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    redsoullover

    @redsoullover

    書きかけや設定書きたい話のプロットみたいなものをあげている。
    基本的に父水だが、時々違うのもあるかもしれない。

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    redsoullover

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    水木編終了
    pixivの方にまとめているがこっちが中途半端なのでこっちも上げておく。

    真面目っぽい感じだが、ここからツッコミ所満載になる予定。(番外編)
    いや、ここで既にツッコミ所満載だ。
    基本的に水木視点では真面目にできません。
    何故?

    嘘つき男 其の五次の日、仕事には行くには行ったが全く手に付かなかった。
    書類を捲りながら考えるのは男の言葉だった。
    「食うんだ」
    思わず呟けば、隣に座る同僚からどうしたと声が聞こえた。
    「頭から腸から全部バリバリと食べるんだと」
    「ん?魚か」
    「まぁうん」
    まさか自分だとは言えない為、曖昧に返事をすると同僚は笑いながら言った。
    「俺は臓は好きじゃないな。時々消化しきれてないのが出てくるだろ。あれが気持ち悪くてな」
    「気持ち悪いか?」
    「そりゃそうだろう。臓とか、あれだ焼いた時に尻から黒いの出てくると食う気が無くなる。食うけど」
    あれどうにかならんもんかな・・・と同僚は笑って言う。
    そんな同僚の言葉に気がついた。
    そうだ、だからなのか。
    男も腹に未消化物が詰まっていれば厭だろう。だから一日空けたのだ。
    嗚呼、食欲が無くて朝食が食べられなくて良かった。
    今なら腹に何も入っていない。
    後は・・・。
    「ちょっと昼になったら帰るわ。」
    同僚に言いながら身の回りの荷物を片付ける。
    「何だ、定時って珍しいな。体調でも悪いのか?それなら医務室で薬貰ってから帰れよ」
    「ああ、寄って帰る。・・・あー多分月曜日休むと思う。いや、二、三日休むかも。多分出勤できないと思う」
    そう言うと同僚は驚いた顔をした。
    「そんなに体調悪いのか、まぁ最近は全然休んでなかったから疲れも溜まったんだろ。繁忙期でもないし多少は大丈夫だろうしゆっくり休めよ」
    言いながら同僚はひらひらと手を振った。
    「嗚呼、じゃあな」
    恐らくこれが最後になると分かっていたが、同僚には軽く返すだけにした。
    そうだ、いつもと同じでいないといけない。
    怪しまれては駄目だ。
    男が自分を食って家を出て行くまで誰も来させてはいけない。
    二、三日もあれば親子で遠くに行けるだろう。その時間を稼がなければいけない。
    だからいつもと同じ用に机上を簡単に片付け家路に就く事にした。



    家に帰れば男は居なかった。
    男だけではなく、鬼太郎も居ないので男が言っていたすなかけさんにでも預けに行ったのだろう。
    「まぁ、居なくて良かった。その間に準備でもするか」
    居間をぬけ自室に行き、手にしていた鞄を床に置いた。
    「そうだ、風呂も沸かさないと」
    上着を脱ぎ、襟締を外し衣紋掛けに丁寧に掛けながら、この服も今日で最後なのだから丁寧にする必要は無いのだがと一人自嘲した。
    浴衣に着替え、風呂を沸かした後、再び自室に戻ると、床に置いた鞄を再び手に取った。
    そして、その中から小さな紙箱と硝子の容器を取り出した。
    紙箱の中から取り出したのは透明な液体の入った長細い筒の付いた透明な容器。
    「こんなので大丈夫なのか?」
    小さく呟きしばらく容器を眺めていたが、意を決し小さく息を吐くと硝子の容器を手に取った。
    硝子の容器に入っていたのは白い軟膏だった。それを指ですくいとると浴衣の裾をまくり上げ、履いていた下着を脱ぎ捨てると軟膏の付いた指を後門にぬぷりと差し入れた。
    「・・・ん・・・」
    痛みは感じなかったが違和感はあった。しかし、ここで止める事は出来ない。
    液体の入った容器を手にするとそのまま床に寝転がる。
    暫く容器を眺めていたが、筒を後門に突き入れると容器を握り潰した。
    握った事により液体が後門より体内に押し入れられた。
    「・・・冷た・・・」
    思わず声が漏れる。
    使用方法に液体を入れたら暫くそのままで居るようにとあったと思い出し、そのまま床に寝転がり目をつむった。
    「何をしとるんじゃ?」
    そんな時、頭上より男の声が聞こえた。
    目を開けると障子を背に男が見下ろしている。
    「何って・・・準備?今日僕を食うんだろ?」
    言えば男が顔を顰める。
    「まだそんな事を言っておるのか」
    「そんな事って何だよ。お前が言い出したんだろう。だからお前が食べやすいように腸の中綺麗にしてやってるんだろ」
    言えば男はますます顔を顰める。
    「嘘と認めれば良いだけじゃろう」
    「嘘って何の事だ」
    いや、そうじゃない。お前との約束を沢山破った。お前から逃げ出した。
    それを認めたくなくて、嘘を吐いた。
    お前もそれを知っている。
    それを認めろとお前は言うんだ。
    けど無理だ。
    約束を破って、逃げ出して、挙げ句に嘘まで吐いた僕はもうお前と居る資格なんて無い。
    だからお前からまた逃げ出すんだ。
    けど・・・嗚呼・・・何だろう・・・もう自分でも・・・
    「何を言いたいのか分からないや」
    ほら、食ってくれるんだろう。
    折角ここまで準備したんだから。
    お前もその心算なんだろう
    「食ってくれよ」
    身体を起こし、男のその赤い瞳を見て言ってやれば男は顔に手を当て天を仰いだ。
    「風呂も沸かしてる」
    「もう何を言っても止めぬぞ」
    「身体も腸の綺麗にするから」
    「泣いても喚いても止めぬぞ」
    「お前にならいくら食われても良いよ。痛くても我慢する。」
    「その言葉もう取り消せぬぞ」
    「良いよ」
    男向かい笑いかけてやれば、男はふらりとその足を進めた。
    「水木は儂のものになるのか」
    「ああ」
    「儂が食えば水木は変わってしまう。儂と共に生きる事を選ぶのか」
    「ああ」
    お前に食われたらこれからはお前の一部となってずっと一緒になるんだろ?
    「逃がさぬよ」
    「逃げない」
    男の手が頬に触れたので、その手を握り返し言ってやった。
    「食ってくれ・・・なぁ・・・ゲゲ郎・・・」
    今度は何があっても逃げない。
    もう嘘も吐けない。
    もう約束を破る事も無くなる。
    だから最後くらいお前の名前を呼んでも良いだろう?















               終わり。




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