春…桜が咲く季節
毎年この時期になると同じ夢を見る
幼い頃からずっと…
最初は声は聞こえなかった
でも今はその声も聞けるようになった
夢の話を少ししようか



いつの時代かはっきりとは分からないが女の人と男の人の２人
２人は慎ましく仲良さげな関係だった
でもそんな２人にも別れが来て男の人が去ってしまう
でも女の人は桜の木の下でずっと待っている
多分、その人が帰ってくると信じて待っているんだろとは思う…
今分かっていることは女の人がキラ、男の人がレイっていう名前
女の人が姫てきな存在で男の人が使え人のようだった
身分の違う恋愛…さぞかし大変だったろうな…
でも夢で見る２人は幸せそうな感じだった…
それから俺は桜を見るたびに夢のことを思う
あの人が俺の好きな人だろうなって
別に恋人がいなかった訳じゃない
確かに彼女はいたが好きにはなれなかった…
そのため告られて振ったり、振られたりの繰り返し
友人にはモテ男とか言うているけど実際嬉しくないし
やっぱり、あの人に会いたい
どこにいるのか分からない、探しに行きたいけどでも探すあてもないからどうしていいのか分からないな
多分今でもその人のことが好きと思う


桜の季節、俺は散歩する
ふわっと風が吹き桜の花びらが舞う
桜…今年は会えるのかな
近くにあった桜の木を撫でる
今まで桜の木を撫でたことはなかったが何故かこの木を撫でなくなったと同時に懐かしい気持ちになった

「レイ？」

振り返ると桜に攫われそうな、儚く線の細い男がいた

「キラ」

無意識に呟いた言葉

「キラ！」
「レイ！」

お互い駆けつけて抱きしめた

「会いたかった」
「僕も」
「ずっと待っていた」
「僕も」
「転生は男になったのか」
「うん、いや？」
「そんなの関係ない！だってキラはキラだ」
「うん、まさかとは思ったけどほんとにレイとはね」
「俺も思った」
「実はここでもキラなんだよ」
「そうか、実は俺もだ」

前世の名前から今も同じとはな

「キラ」
「レイ」

どちらからでもなくキスをした
彼女がいたときもキスぐらいはしていたが何も思わなかった
でもキラとしたキスは心が温かくなった
そっか、やっぱり好きな人とするキスは違うな

「顔赤い、初めて？」
「いや…でもこんなにドキドキはしたことない」
「うん、俺も一緒」

桜が巡り会わせた
もう離れたくない

「これからはずっと一緒だ」
「うん」