ということで、キッスを絡めてみました(*・ᴗ・*)و!

    #かおちあ
    depressedCropPrices
    #あんさん腐るスターズ
    ansanRottenStars

    茉莉花の香りに誘われて。「ほら薫、見て?本当に可愛らしいわねぇ。この方が千秋お嬢様よ。」

    奥様の腕に抱かれた小さな天使は、そっと伸ばした俺の指をその小さな椛のような手でキュッと握ってくれた。彼女、守沢財閥のご令嬢守沢千秋様と初めてお会いしたのは俺が10歳の時だった。守沢家は世界的にも有名な警備会社で、防犯グッツも開発しておりそのシェアは業界一を誇っている。そんな守沢家に代々使えているのが羽風家だ。俺の両親も兄も姉も守沢家で執事やメイドとして働いている。そして俺は千秋お嬢様の世話役を仰せつかっている。将来執事になる事を強制されていた訳ではないが、千秋お嬢様に初めて会ったあの日から俺の心は決まっていた。
    あれから早くも十年の月日がたち、千秋お嬢様は小学校四年生になられ、俺は二十歳を迎えていた。そして最近の俺の悩みは.......

    「羽風!友達にプレゼントをしたいのだが、何がいいか相談にのってくれないか?」
    「ええ、もちろん喜んで。ですがお嬢様、その前に口調を直してください。」
    「む?二人きりだからいいだろう?この方がかっこいいじゃないか!」

    千秋お嬢様はいつの間にか所謂戦隊モノに酷くご執心で何故か喋り方を真似るようになってしまった。まだ救いなのがその口調になるのが俺と二人きりでいるときにだけ、という点だ。十歳をお迎えになった千秋お嬢様は美しくなられ、茶色い髪を高い位置でしばり、明るい笑顔が輝き、正しく健康優良児だと言うのに何故こんなにも逞しい口調になってしまうのか.......早く直して頂かなくては。と、言うのは建前で本音としては可愛らしいし俺の前でだけ、という特別感に浸れるのが幸せだからご両親の前で出さなければ良いと思っている。

    「お嬢様.....まぁ、いいです。どういったご友人へのプレゼントですか?」
    「クラスの男子生徒で、この前帰り際にプレゼントを貰ったんだ。」
    「はい?プ、プレゼントですか?!お嬢様のお誕生日はまだまだ先ですよ?」

    プレゼントだって?なんてませたガキだ!これだから金持ちのボンボンは。まてよ......突然のプレゼントだ、何か意図があるのでは?

    「渡された時相手の方は何か仰ってましたか?」
    「その......えっと...........好きだ、と告白された。」
    「そうですか、告白.........告白ぅ!!?」

    待て待て!まだ小学四年生でだぞ!?というか俺の大事なお嬢様をどこぞの馬の骨かも分からないボンボン何ぞには絶対やらないぞ。

    「お嬢様、ちなみにお返事はどうされたんですか?」

    と、話しかけると千秋お嬢様にツンっと顔をそらされてしまった。

    「あの、お嬢様?」

    もう一度声をかけるが今度は逆の方向に顔をそらされてしまった。

    「お嬢様、お返事を頂きたいのですが。」
    「今は二人きりだ、羽風。私は執事ではなく羽風自身と話がしたい。」

    光の加減によっては橙色に見える、大きくて綺麗な真っ直ぐな瞳に俺が映りこんだ。きっと彼女はその瞳で俺の全てを見透かしてしまう、そんな気さえする。

    「わかった、わかったからなんて返事をしたか聞かせてくれない?」
    「うむ、それでいい。返事はもちろん想い人が居るからと丁重にお断りしたぞ?」

    お嬢様はにっこりと可愛らしい笑顔を向けた。

    「お嬢「千秋。」あーっと、千秋には好きな人が居るの?」
    「.............居る。」
    「..........................っ」

    お嬢様、改千秋は可愛らしく頬を赤らめるとその人を思い浮かべているのか恋する乙女の顔をした。あぁ、なんて綺麗なんだろう.......でもその笑顔は誰のためなの?まだまだ子供だって思っていたのに。

    「羽風は私に好きな人が居たら嫌、なのか?」
    「あ.........いや、その。」

    小首を傾げ、俺を見上げてくる千秋に『いえ、そういった方がいらっしゃる事は大変喜ばしいことです。』その一言が出て来ない。彼女はまだ十歳で、しかも守沢家のお嬢様。歳が離れている以前に俺はただの守沢家の執事。不釣り合いなのは火を見るより明らかだ。執事としていつもの笑顔で答えればいい、ただそれだけの事なのに。

    「なぁ、羽風。ちょっと目を瞑って屈んでくれないか?」
    「え、あ、はい。」

    ぐるぐる考えている時にそう言われて俺は何も考えず、千秋の言う通り目を瞑ったまま少し屈んだ。

    「これでいい?」

    その時だ、チュッといい可愛らしいリップ音と共に頬に柔らかな感触がしてふわりと茉莉花の花のような甘い香りが鼻腔をくすぐった。驚いて目を開けると、千秋は後ろに手を組んで頬を赤らめながらイタズラが成功したという笑顔を向けていた。思わずキスされた頬へそっと手を当てる。

    「私が好きなのは今までもそしてこれからもずっとずっと......羽風薫、あなただけだ。」
    「.........俺の理性壊しにかかるのほんとやめて?..........いい子だから、ね?」
    「羽風は私の事好きじゃない?」

    俺きっと千秋には敵わない。

    「っ!!.........好きです。もちろん、一人の女性として。」
    「そうか!えへへ、嬉しいな。じゃあ私達は両思いなん「千秋。今はまだ、これで我慢して。」っ!!?」

    この子が時々見せる何処か大人の色を含んだ表情に気が付かないふりをしながら、俺は両手で頬を包み、その額にキスを返して彼女に対しての無償の愛を誓った。




    おわり。


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    yukiha0410

    PROGRESS11/23に開催されるレオいずプチオンリー『ライオンキャット6』で発行予定の本の先行サンプルです。お祭りなのでチェクメ関係するとこで書けてるとこぜんぶ載せちゃう。
    【11/23ライキャ新刊先行サンプル】もしものきみと恋をする(仮)【注意】
     ※原作を読んでいることを前提として話が進みます。
     ※しかし、お話の都合上、原作改変を多分に含みます(本で最終的に理由がわかります。ある程度察しのいいかたならここだけでわかると思う)
     ※原作で想定される程度の暴力描写を含みます。
     ※原作で描かれていない部分を妄想にて補完しています。解釈を多々含みます。

     あと、書きっぱなしで見直ししてないので、かなり粗が目立ちます。



    ーーー以下本文ーーー


    プロローグ

     慌ただしく行き交う人波を掻き分けるように、申し訳程度のイルミネーションに彩られた繁華街を突っ切っていく。コートとマフラーで武装している俺を嘲笑うかのように、吹きつける北風は容赦なく全身から体温を奪っていった。どこに設置されているのか知らないが、野外スピーカーは聞き慣れた〝Trickstar〟の歌声をそこかしこにばら撒いていて、まったく落ち着きがない。SSがすぐそこまで迫っていることも、無関係ではないのだろう。リリースされてしばらく、ゆうくんの歌声を聞きたくて飽きるほど再生を繰り返したラブソングはすっかり覚えてしまっていたけれど、今は一刻も早くそれから逃れたかった。
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