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    masasi9991

    @masasi9991

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    現パロのデググラ

    ##デググラ

    待受の話


     畳の上であぐらをかいたキミは、大きな背中を丸めて手元を覗き込んでいる。
     時々首を傾げて、ウームと唸る。何をやっているのか布団の上からじゃわからないが、キミの後頭部にハテナのマークがたくさん浮かんでいるように見えるのは間違いない。
     首を傾げたり手元をちょこちょこと動かしているキミははっきり言ってかわいい。小動物的なかわいさだ。身体は大きいから熊や狼のようでもあるけど、そのギャップがまたすごくいい。
     しかし一体なにをやっているんだろう。このまま困ってるキミを眺め続けるのも悪くはないけど、キミが興味を向けているものも気になる。
    「デグダス」
     それにそこにキミがいると、それだけでどうしても、名前を呼びたくなってしまう。もちろんそれ以上のこともしたい。
    「お! グランツ! 起きたのか?」
     キミは座ったままクルッと振り向いたが、手元の方はまだ見えない。
     おれはちょっとやる気を出して、布団からどうにか抜け出す。
    「どうした? 風呂でも入るか? 先にご飯にしようか?」
    「フフフッ。それともキミにしようか? なんてな」
    「ん? わわっ」
     キミが首を捻ってるスキに、おれはキミの背中に抱きついた。その広い背中に体重ぜんぶを預けながら、肩越しに手元を覗き込む。
    「スマホか? いつ買ったんだ」
    「今日だ! さっき仕事帰りにな、ほら、ピカピカだぞ」
    「あっはっは! よかったな。でも、使い方なんかわからないって言ってたじゃないか」
    「ン……ま、しかしこれからは仕事にもこういうのがないと困ると聞いたからな」
    「それで、やっぱり使い方がわからずに困っていたというわけか」
    「いやいや、さすがのおれも電話のかけ方まではわかったぞ。つまり完璧だ! ……しかしだな、聞いた話とどうも違って、この……」
    「ふんふん」
     キミが手に持ったスマートフォンの画面を、背中側から抱きついた手を伸ばしてちょん、と触る。画面に映っているのは、まだアプリも何もほとんどインストールされていないさっぱりしたホーム画面だ。
    「この辺の、この奥の方のこれだ。この宇宙の部分を変えたいんだ。変えられると聞いたんだが」
    「あはっ。なるほど、待受の画像を変えたいのか。この星空の画像は初期設定のままだもんな」
    「……ンー? ウン? うんうん。そうだ」
     疑問形で唸るキミの低くて曖昧な返事が、抱きついた背中越しにゆるく響く。首を傾げたり頷いたりする振動も、やっぱりハテナを浮かべた曖昧なもので、こっちに伝わってくる振動も大いに戸惑ってゆるゆるだ。
    「ちょっと貸してくれ」
    「おう」
    「例えばな、こういうのはカメラがここに付いてるんだ」
    「ほぉー」
     素直に頷くキミがかわいくて、また小さく吹き出してしまった。その瞬間に、シャッターボタンに指が当たる。カシャ、と大きな音がした。
    「あ! 写真だ!」
    「しまった。変なタイミングで撮ってしまった」
    「な、グランツ。この写真がお茶請けになるのか!?」
    「ふはっ、あははっ! それじゃお菓子じゃないか! ふっ、ふふふふ、おれがお菓子に……」
    「お茶請けではない? この後ろの全部にこう、でっかく出すやつがいいんだ」
    「待ち受けだ。でも今撮ったのが、どんな写真になってるか」
     そう言いながら、改めてさっき撮った写真を画面に表示させてみる。
    「ふふ。だめだ、ほとんどおれしか映ってない」
     しかも吹き出した瞬間の微妙な顔だ。デグダスの方は頬とモミアゲと無精髭がブレながらフェードインしている。
    「うん、これだこれ! これにしてくれ!」
    「え? いや、こんな写真じゃだめだろう」
    「いやいやこれにしたかったんだ。こういうのにするのに、どうしたらいいのかわからず困っていたんだ」
    「おれの顔だぜ」
    「うむ。そのために買った」
     大満足とばかりにキミは頷く。で、おれにスマホを持たせたまま。おれがキミのためにこの写真を待ち受けに設定するのを全く疑いもなく待っている。こんな写真写りもよくないヤツで、本当にいいのか? と、いうか、そのためにって、今言ったのか。なんてこと言うんだキミは。
     身体がカーッと熱くなってきた。体温の高いキミの背中よりももっと熱くなっているかもしれない。あっという間だ。


    (了)
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