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    パイプ

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    パイプ

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    ひよ不在。

    12月2日12月2日

    昨日おひいさんが置いていったアドベントカレンダーが部屋で大きな存在感を放っている。オレのベッドの横に置いてあるから、ベッドで漫画を読んでる時も、部屋で軽く筋トレをしている時も、サクラくんと談笑してるときも視界に入る。

    「あぅ〜・・・気になる。」

    今日は午前中だけインタビューの仕事と軽めのレッスンが入っていたので、午後からは久しぶりに部屋で寛いでいるのだが、あの大きな箱の存在が気持ちを落ち着かせてくれない。
    昨日、日和から聞いた話によれば今日は2と書いてあるところを開けていいはずなんだけど・・・と、今のジュンには「2」という数字が禁断の果実に見えて仕方がない。開けていいはずの「2」を何故開けられずにいるのかというと、単に日和がいないからで。

    「今日ぼく、帰りは20時頃になる予定だから。帰ってきたら一緒にあけようね!」と、レッスンの際に言われた言葉を忠実に守っている。

    「はやくおひいさん帰ってこないっすかねぇ?」


    同時刻、同室、こはく。

    今日は午後から予定のない休日。同じように午後から帰ってきたジュンはんと特に何をする訳でもなく、リラックスした時間を過ごしている。いや、わしはそうなんやけど、ジュンはんは・・・リラックスはしてないのかもしれへんな。

    漫画を1ページ進めてはちらり、また視線を手元に戻してはちらり。なんやゆう、ちょっと変わった腕立て伏せをしてはちらり、沈んでちらり、あがってちらり。わしと話してる時も、ちらちらちらちらちらちらちらちら・・・

    「どないしたん?ジュンはん。さっきからちらちらあの箱ばっかり見て。なに?なんか気になるもんでも入ってるん?」
    人のプライベートにあんまりズカズカ土足で踏み込むのもなぁ・・・と我慢してたけど、我慢の限界。と、ジュンに声をかけると照れくさそうに笑った後、アドベントカレンダーと日和との約束の話を教えてくれた。

    「そんなに出てましたかねぇ〜?」
    「でてたでてた。ツッコミ待ちなんか"おひいさん"関連で色ボケしてるんかどっちか迷っとったんやけど、後者やったんやね。」

    そう言うと一気に真っ赤に染まっていく同室のセンパイを見て、今夜もどっか出かけた方がええんかな?と思ったけれど、外の風の冷たさを思い出して今日は部屋を出ないと硬く決意した。
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    Replies from the creator

    パイプ

    PROGRESSお久しぶりです。
    久しぶりすぎてこの世界観に帰ってこれてないかもしれない...
    今回、一旦最終章となります。
    生きる時間の違う九尾と人の子は果たして同じ時間を同じ気持ちで生きていくことはできるのでしょうか?
    九尾の日和と人の子ジュン「燐音先輩。」
    「きゃはは!どうしたァ?ジュンジュンちゃんよお。そんなマジな顔しちまって。遂に俺っちにホレちまった?」
    「人の子って大人になっても変化していくもんですよね?」
    「は?」

    日和が会合とやらで出掛けていると風たちが噂しているのを聞き付けた燐音がジュンで遊んでやろうとこの家に遊びに来たのが凡そ一時間前。ところが今日のジュンはどこか浮かない顔をしていて、いつもならやれやれと言う顔をしながらも燐音の悪戯や遊びに付き合うジュンだが今日はそれさえもなく、やっと口を開いたかと思いきや先の一言だ。

    「ナニそんな当たり前のこと聞いてンだ?成長して老化して死んでいくっしょ?ニンゲンなんてモンはよォ?」
    その当たり前さえコイツは知らないままここに来たんだっけかと燐音が思い直しているとジュンは「そっすよね」と知っていたような口ぶりで返して視線を完全に窓の外へとやってしまった。
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