十二国記パロ③ では、今からご説明しますね、と書を広げたのは、十二国史最長王朝である奏国の次男にして風来坊、櫨先新こと利広である。そこはさしたる問題ではない。おもしろいことに顔を突っ込みたがる彼は、胎果の王の帰還にここぞとばかりやってきて、説明係に名乗りを上げたということだ。
女仙たちはどうしても世情に疎く、なによりまだ塙麒もこの世界の仕組みをわかっていない。蓬山の主である玉葉君はそのたおやかな眉を寄せたが、利広が適任であることはしぶしぶ認め、さっさと奥に引きこもった。
口うるさい……もとい厳格な蓬山の主が姿を消したいま、利広の独壇場である。とはいえ、己の立場をわきまえている利広はきちんと自らの役割を果たすべく、彼が知る世界のすべてを若き塙王に伝えた。
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