大切な時間ユキには赤い薔薇がよく似合う。白い肌に、絹のような銀髪。赤い薔薇が映えるその美貌は毎日見ても飽きる事はない。
「っ!」
薔薇に触れようとしたユキが反射的に薔薇から手を離した。
「ユキ!?大丈夫!?」
「大丈夫だよ、薔薇の手入れをしようと思ったんだけど、棘が少し当たっただけだから」
「でも、血が……!」
ユキの指先から微かに血が流れ出す。
「すぐに治るよ。僕達は吸血鬼だからね」
「でも……」
……ゴクリ。
自然と喉が鳴ってしまったのを見てユキは楽しそうに口を開く。
「どうしたの?そんなに見つめて。ふふ、飲んでみる?」
「だ!大丈夫!!」
手を顔の前で振って全力で否定する。ユキの血はできるだけ飲みたくない。だって、なんか変な気持ちになっちゃうんだもん……。
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