屋上人生に疲れたから死にます。さようなら。
SNSの海にそんなメッセージを投稿したあと、私はとある雑居ビルの屋上に上った。
ビルは四階建てで、そこまで高くはなかった。
けれど、そこは大して問題じゃあない。
何故ならば。
「どーもォ……」
背後から、声をかけてくる男がいた。
気だるく覇気のない低い声。
振り向けば、カソックを着た中年男がひとりでぼんやり立っていた。
飛び降りようとしているのが見えて、止めに来たんだろう。
「こ、来ないで!」
「そこ、危ねーですよォ。こっち来なさい」
「来ないで!来たら飛び降りるから!」
「はあ」
いかにもやる気のなさそうな態度と返答。
……期待していたものと違う。
普通はもっと慌てて、「早まるな」とか「話なら聞く」とか言って止めてくるのに。
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