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    pipicoyai

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    ※時系列は意識していなく、ふわっとしてます
    ※閲覧してくださる時は広い心で何卒お願いします

    ※ドラマパートやコミカライズ等すべては追えていないので、
     内容に齟齬がある可能性がある事、ご了承いただけると助かります。

    強盗に襲われ慌てて出したカラーボールを、急に現れた和装の男にぶん投げられて唖然とするしかない店員さんの姿を想像しました。

    カステラ「カステラの底にあるあの紙、いくつまで食べてました?」
    「食ってたこと前提かよ……」
    「え?あの紙食べないの?」
     現役選手の登場に驚きつつ、まあ、乱数だし……と2人は深くは考えなかった。
     あれさえ無ければ全部美味しいのに!って思ってたんだよね〜という呑気な声が聞こえてくる。

    ――――

     暇を持て余し幻太郎の家へ来た帝統は、幻太郎と共に居間でテレビを見ていた。
     お昼のバラエティーが終わり、サスペンスドラマかワイドショーどちらが良いですか?と聞いてくるので、どっちでも良いと答えると、幻太郎はワイドショーにチャンネルを変えた。
     テレビから視線を離し、幻太郎の方をちらと見ると、幻太郎も特段見たかったわけでは無いらしく、机に肘をついて手に顎を乗せ、つまらなそうにテレビを見ていた。
     ふと思い立ち、白いズボンのポケットの中をごそごそ探る。
     これ、土産だ。と言いながら幻太郎の目の前に置かれたものは、◯物語りのキャラクターが描かれている煎餅だ。
    「こんなものがあるんですね」
     パチンコの景品である事をここまで主張することないのでは?とおかしそうに、煎餅と帝統を交互に見た。
    「それ、全財産」
    「え。」

    「通りで、夏だからって格好が涼し過ぎると思っていたんですよ」
     幻太郎の家の庭に現れた帝統は、いつものモッズコートは夏だから羽織っていないのだと納得したが、黒いタイトめのシャツも着ていなかった。用もなく庭からの景色を楽しんでいた幻太郎の前に現れた上裸の男。
     よく見るとズボンは死守したのか、白いジーンズはいつもより薄汚れて、引き裂かれた布のビリビリ度は増していた。
     一体どんな顔しているのかと見てみると、何やら達観した賢者のような、もう何も恐くは無い、という確かな意思が伝わってくる面持ちだった。
     幻太郎は、よくぞここまで通報もされずに辿り着いた、と勇者を迎える村の長老の気持ちになった。

    ――――

     お菓子の種類は幅広い。
     スーパーやコンビニに売っているもの、カフェやケーキ屋さんが売っているもの、駄菓子、その地域の名物、素人の手作り。とにかくたくさんある。
    「くるみゆべしが売っていたので買ったんです。開けてみると、ティッシュ無しではどう頑張っても、粉で机が汚れる包装だと思いました」
    「俺はこの前、信玄餅を拾って食ったぜ!」
     全財産煎餅男こと帝統は、涼しい屋内に迎え入れられ、幻太郎が持っていた白い大きめのTシャツを借りて着ていた。全身白男だ。
    「さらっと恐ろしいことを言わないでください」
     毒入り信玄餅で死んだらどうするんですか?と呆れて言うと、そりゃあ、ダセー死に方だな?と笑った。
    「信玄餅なら、包み紙に中身を全て出して、それを揉み込んで、黒蜜ときな粉を全体にまぶして食べるとこぼさず食べられるんですよ」
     知ってましたか?と帝統を見ると、頭に?を浮かべていた。
    「んな事しなくても、容器ひっくり返して一口で食っちまえば良いじゃん」
    「そんなことしたら咽せるでしょう」
     まるできな粉の存在に気付いてすらいなかったかのような物言いに、本当にそうやって食べたのかもと内心納得した。
     大口を開けて、頭上で容器をひっくり返してきな粉まみれになる帝統を想像していると、ある事を思い出した。
    「そういえば」
     幻太郎がすっと立ち上がり、居間から出ていく。
     テレビではニュース速報が流れていた。
    『速報 シブヤで連続強盗事件発生』
    『なお、犯人は現在も逃走中で……』
    「これ。担当編集から旅行の土産で貰ったのですが、一人では食べきれないので」
    「俺が食べてやんよ♪」
    「いいえ、結構です♪ 乱数にお裾分けしましょう」
    えぇーと帝統は不満を漏らすも「しょーがねえーな!」と紙袋を手に持つ幻太郎の後に続いた。

    ――――

    「あ!ちょうど良いところに!その人捕まえてー!」
     乱数は相変わらず楽しそうだった。楽しそうに強盗犯を追っていた。
    「コイツ!」
    「お客様とて許せぬ!」
     乱数の事務所の近くにはコンビニがある。
     このコンビニで3人はよく昼食や菓子や飲料やアルコールを買っていた。
     今日も事務所へ行く前に飲み物でも買おうと入店したところ、入り口向かって勢いよく走る男と、乱数の声が飛んできた。
     帝統が体当たりで男の動きを止めようとするも、すんでのところで避けられる。
     すかさず先程の某と千尋の某隠しに出てくる、某婆婆の台詞を叫んだ幻太郎がカラーボールを投げた。
     幻太郎の投げたカラーボールは信じられない豪速球で、見事に走り去ろうとする男に命中した。
     今なら「小生、実は高校球児だったんです」と言われても信じられる自信がある、と乱数と帝統は思った。
     幻太郎は ぅぐっと鳴いて、肩を痛めた。

    ――――

    「こんな事になるならわざわざ持ってくるんじゃなかった」
    「んもう!そんなこと言わないの!」
     新鮮な卵の黄身を彷彿とさせる、美しい黄色のスポンジの底にある、濃いカラメル色の部分からペリペリと薄紙が剥がされる。
     うん美味しいー✩と乱数は幻太郎が持ってきたカステラを頬張りつつ上機嫌に言う。
    「そうだぜ?お手柄だぞ、幻太郎!」
     今日は良いもんが見られたわー、と帝統は腕を組みうんうん頷く。
    「2人とも他人事だと思って……」
     運動音痴、略してはいけない、普段から運動不足で、決して略して言ってはいけない運動音痴の幻太郎は、咄嗟に力の加減が出来なかった。
     運痴の幻太郎が全力で放った朱色のボールは、犯人逮捕に貢献するのと引き換えに、幻太郎から健康体と気力を奪っていった。
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    pipicoyai

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    ※ドラマパートやコミカライズ等すべては追えていないので、
     内容に齟齬がある可能性がある事、ご了承いただけると助かります。

    強盗に襲われ慌てて出したカラーボールを、急に現れた和装の男にぶん投げられて唖然とするしかない店員さんの姿を想像しました。
    カステラ「カステラの底にあるあの紙、いくつまで食べてました?」
    「食ってたこと前提かよ……」
    「え?あの紙食べないの?」
     現役選手の登場に驚きつつ、まあ、乱数だし……と2人は深くは考えなかった。
     あれさえ無ければ全部美味しいのに!って思ってたんだよね〜という呑気な声が聞こえてくる。

    ――――

     暇を持て余し幻太郎の家へ来た帝統は、幻太郎と共に居間でテレビを見ていた。
     お昼のバラエティーが終わり、サスペンスドラマかワイドショーどちらが良いですか?と聞いてくるので、どっちでも良いと答えると、幻太郎はワイドショーにチャンネルを変えた。
     テレビから視線を離し、幻太郎の方をちらと見ると、幻太郎も特段見たかったわけでは無いらしく、机に肘をついて手に顎を乗せ、つまらなそうにテレビを見ていた。
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