甘い貴方私は物心ついた時から味覚が無い。
だからアーサーさんのスコーンというものを食べても何も味なんか無いが、、フランシスさんや耀さんに心配された。
「菊、大丈夫あるか?」
「何も味がしないので食べられます」
こんな会話は何回もした。その度に驚いた顔をして見てくる。世界会議が終わり、家に帰ると植えていた桜の木の下に私そっくりの顔に黒い軍服を着ている人がいた。
ドッペルゲンガーかとも思った時、その人がこちらを向いた。綺麗な赤い目だ。
その瞬間、何故かわからないがその人を「食べたく」なった。
少し近づき、話しかけてみる。その人は日帝…大日本帝国らしい。
本人からは椿と呼べ、と言われたので椿さんと呼ぶことにした。
その日から椿さんは私の家で一緒に暮らすようになった。本人によると「もうすぐ消える存在」だそうだ。…大日本帝国は、昔の日本。つまり今の私がいるということは、昔の日本、大日本帝国は消えなければいけない…
「椿さん、手を出してくれませんか?」
私はそう言った。椿さんは手を出す。私はついている手袋を外し、指を噛んでみる。
「とても甘いですね。」
その言葉を聞いた途端、椿さんは驚いた顔をしたが、やめさせようとはしなかった。優しい人だ、と思いつつ、私はこのまま噛みちぎりそうと言うくらい噛んでいる
。
その日から私は椿さんを食べはしていないが、よく椿さんの体のどこかを噛むようになった。きっと貴方が消えるまで、ずっと。