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    宇沢@niji_uzawa

    MDZS/cql 忘羨/曦澄

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    宇沢@niji_uzawa

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    期間過ぎてしまったのですが、どうしても書きたいお題だったのでテーマだけお借りしました〜

    #忘羨
    WangXian

    忘羨ワンドロ「甘える」 月が明るく輝く夜だ。虫の音が軽やかな風と共に、静室へゆったりと入り込んでくる。魏無羨は床に寝転がったまま天子笑を煽り、秋の匂いがする風をゆっくりと吸い込んだ。肺が幸せで満たされる。横を見れば藍忘機は文机に向かって書き物をしている。僅かな隙も見出せない、その凛とした佇まい。淀みのない筆の動きは、目を奪われて時が経つのを忘れてしまう美しさだ。しかし、この世でただ一人、魏無羨だけはこの誰も寄せ付けない空気を纏った含光君の隙をいとも簡単に生み出すことができる。
    「なぁ、藍湛」
     魏無羨は起き上がり、四つん這いで藍忘機の前までやって来た。紙の上を自在に滑っていた筆が止まる。藍忘機はふと目を上げた。返事こそないものの、その瞳は目の前の存在への愛で満ち溢れている。魏無羨はそれを見た途端、堪らなく嬉しくなって、藍忘機の顔を両手で包み込んだ。
    「魏嬰」
     やっと名前を呼ぶと、これ以上書き物を続けることは難しいと判断したのか、彼は紙に墨が落ちないよう、筆を慎重に脇へと置いた。
    「なぁなぁ、兄ちゃん。そいつはまだ終わらないのか?どうせまた、お前の叔父貴に言いつけられた仕事だろう?そんなつまらない物より俺を構ってよ」
     魏無羨はにっこり笑うと机を回り込み、ごろんと床に寝転がって藍忘機の膝の上に断りもなく、頭を載せた。そんな魏無羨の様子を見て、藍忘機は彼の顔にかからないよう、自分の袖をそっと後ろへと払った。
    「おお!お前の顔は下から見ても本当に綺麗だな」
     心から感嘆してそう言うと、内心照れているのか、彼は魏無羨の顔をじっと見たまま、何も言おうとはしない。代わりに大きな手が優しく魏無羨の頬を撫でた。魏無羨はその手の甲に頬ずりし、口付けして足をジタバタと動かした。
     そんな時、ふと魏無羨は思った。自分はいつもこうして彼に甘えることが当たり前だが、彼もこんな風に自分に甘えたいとは思わないだろうか。奥ゆかしい藍忘機がたまに見せる不器用な愛情表現を思い返すと、藍忘機にも甘えて欲しいと強く思う。そう考えた魏無羨は藍忘機の手をどかし、起き上がる。
    「なぁ、藍湛!」
    「何だ」
    「俺のここに頭を載せてみろ!」
     胡座を組んだ自分の膝をポンッと叩いて見せると、彼の眉間に僅かに皺が寄った。
    「……何故」
    「何だ?俺の膝じゃ不満だって言うのか!?」
     もちろん、藍忘機がそう思っていないことは重々承知だ。しかし、そうでも言って挑発しなければ藍忘機は動かないだろう。
    「そうか!戸が開いてるから恥ずかしいんだな?」
     さらに断る理由をなくすため、魏無羨は立ち上がって開いていた静室の戸を閉め、ついでに窓も全て閉めて回った。
    「さぁ!これで誰かに見られる心配はない」
     再び横にやって来て座り、にこにこ笑って自分の膝をポンポンと叩く魏無羨を見て、藍忘機はまだ途方に暮れたように動かなかった。
    「たまには俺もお前を甘やかしたいんだよ!だから、俺のためにここに寝転がってみてくれ」
     礼節を重んじる姑蘇藍氏としては、床に寝転がることに抵抗があるかもしれない。だが、これまで魏無羨は幾度もこの静室の床に押さえ付けられて来たことを思い出した。尤も、それは毎回、魏無羨があの手この手で、本来理性の塊である含光君を煽り立てた結果なのだが、魏無羨はこの時、都合良くその事実を忘れて言った。
    「床に寝るのは行儀が悪いから駄目だなんて言わせないぞ。俺のことをこの床の上で何度犯した?」
     一見変化のないその表情が崩れそうになっているのを魏無羨は見逃さない。素早く彼の傍に寄って、その肩にしなだれかかり、服の上からねっとりとその逞しい胸を撫でた。
    「想像してみろ。俺の膝の上に頭を載せたお前の頬を俺が擽って、たくさん口付けしてやる。お前は俺の腰に抱き着いて、俺の腹に顔を埋めるんだ。そんなお前の頭を俺が優しくよしよししてやるから。そうだ、明日ここに葡萄を持って来て、俺がお前に食べさせてやるっていうのはどうだ?お前は雛鳥みたいに口を開けるだけでいい。俺はお前のために一粒一粒、皮を剥いて葡萄を食べさせてやるからさ」
     囁いている間に、目の前の耳朶がどんどんと染まって行く。それを見て上機嫌になった魏無羨がさらに言葉を紡ごうとした瞬間、藍忘機は身を翻した。簡単に床に押し倒されてしまった魏無羨は悔しくて声を上げた。
    「おい!藍湛!そうやって誤魔化すつもりか!お前!あっ!こらっ!藍湛……っ!!」

    「……腰が痛い」
    「すまない」
     散々床で犯され、痺れて感覚のなくなった尻を摩りながら、魏無羨は寝床の上で不満を漏らした。寝床から降りて、床に落ちた布団を拾い、そっと夫の体にかける彼を魏無羨は睨み付ける。
    「お前は俺を恥知らずと言うけどな、お前は俺の恥知らずぶりをもうちょっと学ぶべきだ。俺たちは道侶なのに、俺は夫に膝枕すらも拒絶された上、腰が使い物にならなくなるまで犯されるなんて、俺が可哀想だと思わないのか?」
    「私が悪かった、魏嬰」
     布団の上からそっと脚に触れられる感触があった。首を起こすと、自分の行動を悔い改める様に膝を着き、布団の上からそっと自分の額をちょうど自分の太腿に当てている藍忘機の姿が見えた。およそ含光君らしくないその行動は、まさしく彼なりの膝枕なのだろう。少し間抜けにも見えるその愛しい姿を見た魏無羨は興奮して彼の頭を抱え込んだ。
    「あはは!藍湛!兄ちゃん!やればできるじゃないか!よし!明日は俺が葡萄を食べさせてやろう!」
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