連鎖的おひるね 3 あまりにも気持ちがいい。ぐっすり寝ている状態なのだと自分自身ではっきりと理解しているほどに、気持ちがいい。しかし十分間だけ、とデグダスに言われたことは覚えている。
十分……もう過ぎているんじゃないかな。半分以上ぐっすり寝ているこの状態じゃ、確信は持てないが。時計なんかもちろん見ていない。
眠っている? 眠っているのにこんな風に色々考えているのはちょっと変か。半分は起きているわけだ。それじゃもういっそのこと起きた方がいいのかも? 少なくとも十分は過ぎていそうだ。名残惜しいけど……。
目を覚ます前に、夢と現実の間で考え事をする癖がある。きっとキミの隣があまりに寝心地いいせいだ。
今も隣にキミがいるわけだし。どんな風に眠ったんだっけ。キミの匂いと草原の匂いに包まれている。頭を乗せている枕は、ちょっと大きすぎでムニムニしていて、少し汗ばんでペタペタしている。これをいつまでも借りっぱなしにしてちゃいけないな。しびれさせてしまう。
「デグダス、おはよう」
と、なんとか目を開けて声を出すと、
「グランツ! おはよう!」
ほとんど同時にキミも目を覚ましたようだった。
「ぷっ、あはははっ! あっはっはっはっは!」
「どうした? 起きていきなりご機嫌だな」
と言いつつ、キミもニコニコとして楽しそうだ。目覚めたばかりの瞼をゆっくり瞬かせつつ、深く息を吸い込んでいる。キミの腕を枕に借りているおれは、キミのその呼吸に合わせて、一緒に頭がゆっくり揺れた。
「ふふっ、だってさ、二人一緒に目を覚まして一緒におはようと言うなんてさ、ちょっと珍しいと思わないか?」
「うん? それは、確かに! 不思議な偶然だな」
「そうだろう? もちろんおれは、キミが起きるのを待って寝たふりをしていたわけでもないし」
「うんうん。もちろんおまえがすっかり眠っていたとわかっていたとも」
「わかっていた?」
「ウム」
あれ? と思って聞き返したものの、キミは何の他意もなさそうにしっかり頷いている。その言い方、まるで先に起きておれがしっかり寝ていたのを確認していたみたいじゃないか?
まあ、それもいい。そうだとしたって、別に困りはしない。寝ている顔をキミにじっと見られたかと思うと少し恥ずかしくなってしまうが、同時に嬉しくもある。
恥ずかしくて嬉しい……というのはかなり変かもしれないが。
とにかく今日はとてもいい昼寝日和だった。
バレていないな? 大丈夫だな! よし、よし……。
グランツの瞼をこちょこちょしているうちにうっかりまた眠たくなって、三度寝してしまったことはバレていないようだな!
なんとかどうにかグランツよりも先に起きて、なおかつ同時に起きたことにすることによってまだ二度寝であると誤魔化すことに成功した。
よかった。あまりにも昼寝に適した日だったがために、こんなこともある。