悪夢私は人の営みを見守る立場にいる。
生きることによって人間が得るものは、ひとつだけではない。
人生で得られるものは一人一人違う。
朝から晩まで仕事漬けでいる人生。
子育てに明け暮れる人生。
貧困に喘ぎながらも愛ある人生。
他人から見て理解できないものもあるのだ。
自分の価値観を、押し売りしてはならない。
ならば私自身はどうなのだろう。
私の得たもの、あるいは得たいものは?答えは出たためしがない。
だからこうして目を閉じてずっと考えている。
「クレオ、さん」
名前を呼ばれ、目を開けた。
若者然としたアクセサリーの似合う青年が立っている。
愕然とした顔で私を凝視している。
そして次に私の足下に転がった『モノ』達を見る。
「よく吐き気を催さないものだな」
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