【大きな古時計】夕方の商店街から流れてくる、少し悲しめな音楽に水木は懐かしい…と目を細める。
大きなノッポの古時計。
ワシにはあまり馴染みのない音楽であった。
「どんな歌じゃ?」
「知らないか?その古時計は歌に出てくるお爺さんが産まれた時に家族が買ってくれた時計でさ。お爺さんと共に百年間ずっとずっと動き続けてた。嬉しい時も悲しい時も…そしてそのお爺さんが亡くなる時その古時計も同じく動くのを辞めてしまうんだ…お爺さんの後を追うように…」
まるで御伽噺の様な歌。
人とヒトデナイモノが同じ時を生きる歌。
そんな事が許されるのだろうか…
「お前はそうなってくれるな」
あぁなんと残酷な事を言う…
御伽噺の様な夢物語の様な歌を聞かせておいて…
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