役に立たない番犬の飼い方「あの、その、好きです……!」
その男は真っ赤な顔で俺を見上げた。幼い顔立ちはハーフフットの特徴そのものだったが、十四、五といったところだろうか。最近組合でよく見かける顔だった。過去に幾つか仕事を当てがってやった気もする。明るくて素直で好青年だと評判の男だった。少なくともこんな面持ちは見たことがない。
「あの、あなたにずっと憧れていました! いつも一生懸命俺たちのためにがんばってくださる姿がすごいなって思ってて。それで、いつのまにか好きになっていました!」
上擦った声が嫌でも嘘ではないと伝えてくる。若い頃は女から何度か声を掛けられはしたものの、最近はそういうものとはとんと縁遠くなっていた。目の前の青年は小刻みに震えている。それなのにこっちを真っ直ぐ射る視線だけは力強く、思わず顔を背けた。優しそうな目元に、仲間とよく笑う姿は酒場でもたまに見かけた。きっと気のいい奴なんだろう。素直で、真っ直ぐで、眩しい。
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