雪月花の時 最も君を憶ふ俺が生まれた時にすでに雪にぃはこの世に存在していて、当たり前のように今までそばにいてくれたから、ずっと並んで生きていけるような気がしていた。
俺は、ずっとあの雪にぃからの温かい感情を享受できるありがたさにあぐらをかいていたんだ。
雪にぃが生きている世界しか知らないのに。
ずっとそんな日常が続くとは限らないのに。
「おはよう、雪にぃ」
「.........」
ある朝、キッチンに立ちみんなの朝ごはんを作っていた雪にぃに挨拶すると雪にぃは手を止めてじっと俺の顔を見つめ返した。返事がないことに違和感を覚える。
「ん?俺の顔に何かついてる?」
「.........いや、気分を害したら悪いんだが...名前を聞いてもいいだろうか?」
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