刺繍日帝さんが死に、遺品整理をしていた際、日帝さんの刺繍道具が出てきた。
そういえばあの人は刺繍が得意であった。
家元や私の誕生日や記念日などに自分が刺繍したハンカチなどを渡してきた。
いつもその渡してくるものの刺繍は花だけ。
「お花以外も刺繍してみてはいかがですか」
そういうと日帝さんは
「花以外は苦手です。…善処します」
そう言っていた。
そして出兵の日は、赤いハンカチを渡してきた。
日帝さんが家を出た後にその赤いハンカチを広げてみると、薄紫の花の刺繍があった。
…そんな事を思い出しながら、整理していると木箱を見つけた。
その木箱を開けてみると、まだ刺繍やりかけの巾着袋があった。
その巾着についていた印は、私、家元、日帝さんの3人の可愛い顔が描かれていた。私と家元は完成しており、日帝さんのは半分しか終わっていない。
「父上、どうしたのですか」と家元が聞いてくる。
「いえ,何でもありませんよ」そう返し、巾着を木箱の中に戻す。
きっとこれは、私があのことを言った時から作っていたのでしょう。なぜならゴミ箱を見ると小さく血のついた絆創膏が何枚もあったから。
きっとこれは帰ってから、しようとしていたのでしょう。
そう思い、木箱を元の場所に戻した。