おかえりを言うために「ミカ、悪いんだけど、ちいとばかし故郷に帰らなきゃならなくなっちまった」
「休暇か? いつ頃出発するんだ?」
「これから。別に荷物とかはねぇから、このまま帰るつもりだ。二日で戻る」
日の出と共にラディムに起こされ、話があると言われて身構えていたため少々気が抜けた。休暇くらい、気軽に取ればいいものを。
その後いつも通り朝の散歩をしたあと、ラディムから軽い護身術を教えてもらった。人間の急所というものの場所を教えられたのは初めてではないが、あれは剣術の稽古の場所であって、人とやり合うためではない。そのため、十九を迎える日のひと月前でも初めて知ることが多かった。きっと、俺が一人で身を守れるようにしてくれたのだろう。
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