診断メーカー詰め合わせ御神苗と遊ぶ日はスマホの充電器を持っていかないジャン
御神苗は、街に広がる人の営みの音が嫌いではない。
歩道の両脇の店から聞こえるラジオ。重なり合う人々の声。あらゆるものを巡らす車の駆動音。耳を澄ませば、もっと多くの音を拾える。 御神苗はしなかった。街の流れに身を任せるのが ほにゃほにゃだからだ。
歩道の両脇の店から
緩やかな坂道の歩行者専用道路では、
「テメーと仕事以外で出掛けることになるとはな。なんでオレなんだよ」
「オレと一番年近いのがお前だったんだよ。芳乃は同い年だけど、あの女を誘おうものなら全額奢りは確定で――そもそもの話、男友達と遊びに行く場所探してんのに女のアイツ誘っても意味ねえし」
ジャンの口からこの手の文句が出るのは五度目だ。同じような文句には同じような返答しかできない。多少言葉は変えているものの、御神苗とジャンの会話は不毛なものとなりつつある。
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