promise bouquet 部室に妖精さんがいるかのような歌声が響き渡る。
弾むように軽やかで、可愛らしい歌声の主は、私の教えた通りの分量の茶葉をポットに入れて沸騰したお湯を注ぐ。
これが試験だということも忘れてしまっているのかしらというほどに、上機嫌な歌は続く。
花のように笑い、小鳥のさえずりのように歌い、茶器の準備のために歩けばそよかぜが吹いたようにスカートの端が靡き、それでいて、月明かりのように静かにお茶を淹れる後輩のその姿に、私はすでに合格にしてあげたくなってしまう。
私の隣に座るもう一人の後輩に目を剥ければ、口元を硬く引き結んで緊張した面持ち。
……ダメね、やっぱりどうしても私はあの子には甘いみたい。
内心で笑みをこぼしながら、またお茶を淹れてくれる子の姿を目で追いかける。
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