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    gw_morina

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    gw_morina

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    パーメット後遺症で1-24話までの記憶がまるっとなくなった好青年ラウダがグと2人で暮らしてる話

    #ラウグエ
    laugue

    ラウグエSS する時のラウダはまるで十代の学生みたいに性急で、激しい。つられて俺も喘いだり叫んだりするから、最中のことはあんまり覚えていなかった。鱗のように浮き上がった赤い火傷の痕が体中を這うように光るのだけが、ずうっと瞼の裏に後を引いてのこる。

    「さすがに疲れたな」
    「あんなに鍛えてるのに?」
     尋ねるラウダの方はあまり息を切らしていない。回した腕で感じる左胸の鼓動も、俺よりゆっくり、規則正しく脈打っている。前は(と言っても比較対象は学生時代の体育の時間とかだけど)こうじゃ無かったから、これもパーメット後遺症、というやつなのかもしれなかった。
    「兄さんのこんな風になるなんて、なんか夢みたい」
     こんな風、は多分さっきまでの行為諸々を指しているんだろう。その証拠に弟の頬は少し赤らんで、再び火傷の痕が浮き上がりかけていた。
    「またその話か」
    「だって、過程が想像できないもん」
     思わず思考が漏れ出たように、少し不満そうな声。僅かに眉を上げてみせるとラウダは慌てて「あ、嫌だって話じゃ無いよ」と言い添え、こうつないだ。
    「すごくしっくりくるっていうか、ずっとそうだったんだって初めて納得したって言うか。もう兄さん以外とこうなるなんて考えられないくらい、幸せ」
     じっと俺を覗き込んでくるキラキラした目は俺に、高校に入る前、ずっと二人であの屋敷で暮らしていた時のことを思い出させる。
     そう。忘れてすっかり馴染んでいたが、ラウダはずっと、もっとのんきな奴だった。いつも俺の事をじっと見ているせいで、他の事に対してはぼんやりしてて、学校に入ったばかりのころカミルにもよく揶揄われていたっけ。そうじゃなくなったのは、いつからだったか。
    「……だからなおさら、どうして兄さんとこういうことになったんだろうなって知りたいって言うか……その、パーメットの事故?てやつで、すっかり忘れちゃったから」
     大体まるっと4年。ちょうどスレッタ・マーキュリーが転校してくる少し前ぐらいのとこから、俺が会社を継いでようやく起動に乗り始めたあたりまで、ラウダの記憶は欠損している。本人にとっては、ついこの間まで新入生の歓迎会でキャンプファイアーの準備をしたり、一緒にランブルリンクで共闘したりしてたのに、気がついたら地球で働いていた状態だ。
     その記憶の欠損がどういう風に起こったのかも、ラウダが気づいていたのか気づいていたのかいなかったのかも、気づいていたとしたら何を考えていたのかも、俺は知らない。離れて暮らしていたから、なるべく会わない方が良いと思ってたから、しばらく連絡が無いことへの焦燥も無理やり気にしないようにしていたから。
     だからこの話を聞かされたのはラウダの記憶がすっかり抜け落ちてからで、しかも連絡をとってきたのはミオリネだった。
     仕事で困っている訳ではない。そう、ミオリネは言っていた。エピソード記憶が抜け落ちているだけで知識や技術やらは問題ないのだと。むしろあのときの記憶が無くなったことで、どこかぎこちなさがあった会社の地球寮の面々ともミオリネとも、スレッタとも、ずっと上手くコミュニケーションがとれてる。だから解雇するつもりはないのだと。
    「ラウダはなんで馴染めて無かったんだ?」
    そう、疑問を口にした俺を、ミオリネは深くため息をついてから、冷たい目で見つめ返して、言った。
    「あんたの弟は、このまま地球に居るのが良いと思う」
     にもかかわらず地球で契約していたラウダの部屋とか、順調に行き始めてたはずの株ガンの仕事まで辞めさせて一緒に住むことにしたのは、いろいろ分かってなくて混乱してるあいつと一緒に寝るようになったのは、俺の、

    「きっと僕が兄さんに気持ちを伝えたんだろうね。それで兄さんが、受け入れてくれたのかな?」
     おずおずと呟くラウダの声で、現実に引き戻される。目の前で笑う弟は、笑みを保っているのにどこか不安そうだ。すがりつくように腕を掴む手は、俺はゆっくりと首を横に振るともっと酷くなる。
    「やっぱり兄さんは、」
    「俺から言ったんだ」
    「ぇ」
    「お前のことだ好きだって。父さんがお前と一緒のパーメットの事故に巻き込まれて死んでしまって、お前まで死んじゃうんじゃ無いかっておもったらすごく怖くて、」
    「…………ほんと?」
     頷く。それらすべてが、本当にあったことのような気がしてくる。
     世界のコントラストがぐるっと反転して、悪夢のようなすべては、実際に悪夢だったかのように。
    「でも、多分兄さんより前から僕は兄さんのことが好きだったよ」
    「そうかな?俺もずっと前からラウダのことが好きだったぞ」
     ゆっくりとラウダが笑う。
     家出から帰ったときも、決闘に勝ったときも、"全部"が終わったときも、地球に旅立つときも、ラウダはいつも笑顔だったけど。それでも、弟のこんな顔を最後に見たのは一体いつだろう?
     それは俺が気づかないくらい前からずっと、不可逆に失われていたものだった。
    「っ、こっち来いよ」
     泣きそうになったのを誤魔化すようにラウダに抱きついて、また続きを開始することにした。
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