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    masasi9991

    @masasi9991

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    ハロウィンのデググラ

    ##デググラ

    困ったハロウィン キミを見ていると飽きないのはいつものことだ。いつものことなのに全く飽きない。キミってやつは本当に凄い。おれがこうして語るだけじゃとても追いつかないほどだ。
     だがそれはそうだとして……今日はキミのその偉大さに困らされ続けている。
     キミのその偉大なうっかりに。
    「随分たくさん持ってきたんだな? もうビレッジ中の子供全員に渡し切ってしまったんじゃないか?」
    「そうかもしれん。だがしかし世界にはまだ見ぬ子供たちがいるはずだ……! こうなったら山の上でも海の中でも砂漠のはてにでも配りに行くしかない!」
    「お祭りは今日の夜までだから世界を回るなんてさすがのキミの足でも間に合わないと思うぜ」
    「うぬぬ……そうか……」
    「それにあんまりあちこち持ち歩いたらせっかくのケーキが傷んじまう。そうこうしてるうちに子供は寝る時間だし。こうなったらこのあとの大人の飲み会ででも振る舞うしかないな。大人は大忙しだった一日の後夜祭だ。きっとみんな喜んでくれるさ」
    「ついうっかり、はりきりすぎてしまったようだ」
     白いシーツをかぶっておばけに仮装したキミががっくりと肩を落とした。目のところに二つ穴が開いている。たったそれだけの衣装だが、これが見事なまでに似合っている。
     頭の上から足元まで全て覆うドでかい白いシーツ……そもそもこんなサイズの布がよく見つかったな、というものでもあるんだが、それはそれとしてここまでデカいとなかなか迫力がある。子供たちにも大好評だ。中には姿を見ただけで泣いてしまった子までいた。
     しかしそこでキミはすかさずケーキを差し出す、ってワケだ。キミの準備したケーキは素朴でカボチャのいい匂いがして、泣いている子供でもすぐに笑顔になる。それどころかお祭りも後半になってくると、ケーキとドでかいシーツの幽霊の噂はビレッジ中に行き渡っていて、こっちがあちこち移動するまでもなく子供たちが集まってきて大変なことになった。そもそもキミは大きくて目立つから。
     そうやって配りまくったハロウィンのケーキ、中身がバレないようにキミと同じく真っ白い布で風呂敷包みのようにして持ってきた分……が、今もキミの隣にちょこんと座っている。量が多すぎた。
     今日は配っても配ってもなくならないケーキの山をキミの隣で眺めているという最高の日だった。だけどちょっと困っている。
    「酒と甘いものの組み合わせが好きな大人もいるだろうし、そう気を落とすなって」
    「うむ。……あ! そうか!」
    「どうした?」
     ポンと手を打ったデグダスの顔を覗き込む。といっても目しか見えない。キミのその真っ黒な瞳は、おばけの目にしてはちょっとキラキラしすぎているかもしれない。
    「グランツはお酒と甘いものはあまり好きじゃなかったか」
    「うん? ああ、そうだな……おれはどっちかといえば酒には肉とかつまみの方が……」
    「だからいつまで待ってもトリートメントをしてくれなかったということか。しまった! うっかりしていた!」
    「それを言うならトリックオアトリートだけど。……ふっ、あははっ! もしかしてその残った分は、おれが受け取らなかったからか!?」
    「いや! いいんだ! トーストオアりんごジュースするかどうかは個人の自由だものな……!」
    「あっはっはっはっは! だって今日は子供がいたずらの代わりにお菓子をもらう日だろ? おれはもう子供じゃないから、悪いかなと思ってさ」
     ってのは言い訳で、キミにそれを仕掛けなかったのは……その、いたずらの方を企んでたからだ。ケーキがなくなってから、確実にいたずらをさせてもらおうとタイミングを見計らっていた。
     ところがお祭りの間キミは子供たちにモテモテだし、肝心のケーキは後から後から出てくるし。その上キミはちゃんとおれの分までケーキを準備してくれてたなんてなると……大誤算だ。さすがデグダス。
    「大人にだってケーキといたずらを天秤にかけたい日もある」
    「キミにもあるのかい? でもケーキがあるから、いたずらはできないみたいだ。ふふ、それにしてもその残り全部がおれの分ってのは多すぎるし、やっぱり他の大人たちにも振る舞おうじゃないか」
    「多いか? いつものおまえならペロリ! の量……ではないな。うーん、改めて見ると多いか……」
    「キミの思いやりの分量だ」
    「むふふ。それほどでも」
     ドでかい白シーツおばけのキミは、笑うとき大きく肩を揺らしている。シーツにくるまれた手を口元に当てているのもキュートだ。こんなにカワイイおばけ、ハロウィンの夜にいていいのか?
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