「へぇ……そちらのチョコレートは誰に作っているんです?」
覆い被さるように直ぐ真横に立った大きな体で天井の光源が遮られた。聞こえた声は部屋に満ちる甘く優しい香りに似ていたが、薄い影の中で光るバイザーの青はいつもと異なる冷たさを感じさせる。
「羨ましいですね。あなたの心を射止め、あなたからの思いを受け取れる人間がいるとは」
「どうした、マイスター。随分大袈裟な言い方だが、これはスパイクやカーリー達に渡す分だ。いつも世話になっているお礼に。君たちの分も用意してある。味はまだ保証できないが」
「君たちの?」
「エネルゴンにチョコレートを混ぜて香り付けをした。甘味も足してある。ラチェットに混ぜた物を食べても問題ないか確認を取った。おそらく大丈夫だと思うが……」
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