「龍之介!」
「虎於ちゃん?」
とある局のTRIGGER楽屋前、収録も挨拶も終え出てきた龍之介を呼び止めたのは虎於だった。控えめに手を振り毎日手入れを欠かさない長く美しい自慢の髪を靡かせながらとたとたと駆け寄ってくる彼女はなんだか妹を思い出す。おにぃ!まって!と龍之介の背中を追いかけていた故郷の家族は元気だろうか、と虎於を見る度に龍之介はそう思っていた。妹みたいでかかわいい虎於、龍之介に懐いてくれていてつい世話を焼きたくなってしまうし構ってあげたくなる。龍之介の後輩の中でも特に可愛い他の誰よりも世話を妬いてしまうのが虎於だった。
「龍之介!いまから帰りか?」
「そうだよ、ちょうど帰りの挨拶を済ませてたから帰るところ。」
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