第二章 風の月
1.
「あー、そういえばソウイウことなーんにも教えてこなかったかもー」
「光己さんんんんん!!!!!」
翌朝の爆豪家の一角で、何より出久が探し求めたのは勝己の母親、光己の姿であった。
四十は越えたろうに昔と変わらぬ瑞々しさを保っている爆豪光己は、猛然と駆け寄ってくる出久に気づくなり
「あら若ダンナ様、昨夜はお楽しみ~?」
と、中身も少女そのままでくふふと笑った。
こっちはそれどころじゃない、頼むから来てくれと納屋の影に引っ張り込んで、かくかくしかじか昨日の顛末を─裸を見せあったことはちょっとゴニョゴニョと誤魔化しながら─説明すると、実にあっけらかんとした答えが返ってきたのだった。
「多分勝己はそういう、男女のどーこーとか全然知らないと思うわぁ。
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