Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    さばを

    @rgN0AkaPonzu

    弟兄村

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 5

    さばを

    ☆quiet follow

    弟かわいい!って信じ込む兄と下心の弟の裏腹感が書きたくて暇つぶしに書いていたやつ 兄が弟バカすぎるし、弟がかわいすぎるな と思った。

    #ラウグエ
    laugue

    泥酔「にいさん、すき。」
    幼い顔で、顔を綻ばせて笑う。初めてラウダと出会ってから、もう十年以上は経つが、ラウダの笑顔は、あの時のままなように見えた。あの時からずっと、俺の弟は、世界で一番かわいい。俺たちはもう、二十一才になるけれど、ラウダがかわいい弟なのは変わらないし、好きだと言われたら、照れくささよりも愛おしさが勝ってしまう。でも、こんなふうに笑ったり、素直に俺への好意を伝えてくれたりするのは、今日が久しぶりだった。学生時代のラウダは、俺に対して尊敬してくれていたのは分かるが、小さな頃よりも素直な言葉をぶつけてくれることは少なかった。それも年頃の男だし、仕方のないことだが、やはり少し寂しかったのだ。俺自身も、ラウダに対して、甘えたり、可愛がったりを率先するのは、思春期もあって恥ずかしかった。お互いそう言う態度だったのだから、俺たちが昔のように、近い距離で触れ合うのは難しかったし、諦めてもいたのだ。だけど、今日のラウダはどうだろう。初めてのお酒を飲んだら、すぐに酔っ払ってしまった。その上、俺の肩に頭を乗せて、控えめに俺の手を握りながら、可愛く微笑んでいる。お酒を飲んで、酔っ払った時が本性だという話を間に受けるとするならば、こんなに嬉しいことはないだろう。まだ、俺のことをこんなふうに好きだと思ってくれている弟が、かわいくないわけがない。ただ、酔っ払っているという状況は、あまり良くはない。一杯でこの調子なのだから、かなり酒に弱いし、体調にも響いてしまうだろう。こんな風に、喜んでばかりでは、兄失格である。
    「ありがとう、ラウダ。俺も、ラウダが好きだよ。でもその前に、体調が悪いんじゃないか?一回お前に水を飲ませたいから、少し離れてくれないか?」
    久しぶりに感じる、弟の温もりを名残惜しく思いながら、弟の顔がよく見えるように前髪を撫でる。ラウダは、俺の触れた手を気持ちよさそうに受け入れながら、控えめに握っていた左手を強く握った。
    「いやだ。離れない。兄さんと、ここにいる。」
    普段しっかりとしているラウダが、子供みたいに不貞腐れた顔をして、ごねている。普段との差に、愛おしさで、胸がきゅんとなるが、ラウダの健康のために、気持ちを持ち直した。
    「兄さんは、お前にお水を飲ましてあげたいだけだ。ここからいなくなったりはしないよ。」
    「いやだ。離さない。」
    小さな頃のラウダを諭すように話しかけてみたが、依然としてラウダは動く様子を見せなかった。むしろ今のラウダの方が、昔のラウダより我儘だった。このラウダが、本性だったのなら、昔の大人しかったラウダが、我慢していてくれたのかとも思えてしまう。そんなラウダのいじらしさを想像すると、また甘やかしてしまいたくなる。でもダメだ。
    「分かった。ラウダが水を飲めたら、ラウダの言うことなんでも聞くから、俺の言うことも聞いてくれないか?」
    まるで本当に子供をあやしているかのような言葉が出た。小さな子供なら、アイス買ってとかそういう可愛いお願いが出るのだろうか。大人のラウダは、一体どんなお願いを言ってくれるのだろう。酔っているラウダに付け込んで、わがままを聞きたいだなんて、ダメな兄だろうか。
    「…なんでも?」
    むすっとしていたラウダの表情が、あどけない顔に変わる。機嫌を直してくれたみたいで、良かった。ラウダは、強く握っていた俺の手と、肩に乗せていた頭をゆっくりと離しながら、俺の瞳をじっくりと見つめた。その瞳は、子供の時にはあまり見たことのないようなじっとりしたものだった。怒っているともまた違う。先程まで、じんわりと蕩けているようだった蜂蜜色の瞳が、ギラリと鋭い視線へと変わる。…なんだか、怖くなってきた。ラウダのお願いというくらいだから、何かかわいらしいものをお願いされるのだろうと思い込んでいたけど、もしかして何か俺に対してストレスを抱え込んでいるのだろうか。かわいいお願いをされると、少し浮かれていたが、どっと後悔が押し寄せてきた。ただ、言ったからには、どんなことも受けて立とうと覚悟を決めて、もう一度瞳を見つめなおす。
    「うん、なんでも、だ。」
    「……じゃあ、僕と今日…一緒に添い寝、して欲しい。」
    「……そんなことでいいのか?」
    「…うん。兄さんと同じベッドで寝たい。」
    覚悟を決めていた俺とは裏腹に、とんでもなくかわいいお願いをされてしまった。確かに、成人男性の兄弟が2人で寝ることなんてあまりないのかもしれないが、なんでも聞いてやるという返答に、こんなことを返されたら、嬉しいに決まっている。ラウダからの、俺への好意がこんなに聞けるなんて思わなかった。ラウダの素直な好意も嬉しいが、俺自身も、ラウダと昔みたいに子どものように話したかった。子どもの頃は、寝る前に2人で明日は何をしようかだとか、こっそり話していた。ラウダはこんな様子で、酔っ払っているし寝てしまうかもしれないが、少しだけでも、あの時のように話せればすごく嬉しい、そう思った。ラウダは、また、幸せそうに微笑んだ。そんな顔をされたら、お酒なんかよりも、早く帰って2人で、同じ布団で寝たいなという気分になってきた。俺は、近くにあった水のグラスをラウダに手渡すと、ハンガーにかけていたジャケットを羽織った。
    「ラウダ、それを飲んだら、家に帰って、布団に入ろう。」
    そう伝えると、ラウダはそれに応えるように、両手でグラスを持って、ごくごくと飲み干した。飲み方まで、子どもみたいだ。
    「じゃあ、行こうか。ラウダ。」

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤💯
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    さばを

    DOODLE弟かわいい!って信じ込む兄と下心の弟の裏腹感が書きたくて暇つぶしに書いていたやつ 兄が弟バカすぎるし、弟がかわいすぎるな と思った。
    泥酔「にいさん、すき。」
    幼い顔で、顔を綻ばせて笑う。初めてラウダと出会ってから、もう十年以上は経つが、ラウダの笑顔は、あの時のままなように見えた。あの時からずっと、俺の弟は、世界で一番かわいい。俺たちはもう、二十一才になるけれど、ラウダがかわいい弟なのは変わらないし、好きだと言われたら、照れくささよりも愛おしさが勝ってしまう。でも、こんなふうに笑ったり、素直に俺への好意を伝えてくれたりするのは、今日が久しぶりだった。学生時代のラウダは、俺に対して尊敬してくれていたのは分かるが、小さな頃よりも素直な言葉をぶつけてくれることは少なかった。それも年頃の男だし、仕方のないことだが、やはり少し寂しかったのだ。俺自身も、ラウダに対して、甘えたり、可愛がったりを率先するのは、思春期もあって恥ずかしかった。お互いそう言う態度だったのだから、俺たちが昔のように、近い距離で触れ合うのは難しかったし、諦めてもいたのだ。だけど、今日のラウダはどうだろう。初めてのお酒を飲んだら、すぐに酔っ払ってしまった。その上、俺の肩に頭を乗せて、控えめに俺の手を握りながら、可愛く微笑んでいる。お酒を飲んで、酔っ払った時が本性だという話を間に受けるとするならば、こんなに嬉しいことはないだろう。まだ、俺のことをこんなふうに好きだと思ってくれている弟が、かわいくないわけがない。ただ、酔っ払っているという状況は、あまり良くはない。一杯でこの調子なのだから、かなり酒に弱いし、体調にも響いてしまうだろう。こんな風に、喜んでばかりでは、兄失格である。
    2269

    related works

    recommended works